あなたの「睡眠負債」危険度は?専門家に聞くリスクと対策法
「睡眠負債」とは、20分、30分といった毎日のほんの少しの睡眠不足が、借金のように蓄積されていく状態のこと。この悪循環を断ち切らないと、心身の健康を害するリスクも…。「睡眠負債」を招く要因と影響を、明治薬科大学准教授の駒田陽子先生にお聞きしました。あなたの睡眠負債の危険度がわかるチェックリストも!
わずかな睡眠不足が大きなダメージに膨れ上がる!
必要な睡眠時間は人によって異なりますが、一般的に成人に推奨される睡眠時間は7〜9時間。でも、質の高い眠りを得られれば、睡眠時間が短くても大丈夫なのでは?
「残念ながら睡眠時間が短いと、良質な睡眠は得られません。睡眠には疲労回復や脳の老廃物除去に役立つ深い眠りのノンレム睡眠と、頭の整理や記憶の定着を行う浅い眠りのレム睡眠があります。これらをひと晩に何度か繰り返すのが良質な睡眠であり、そのためには睡眠時間の確保がマストなのです」(駒田陽子先生)
「睡眠負債」のどのように始まる?
7時間睡眠が必要な人が6時間しか眠っていないなど、本来必要な睡眠時間より30分、1時間といった少しの睡眠不足が続くのが、睡眠負債の始まり。
睡眠不足の慢性化は、体の不調やバランス感覚にも影響
睡眠不足が慢性化すると「眠りの借金=睡眠負債」がどんどん貯まり、やがて大量の睡眠負債に。睡眠負債の蓄積とともに心身の疲労度が増し、日中の仕事や家事の能率が下がります。2週間分の睡眠負債の蓄積で、2日徹夜と同様の状態になるという研究結果も。
ほかにも、睡眠負債が貯まると、風邪をひきやすくなる、うつ症状、肥満を招くといった悪影響が報告されています。また、ガンのリスクを高める要因にも。バランス感覚も鈍るといわれ、ヨガのポーズが困難になる可能性が…!
あなたは大丈夫?睡眠負債の危険度をチェック!
ふだんの睡眠状況や体調をチェック。当てはまる項目が多いほど、睡眠負債が貯まっている可能性が高いです!
☑1日の睡眠時間は7時間未満
☑休日は平日より1時間以上遅く起きる
☑寝つきが悪い
☑夜中に何度も起きる
☑ベッドに入ってからだらだらとスマホを見てしまう
☑日中にだるさを感じる
☑最近、集中力が落ちてきた
睡眠負債を防ぐには
「睡眠負債に気づいたら、返済しようと寝だめをするのは逆効果。眠るべき時間帯に眠れなくなり、生活時間がズレて時差ボケ状態に陥ります。起床時間は変えず、まず1時間ほど早く寝てみて。体調を観察して最適な睡眠時間を探りつつ、こまめに返済しましょう」(駒田先生)
とはいえ布団に入っても寝つけなかったり、何度も目覚めて睡眠不足の人には、朝・夜のヨガが◎。朝の活発な運動と夜のリラックスは快眠のサポートに効果的です。
教えてくれたのは…駒田陽子先生
明治薬科大学リベラルアーツ准教授。日本睡眠学会、日本時間生物学会の評議員。現代人に目覚めの重要性を啓発する「目覚め方改革プロジェクト」の設立メンバーとして睡眠の問題や改善法なども伝えている。著書に『眠気の科学』(朝倉書店)など。
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