「夫にうまく気持ちを伝えられない」の背景にあるものとは|臨床心理士が答える心のQ&A
イライラしてしまう時はどうする?
「イライラすると質問責めにする」というコミュニケーション、一見怒りの感情が湧き上がっているように感じますが、実は怒りって何かの感情が下に隠れていることが多いんです。もしかしたら「パートナーには自分のことを一番に理解してもらいたい」といった想いが根底にあって、それが叶わない寂しさや悲しさが怒りという感情と質問責めという行動を引き起こしているのかもしれませんね。もしそういった気持ちに心当たりがあるようであれば、まずはその気持ちを受け入れることから始めてみてはどうでしょうか?また、『夫婦なんだから私の気持ちを分かってくれるべき』と言った【白黒思考】もイライラの原因を作り出したりします。こういった思考は、悩みを抱えているなど自分の中で余裕がない時に起こりやすいといった背景もあるので、今ご自分が置かれている状況がどんな様子かこの機会に振り返ってみるのも良いと思います。
嫌なことを飲み込んでしまう時は
「自分が嫌だと思うことを伝えると、相手にどういう反応をされそうで抵抗があるのか」を整理してみましょう。例えば「相手に嫌われてしまう」「傷つけてしまう」といったようなことが背景に隠れているかもしれません。まずはそういった自分の気持ちに意識を向けてみて。しかし、残念ながら夫婦とはいえ別の個体なので、言葉を交わさずに意思疎通するのは至難の技。夫婦のカウンセリング のご依頼を頂くことがありますが、夫婦間のコミュニケーションがうまくいっていない理由のひとつに「言葉不足で伝わっていなかった」「相手に攻撃されているような気がした」といった背景があります。夫婦にありがちなコミュニケーションの特徴は「あなたは」が主語になり、相手の行動を責めるものがほとんど。こういったコミュニケーションをされると、相手は自分を攻撃された気になり、余計に反発し意固地になるという悪循環を生みます。ですから、相手を責めることなく、そして自分の気持ちを誤解なく伝えるコミュニケーションの方法に変えていくことが必要です。それは、①『私は』を主語にして、②感情を言葉にのせること(悲しい・寂しい・怒っている など)を意識すること。これを心理学では【アサーション】と言いますが、相手も自分も大切にするコミュニケーションのことです。最初から直接伝えるとなると抵抗があるかもしれません。まずは紙に書き出して、それを声に出してみるなどしてリハーサルを重ねてみると良いかもしれませんね。
ライター/南 舞
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。
Instagram: @maiminami831
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く