薬物の"有害さ"で1位のアルコール|害のある飲み方とは?知られざる飲酒リスク
コンビニエンスストアや自動販売機でも手軽に購入することができるなど、私たちの社会において身近な存在であるアルコール。しかし、アルコールが及ぼす様々なリスクについては、知られていないことも多いようです。
前回は、アルコールを取り巻く新しい潮流や、飲酒理由別の「飲みすぎを抑えるコツ」を紹介しました。今回はリスクのある飲み方のチェック、自分や身近な人の飲酒に疑問やリスクを感じる時の対応方法をお伝えします。
リスクのある飲み方とは?
日本では、生涯でアルコール依存症に罹患する人は成人人口の約1%ほどと言われています。数字だけを見ると僅かな割合だと感じるかもしれませんが、非飲酒と依存症の間にはいくつかのレベルがあります。
WHO(世界保健機関)が作成したAUDITを使い、自分や家族などの身近な人の飲酒リスクをアセスメントしてみましょう*。
・低リスク飲酒
・中リスク飲酒(問題飲酒)
・高リスク飲酒(アルコール依存症が疑われる飲酒)
アルコール依存症が疑われたり診断基準を満たしているレベルでなくても、中リスク飲酒あたりから徐々に「アルコール乱用」と呼ばれる状態になってくる可能性があります。アルコールが関連して下記のようなことが生じていれば「あの人は酒癖が悪い」などと片付けず、アルコール依存症と同じように対処した方が良いでしょう。
・遅刻や無断欠勤が繰り返される
・飲酒運転
・対人関係の悪化やトラブル
・暴力や借金問題などの社会問題
習慣的な飲酒や多量飲酒**は精神依存や身体依存につながりやすく、アルコール関連問題の中で最も重症度の高い精神障害としてのアルコール依存症の状態へと進行していきやすいと言われています。女性、高齢者、遺伝的に脆弱性を持つ人など、少量・短期間の飲酒でも依存症になりやすい性質の人もいます。その他、妊娠中や授乳中の女性、慢性疾患がある人の飲酒は危険ですし、各種薬剤との併用にも気をつける必要があります。
WHOの定めた診断基準は下記の6項目で、そのうち3つ以上あてはまるとアルコール依存症ということになります。
1. アルコールに対する病的に強い欲求
2. 飲酒行動や飲酒量をコントロールできない
3. 離脱症状がある(飲酒をやめているときに
4. 耐性がある(以前と同量では酔わなくなり、酔うためにより多く飲む)
5. お酒のことで頭がいっぱいになり、その他の楽しみについての関心が薄れる
6. 飲酒によって有害な結果を招くことがわかっているが、飲酒を続けてしまう
厚生労働省研究班の調査(2013年)によると、アルコール依存症の予備軍であるハイリスク飲酒者は約980万人、依存症者は約109万人にのぼると推定されていますが、依存症治療を受けているのは僅か4~5万人程度と考えられています。「もしかして?」と思ったら早めに情報を集め、専門機関に相談しましょう。
*診断基準ではありません。正確な診断は専門医の診察を受けることをお勧めします。
**飲酒1日平均において純アルコール換算で60gを超える飲酒
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
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