寄付=無料と誤解している人が多い「ドネーションクラス」の実態
大切なのは金銭より善意
善意の交換という意味からすれば、寄付よりも供物と言う方が良いかもしれない。経済的余裕のない生徒はクラスを受けるお返しとして、床のモップがけや生徒のチェックインを手伝うなどのサービスを提供してもいいだろう。ノースショアに住む農民たちは、現金よりも作物の方が多く手元にある時はマンゴーやアボカドを持ってきている。経済的に豊かな生徒たちは、感謝の気持ちからクラスの利益になるようにと多めに寄付金を入れていく。街の実業家たちは、数ドル多く寄付すればヨガティーチャーたちが助かることをよくわかっている。一番大事なのは、クラスで得られたものへの対価をティーチャーに返してあげることだ。
ヨガスタジオ側のメリット
当然ながら、ヨガスタジオのレンタル料も発生している。そのため寄付箱のそばには金額の目安が書かれていることが多い。そして現金が望ましい。パワーヨガ・ハワイ・スタジオでは、ティーチャーたちは自分のクラス枠に対して定額のレンタル料を払っている。だから参加者が少なかったり、生徒たちが寄付制を理解していない場合は赤字になってしまう。採算が合わないクラスはあるものの、長い目で見れば熟練ティーチャーたちは寄付制でも十分にやっていけるだろう、とライトは見込んでいる。生徒たちもメンバーシップやパスや予約の負担から解放されると彼は指摘する。
ノースショアにあるパウマルヨガでも寄付制を採用している。ウェブサイトではこのように説明されている。「クラスを評価し、経済的に無理のない範囲で寄付をしてください。寄付の多くはお金で支払われています。目安は10~20ドルです。支払いたいお金が足りない場合はトレード(交換)でも結構ですので、クラスのティーチャーにお尋ねください。トレードの例としては、ハウスクリーニング、マーケティング、マッサージ、鍼治療、ウェブサイトのアシスタントなどがあります。ただしティーチャーたちにも生活がありますので、できる範囲でお支払いいただけると助かります」
同じく寄付制を採用しているノースショア・ヨガコープも、次のようなメッセージを発している。「寄付は、与えるという神聖な行為です。何を提供するかはあなたの心と経済状況次第です。金銭での寄付が難しければ、ティーチャーにご相談ください。金銭以外にも多くの方法があります」
宗教やスピリチュアルの用語では、供物は献身や感謝を表す。自分が何を与えられるかを考える時、私たちはパタンジャリのヨーガ・スートラに記されている3つの主な原則を実践することができる。一つ目はアパリグラハ(不貧)。さらにポジティブに言えば寛容さだ。二つ目はサティヤ(正直さ)で、自分が本当に払える額を寄付すること。3つ目はアヒムサで、すべての人々が一つであることを尊ぶこと。つまり、人に与えるものを、自分にも与えていることになる。これらを心に刻んでいれば、何を寄付するにしても正しい行為になるだろう。
ヨガハワイマガジン版/「Donation Based Yoga Classes」
ライター/ジェニー・リー
17年以上にわたり、ヨガセラピストとして伝統的なヨガと瞑想がもたらす癒しの効果を何千人ものクライアントに伝えている。著書「True Yoga」に記した方法を用いながら、不安感、うつ、苦悩、心的外傷後ストレス、注意力欠陥、摂食障害、対人関係を克服できるように人々をサポートしている。
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