【不妊治療に関するアンケート】続けるべき?辞めるべき?コロナ禍の妊活・不妊治療

 【不妊治療に関するアンケート】続けるべき?辞めるべき?コロナ禍の妊活・不妊治療
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胎児へのコロナ感染の影響、立ち会い分娩や面会の禁止…コロナ禍における妊娠・出産を不安視する声が注目されています、でも、問題はコロナウイルスだけなのでしょうか。この記事では、今まさに妊活・不妊治療を希望する人たちへのアンケート結果から、抱えている不安などを紹介します。子どもを望む人々は、今何を感じ、何を求めているのでしょうか。

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続けるべき?辞めるべき?コロナ禍の妊活・不妊治療

コロナ禍における妊娠・出産は、妊婦やその家族に様々な不安を与えています。それは、今まさに妊娠を望んでいる方たちにとっても同じこと。厚生労働省によると、コロナ禍の影響で2020年1~10月の妊娠届出数は前年比5.1%減となり、少子化に拍車をかけています。

エバーセンス社が行った「妊活・不妊治療に関するアンケート」によると、2021年に妊活・不妊治療をする」と回答したのは、26.1%と約4人に1人。そのうち83.8%の方が「年齢を考慮すると延期したくなかったから」と考えています。

一方で、13.1%の方が「しばらく延期する」「やめることを検討・やめる」と回答。そのうち「その理由に新型コロナウイルス感染症が関係していますか」の質問に「はい」と答えたのは29.7%。すなわち、約7割の人がそれ以外の理由を持っているということ。コロナウイルスは、妊活や不妊治療を延期・中止するきっかけの一つに過ぎないのかもしれません。

2021年の妊活・不妊治療について教えてください
妊活・不妊治療をする…26.1%
しばらく延期する…9.2%
やめることを検討・やめる…3.9%
パートナーとまだ話し合えていない…11.4%
妊娠・産休・育休中…24.9%
もともと予定がない…21.4%
その他…3.2%

コロナ禍の出産はリスクがたくさん。最も不安視されているのは?

コロナ禍での妊活・不妊治療に対し、特に不安視されているのが「感染時の胎児への影響(69.3%)」「ママの感染67.2%」「パートナーの感染61.3%。例え妊娠したとしても、その先に潜むリスクを懸念する方が多数を占めています。

現在、多くの病院が出産時の立会いや面会を禁止しています。「平常時のような妊娠・出産がのぞめないこと(55.8%)」は、特に初めての妊娠を迎える方に大きな不安要素になっていると予想されます。

コロナ禍での妊活・不妊治療について当てはまる不安はありますか?
感染時の胎児への影響…69.3%
ママの感染…67.2%
パートナーの感染…61.3%
年齢が上がることへの不安や焦り…58.8%
平常時のような妊娠・出産がのぞめないこと…55.8%
自由に外出できないストレスによる影響…43.4%
なかなか病院に行けないこと…27.0%
収入の減少…15.7%
運動不足による影響…13.9%
誤った情報に惑わされること…9.9%
その他…1.5%

では、妊活・不妊治療を行う人たちは、どのようなサポートを求めているのでしょうか。

「誤った情報に踊らされたくない…」必要なサポートとは

最も必要とされたサポートは、給付金や金銭面での支援(66.8%)」。次いで「正しい情報の発信(56.6%)が求められていることが分かりました。「誤った情報に惑わされること(9.9%)」を不安視する回答からも、コロナ禍でどれが正しい情報なのか悩む人が多いのが伺えます。

また、働く女性にとって「時短勤務やテレワーク等の職場理解(48.2%)」は感染リスク回避のために必要なサポートです。

コロナ禍の妊活・不妊治療について必要なサポートは何ですか?
給付金や金銭面での支援…66.8%
正しい情報の発信…56.6%
時短勤務やテレワーク等の職場理解…48.2%
カウンセリング・相談窓口の拡充…28.1%
オンラインによる医療サポートの拡充…27.7%
妊活・不妊治療に関するオンラインセミナー・イベント…16.4%
その他…2.6%

高額な治療費の負担に終止符を。不妊治療の保険適用が拡大

最も必要とされている「給付金や金銭面での支援」ですが、これはコロナ禍に限ったことではありません。特に不妊治療における高額な自己負担金は、以前から問題視されていました。

(過去に不妊治療をしていた方)実際に治療にかかった費用を教えてください
50万円未満…43.5%
50〜100万円未満…20.9%
100〜200万円未満…19.7%
200〜300万円未満…7.6%
300万円以上…8.4%

そんな中、厚生労働省は、2022年度に不妊治療の保険適用を拡大する方針を示しています。これに対し、92.7%の方が「賛成」と回答。妊娠、出産の先にある育児費用…金銭的な不安を抱えながら妊活・不妊治療に取り組んでいる中、多くの方が待ちわびた施策といえるでしょう。

不妊治療の保険適用拡大についてどう思いますか?
賛成…92.7%
反対…4.1%
不明…3.1%

そもそも、現在不妊治療にはどのような措置が取られ、保険適用後はどのように改善されるのでしょうか。また、保険適用開始までに拡充される具体的なサポートとは?

