「弱い人に対してイライラする」強くありたいと望む人が陥りがちなウィークネスフォビアとは

 「弱い人に対してイライラする」強くありたいと望む人が陥りがちなウィークネスフォビアとは
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石上友梨
石上友梨
2021-02-22

みなさんは、ウィークネス・フォビアという言葉を聞いたことがありますか?ウィークネス・フォビアは、弱い人に対する嫌悪感のことです。人に優しくありたいと思っていても、気づかないうちに弱く見える人に対して厳しい気持ちを持ってしまうことがありませんか?今回はウィークネス・フォビアについてお伝えしていきます。

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ウィークネス・フォビア(弱者嫌悪)とは

もともとウィークネス・フォビア(弱者嫌悪)は、男性学研究者の内田雅克氏の造語で「"弱"に対する嫌悪と、"弱"と判定されてはならないという強迫観念」と定義されています。他者から「あなたは弱い人だ」と思われることを恐れ、自分自身でも「自分は弱い」と認めることを恐れているのかもしれません。内田氏は『大日本帝国の「少年」と「男性性」』という著書の中でウィークネス・フォビアについて述べています。しかし、ウィークネス・フォビアは性別関係なく誰しもが持つ可能性があるのではないでしょうか。特に、理想を高く持ち、頑張り屋の人であるほど、ウィークネス・フォビアを抱えてしまうことがあるかと思います。

なぜ、弱さに対する恐れを抱くのでしょうか。弱さを見せたら負けてしまう厳しい世界で生きているのでしょうか。それとも、完璧であることを求められる世界で育ってきたのでしょうか。

理想が高い方は、なるべく自分の欠点をなくし、完璧でありたいと願います。そうすると、自他の「弱さ」に敏感になってしまうと思います。そして、頑張り屋の人は、自分自身が努力をしてきた人です。そうすると、努力をしていないように見える人に不快な感情を抱くかもしれません。

自己の弱さを他者の中に見る

完璧であることへのプレッシャーや他者から弱いと思われることへの恐れが強いと、「弱さ」を感じさせる存在に過剰にイライラしてしまうことがあります。そんなとき、私たちは無意識に「弱く見える」他者に、自分自身の「弱い部分」を見出し、その相手の弱さを批判することによって、自分の弱さを見ないようにしています。これは自分の心が傷つかずに済む、心を守る機能のひとつでもあります。また、他者を批判することは、自分が優位な立場に感じる手段でもあります。そうすることで、不安や恐れを抑えようとしているかもしれません。しかし、いくら一時的に心を守る機能だとしても、日常的に行ってしまったら対人関係の悪化やイライラによる疲労など、デメリットが大きくなってしまいます。何より、他者に優しい自分でありたいと願っているのなら、自分の思い描いた理想の姿からは遠ざかってしまいます。

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