調味料こそが大切!「シンプルなほんもの」の選び方-後編-|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 調味料こそが大切!「シンプルなほんもの」の選び方-後編-|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-02-11

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛(せきね・めぐみ)さんです。

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みなさん、こんにちは。吐く息のまだ白い寒さのなか道端でほころぶ梅の花をみかけると、心の奥のほうがじわっと温かくなりますね。まるで小さな灯をともしてくれるみたい。先日とてもきれいな黄色い梅の花の満開なようすをみかけて、珍しいなあと心躍りました。冬のあいだは見なかった小さな虫たちもそろそろ動き始めてきます。つい最近家の中で久しぶりに蜘蛛がでたのには「おお、春が来る」と嬉しくなりました。

さて以前、昔ながらの方法で時間をかけて作られたほんものの調味料が料理には大切、というお話をしました。前編として〈醤油、味噌、塩〉の陽性=体を温める調味料を取り上げましたが、今日は後編として、マクロビオティックの陰陽の世界では陰性=体を冷やす調味料にあたる〈みりん、酒、酢、砂糖〉にフォーカスしていきたいと思います。

素材の味を消すのではなく、素材の旨味を上手に引き出し、料理に調和をもたらすものがほんものの調味料ではないかな?と私は考えています。食事は命を育むものです。満腹になれればいい、脳が快感を覚えて気持ちよければそれでいい。食事は本当はそういうことではないはずです。添加物や化学薬品がどっぷり入っていたり、工場で機械的に量産された調味料に、果たして命を育む力があるのでしょうか。大型のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに途切れることなく並び続ける大量の調味料たちは、一体どこで、どのように作られているのか想像してみたことはありますか?

確かに二十四時間欲しい食材が手に入れば便利かもしれませんが、本来食事を便利さと結びつけることには違和感を感じます。「食事にはまず第一に手軽さや便利さを求める」という人も現代では少なくないと思いますが、果たしてそこまでしてほかのことを優先させる必要があるのでしょうか。食事に対する時短や便利さの止まぬ追求は、人間本来の生活からすると本末転倒に思えるときがあります。ぜひみなさんには「ほんものの」調味料を選んで、便利さではなく心のある料理をして命を繋いでいただきたいなと思っています。

基本のみりんと料理酒の選びかた

みりんは日本人にとって馴染みのある調味料だと思いますが、実はみなさんが普段使っているのは「みりん風調味料」というものだと知っていましたか?これは一番多く出回っているもので、ようするに「みりん」ではないのです。ほかにも「みりんタイプ発酵調味料」というものがありますが、これもほんもののみりんとは似て非なるもの。本来もち米から作るのがみりんですが、これらの人工的なみりんはうるち米で作られており、精製塩である食塩(ほぼ100%塩化ナトリウム)が添加されています。またブドウ糖、アミノ酸、化学調味料なども添加されています。

ほんもののみりんはもち米、米こうじ、焼酎などから作られます。半年〜1年ほどしっかり熟成させるため深い旨味や甘みを感じられます。料理酒に関しても、本醸造のものの原材料は米、こうじ、水のみの「純米酒」です。そのほかの成分が人工的に加えられているものは味が落ちているので、ぜひご自身の舌でいちど味わってみてくださいね。ちなみに陰性のみりんは煮切って使うことで冷えにくい陽性に近づけることができます。

基本の酢の選びかた

もともと体を冷やす=陰性がつよいお酢ですが、添加物が沢山入っていることでさらに陰性が強くなり、極陰性といわれます。冷え性は万病のもとに繋がるので、使うのであれば添加物がなく体への負担が少ないお酢を使うことをおすすめします。ほんもののお酢の原材料は米のみで「純米酢」といいます。パッケージにちゃんと書かれています。寒い冬は、みりん同様そのまま使うよりも少し加熱し陽性にして使うと冷えやすさを和らげてくれます。

いっぽう添加物として甘味料、アルコール、糖類、アミノ酸などが加えられているのが市販されている大半のお酢です。これらは昔ながらのじっくり時間をかけた製法ではなく時短で機械的に作られています。時短で作られたものは時短の働きしかしない、ということを私はよく実感します。その場しのぎにはなりますが永く命を育む力はないと考えています。

基本の砂糖の選びかた

最後に砂糖ですが、こちらも極陰性のため気をつけて選びたい調味料です。甘いもの(自然の甘みではなく人工的なものは特に)はできるだけ取らないことが健やかな体づくりには懸命ですが、どうしても砂糖が必要なときはサトウダイコンから作られ、ミネラルやオリゴ糖の多いてん菜糖、含蜜糖(黒糖)などがいちばん安心ではないかと思います。きび砂糖もヘルシー志向の人たちの間では人気がありますが、ミネラル含有分はやや劣ります。

砂糖のこわいところは、ついつい私たちが口にするパン類、お菓子、お惣菜などには必ず入っているため、意識していないと摂りすぎを防げないところ。まずは商品の成分表示を逐一チェックする習慣から始めてみて、避けられるものは少しずつ避けていけると良いのかもしれません。

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photo by Megumi Sekine

いかがでしたか?ちょっとした知識をもっていれば、一体何が自分や大切な人の体を作る命となってくれるもので何がそうでないかは、おのずと分かってきます。そのうえで私たちがそれぞれ最適な選択をしていけるといいなと思っています。是非みなさんの日々を紡ぐ食事に役立てていただけたら嬉しいです。

ライター/関根愛(せきね・めぐみ)
「アートが社会とどう関われるか」と「じぶんらしく生きるための食養生」が活動のテーマ。座右の銘は「山動く」。俳優歴10年、アトピーなどさまざまな不調をきっかけに自然食を始めて3年。マクロビオティックマイスター。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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