 「不妊治療の保険」適用前後の違いと、適用開始前の措置

適用前…原因がわかっている場合には保険が適用されているが、原因が不明の場合は保険適用外。主に体外受精や、精子を卵子に直接注入する顕微授精などの治療が挙げられる。全額自己負担となるため、公費で補助している。

適用後…現在は保険外となっている体外受精や顕微授精の保険適用(を検討)。

保険適用までの間…2021年1月より、現行の助成制度(初回の治療は30万円、2回目以降は15万円を最大6回まで)を拡充し、2回目以降の治療への助成額を30万円に倍増。最大6回までの所を、子ども一人につき6回までとし、2人目を希望するニーズに応える。所得制限を撤廃。

更なるサポートの拡充と浸透が必要。政策だけでなく社会的な理解も

現状では、40.8%が妊活・不妊治療に対するサポートが「増えている」28.3%は「増えていない」と答え、わずかに「増えている」が上回りました。選んだ理由として、「ニュースで見かけるようになった」「自治体の取り組みが感じられる」という意見がある一方で、「職場の理解が足りない」「社会的に認知されておらず、まわりにも話しづらい」といった意見も。

不妊治療は、ステップアップするに従い、通院回数も増えてきます。そのため、身体的負担、精神的負担ともに大きくなっていきます。つまり、国からの金銭的支援だけでなく、企業の対応や周囲の人たちの理解が必要不可欠なのです。

妊活・不妊治療に関するサポートは増えていると感じますか?
少し感じる…33.5%
どちらとも言えない…30.9%
あまり感じない…23.1%
とても感じる…7.3%
全く感じない…5.2%

 

「とても感じる」「少し感じる」を選んだ理由
・私が不妊治療をしていた5年前に比べたら助成金の面が改善されていると思う。また、不妊治療の職場内の理解も得られやすくなったように感じる。
・自分の妊活には間に合わなかったが、保険適用拡大の方向になって良かった。しかしまだまだ支援は足りていないと思う。
・不妊治療中の方への対応(休業等)を行う企業が増えてきた、というニュースを見たため。
・不妊治療について発信する人が増えたことで、これまでよりは認知されるようになってきたと思う。
・特別なことではなくなっている。自治体によっては費用補助やコミュニティ作りなどがある。


「あまり感じない」「全く感じない」を選んだ理由
・治療院はとても混み合っており、時間的な投資も大きい。周囲の理解がなければ継続できず、治療中はどこか肩身の狭い思いをすることになってしまう。
・仕事をしながらの不妊治療は困難。経済的・精神的不安が思っている以上にある。
・妊活中であることを上司に伝えづらい。仕事を任せてもらえない不安がある。
・精神的に辛い思いをする人が多いので、メンタルケアもセットでサポートするのが望ましい。
・子どもは自然に出来るものという考え方が世間の主流に感じる。

まとめ

いかがでしたか? コロナ禍において出生率低下の加速が懸念されていますが、それは潜在的な問題が表面化したに過ぎないようです。

もしかしたら、すぐ近くに働きながら不妊治療を続ける人がいるかもしれません。妊娠を望む人たちが出産を迎えられるように、安心してサポートを求められる風土づくり、本人と会社の上司・同僚の相互理解が必要ですね。

妊活・不妊治療の辛さに直面している方は、どのように乗り越えたら良いでしょうか。必要な情報を掴み活用できるように、日頃からアンテナを張るだけでなく、信用できる発信元かを確認してもいいかもしれません。

日本は国際的に見ても、妊娠への知識不足が著しいことが指摘されています。妊活・不妊治療をしている方へのサポートと同時に、若い世代に向けても、これらの理解を深めていくための情報発信が必要なのかもしれません。

参考:「妊活・不妊治療に関するアンケート」
調査期間:2021年1月12日~1月19日
調査方法:自社サービス「内のアンケート
対象者:育児アプリ「ninaru baby」利用者
回答数:775

厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業の拡充について」「令和2年度の妊娠届出数の状況について

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Text by Satomi Mizuno



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