「捨てられる野菜で染めた服」廃棄食材を再活用するFOOD TEXTILEが目指す未来
ーー「着る野菜」のコンセプトや商品を広めていかれるなかで、なにか苦労されたことはありましたか?
「実は立ち上げ当初『なんでキャベツで染めたTシャツを着るの?』といった声をよくもらいました(笑)。アイデアは面白いとしても、その意義をあまり理解してもらえないことが多くて。でも僕らとしては、これを着ることで社会貢献できている喜びや誇りを感じてもらったり、『このTシャツ、実はキャベツで染めてるんだ』と友人に話したとき、それが『捨てられる予定だったキャベツ』とその背景にまで話が弾んだり、身近なファッションを通して社会問題について考えるきっかけになってもらえたら、と思うんです。染色の特許技術や、生産過程もMade in Japanにこだわっているので、価格がどうしても高くなってしまうんですが、値段では図れない価値を皆さんにも理解してもらうのにも、最初は苦労しました。けれど続けていくうちにだんだんと、使ってくださる皆さんから温かい応援の声も増えてきて、ありがたいなと感じています」
ーーFOOD TEXTILEのTシャツ1枚から社会問題にまで話題が広がるなんて、素敵ですよね。一方で、提携企業さんや農園さんも喜ばれているんじゃないですか?
「それも感じています。今まで捨てていた余り食材が身近なアイテムに生まれ変わることには、喜びの声をたくさんいただきます。弊社はもともとカジュアルブランドさんとのお仕事が多いんですが、FOOD TEXTILEのコンセプトや商品に共感いただいて、海外のメゾンブランド、ラグジュアリーブランドさんからも声をかけていただくようになり、評価が広がっているなと感じられてとても嬉しいですね」
ーー消費者にとってはコンセプトが分かりやすくて、サステイナブルな行動を身近で楽しめることも、とても有意義だなと感じます。
「昨今はエコ、サステイナブル、エシカルといったワードもよく目にするようになりましたが、言葉だけがカッコよく一人歩きしていたり、我慢を要するストイックな印象も強く、実際『サステイナブルって何? エシカルって?』とその本質をきちんと説明できる人も少ないような。そんななかで、あまり難しく考えず『ちょっと地球に良いことがあればそっちを選ぼう』くらいの気軽な感覚で生活に取り入れてみる、最初の一歩はそのくらいでいいと思うんです。そういう意味で、FOOD TEXTILEを通して、一番身近なファッションからでも『貢献できた!』と感じられることが大事かなと思っていて。今後はブランディングも本格的に、衣・食・住さまざまなシーンに商品の幅も広げていく予定です」
ーー今後の展開も楽しみです! すでに社会の意識改革に大きな貢献をされている今プロジェクトですが、これからのFOOD TEXTILEが目指すのはどんな未来ですか?
「まずはこの取り組みを通して、『教育』の面でも貢献できたらと思います。ありがたいことに、子供服のブランド・メーカーさんからもよく問合せいただいて、『FOOD TEXTILEは捨てられる食材で染めている』というコンセプトを知っていただくことで、『何気なく食べ残したものがたくさんゴミになっている』『食べ残すのはやめよう』という気づきに繋がったり、『世界には食糧難の人もたくさんいて、みんなが均等に食べ物を与えられているわけではない』という現実を知るきっかけにもなったり。大人も子供も、そんな気づきから日々の心がけが変わってくれたら嬉しいですね。今年はコロナウィルス禍を経験して、世の中の価値観も変わっていくだろうと感じています。その中では、後世に残したい『持続可能な社会の実現』も大きなテーマになるはずです。自然の資源も、自分たちがいま無駄遣いしたものは、自分たちの子供や孫の世代にはもう残っていないかもしれない、今できていたことが将来できなくなるかもしれない……。だからこそ、自然と共存する大切さを一人一人が身近に感じて、より良い社会を作るために、FOOD TEXTILEはみなさんの日常に寄り添ったアイテムとして、そこにあり続けたいなと思っています」
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