産後は歪み・体質を改善する一番のチャンス?出産前に知っておこう【産後1週間の過ごし方】
産後は身体の再生を図りたい時期。そして産後すぐは特に目を使わないでいられると吉。中医学では目は「肝」と繋がりがあるとされ、肝臓は身体の毒素を排出してくれる大切な場所。目の疲れが肝の働きを妨げ、産後の身体の疲れを取りづらくさせてしまいかねません。そうならないためにも、産前から産後すぐの過ごし方を知っておくことで産後に、本やインターネットで目を使わなくても良いように準備しておきましょう。
そもそも産後の身体はどういう状態?
出産に向けた10ヶ月間でお腹に胎児と羊水を合わせた約5キロもの大きさを収めるべく骨盤は内側からどんどん広がっていきます。そして経膣分娩での出産時には、赤ちゃんが出てくるために骨盤の底に直径約10センチの広がりが必須となるため、骨盤の前側の恥骨部分は離れ仙骨は後ろに離れ坐骨間は左右に道を開けます。これだけの変化をするのですから、骨盤だけでなくそれに付随する筋肉たちもダメージを受けることは想像に容易いですね。
そのため出産直後は立つことすらままならない状態になるわけです。そうであれば、経膣分娩をした人だけが産後の骨盤のケアが必要かといえばそうではなく、帝王切開で産んだ方も、10ヶ月間お腹に育つ赤ちゃんを骨盤を変化させながら支えてきたことには違わないので、同じく骨盤へのケアが必要となります。そんな骨盤へのケアは、産後の入院中から始められると良いでしょう。
実は産後は産前よりも、より健康によりキレイになるチャンス?
女性には人生で大きく3回ホルモンバランスが崩れる時があります。それが、思春期と出産後と更年期です。これらの時期は恒常性という身体を一定に保とうとする能力が十分に働かなくなるため、逆に体質を根本から改善するには何よりもってこいの時期といえます。
そして中でも、産後半年が1番効果的といわれます。産後半年は全身の身体が緩みそれを再度もう一度組み立てなおそうとする特別な時期にあたるからです。
産後特に意識したい2つの筋肉
骨盤底筋群
骨盤の底にハンモックのように張り巡らされ、下から内蔵たちを支えている筋肉です。出産までの10ヶ月の間普段以上の負担がかかっている場所。そして膣がこの骨盤底筋群を貫いているため、膣が大きく広がる経膣分娩ではさらに緩みを起こす場所となります。
腹筋
だいたい妊娠10ヶ月をかけてウエストは約40センチほど大きくなると言われます。腹筋の中でも一番外側にある腹直筋(6パックを作る筋肉)が影響を受けるわけですが、腹直筋自体がダメージを受けるというよりも、妊娠期を通してだんだんと腹直筋の中心を走る白線という結合組織が左右に引き伸ばされることにより腹筋の力が弱まっている状態となります。
これを踏まえて産後1週間の過ごし方は?
出産翌日
出産は体力を使い全身を疲労させています。まずは血行やリンパの流れを促してみましょう。
①仰向けの状態でお腹に両手を置き、肩を上下に動かす。
②手の平を握ったり開いたり繰り返しましょう。
③心臓から一番遠い足先をゆっくり立てたり伸ばしたりしましょう。
2日目以降
上記に合わせて行ってみましょう。
①仰向けに寝て、両手をお腹の左右に添える
②息を吸って両手の間が広がるようにお腹を膨らませる。
③息を吐きながら、左右に広がった腹直筋の白線を真ん中に寄せるようにして両手でお腹を中心に寄せる。
④これを何呼吸か行いましょう。
3日目頃から(痛みがある際は無理をしない)
少しずつ骨盤底筋群も動かしてみましょう。
①仰向けに寝て両手はお腹に添えておく。
②まずは仰向けのまま吐きながらおしっこを我慢するようにして5秒キープ。
③吸う息で脱力し吐く息で②を行う
④これを10呼吸ほど繰り返してみましょう。
もし余裕があれば、
①仰向けで両膝を立てます。
②吐く息でおしっこを我慢するようにしつつ、おへそを天井へ持ち上げます。
③そこで5秒キープ。
④ゆっくりと腰を床に戻し一呼吸休憩。
⑤②〜④を5回ほど繰り返します。
〜7日目まで
だんだんと上記に加えて骨盤の可動域を元に戻し始めましょう。
①仰向けで膝を立て、両手は体側に置きましょう。
②息を吸って、吐きながら両膝を右側に倒します。
③吸って真ん中に戻したら吐きながら反対側へ倒します。
④②〜③を5回ほど繰り返しましょう。
産後の身体のだるさや、恥骨の痛みや背中の痛みといった身体の不調を少しでも引き起こさないために、産後すぐから始められることをしてみましょう。なにより産後は、「妊娠前の身体に戻す」というよりも「妊娠前より更にキレイになれるタイミング」と捉えて心はずませながら取り組んで頂けたらと思います。
医師監修/一倉絵莉子先生
日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員。日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。現在は、産婦人科医として六本木ヒルズクリニックに勤務。
AUTHOR
乃万由芙子
2011年インドへの旅をきっかけにヨガ哲学に興味を抱く。ヨガの持つ考えを知り、自身の価値観を根本から見直す機会となり、この考え方がより心地よく生きるための糸口になると確信する。ポーズだけでなく日常がより生きやすくなるための、講座や指導を日頃より行っている。
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