身体が柔らかすぎるのは危険!ヨガで必要な「運動機能の3要素」を理学療法士が解説
身体が柔らかすぎるのは危険!ヨガで必要な「運動機能の3要素」理学療法士が教えます。
柔らかい身体を追い求めるのは危険?
ヨガを始めたばかりの時は、インストラクターや周りの生徒さんの身体の柔らかさに圧倒されることがあると思います。
最初きっとまず誰もが憧れるポーズが、ハヌマナーサナ(猿王のポーズ)や、ウパヴィシュタコーナーサナ(開脚前屈のポーズ) といったところでしょうか。そのようなポーズを目標にしてヨガに励んでいくのは良いことです。実際私もヨガを始めてからの数年間は、そういった高い柔軟性を必要とするポーズばかり好んでチャレンジしていました。
ただ知っておいて欲しいのが、柔軟性だけを追い求めて練習していくのは危険だということです。
「参考可動域」とは
私達の身体にはたくさんの関節があり、それぞれの関節が可動する正常範囲が具体的に何度というように数値が決まっています。これを「参考可動域」といいます。下の表が関節可動域測定の表(一部)です。
では実際にこの2つのポーズを例にとって、可動域をチェックしてみましょう。
ハヌマナーサナ(猿王のポーズ)
両脚を前後に180度開脚したポーズです。股関節の屈曲の参考可動域は(膝伸展位の場合)90度、そして伸展の参考可動域は15度です。このポーズだと屈曲している前脚はちょうど90度くらいなので前脚は大丈夫でしょう。ところが後脚はどうでしょう?股関節伸展15度という参考可動域をはるかにオーバーして、90度まで伸展が出ています。
ウパヴィシュタコーナーサナ(開脚前屈のポーズ)
座位で両脚を左右に開脚して、さらに上体を前に倒すポーズです。まず、左右に開脚した際の両脚の角度は120〜130度が理想とされていますが、写真を見るとそれを超えて180度に近いところまで開脚していますよね。さらにそこから上体を前方に倒すことで、股関節の屈曲が必要になります。股関節の屈曲の参考可動域は、一つ目のポーズで述べた通り90度です。このポーズは股関節で身体を前後に二つ折りしたような形なので、股関節の屈曲は90度どころか180度まで出ていることになります。このポーズも参考可動域をオーバーしています。
決してこれらのポーズが身体に良くないと言っているわけではありません。参考可動域を超えることがダメというわけでもありません。何が言いたいかというと、人体の構造上必要な可動域を超える範囲まで、ヨガのポーズでは可動域を要するものが多いです。そうすると怪我のリスクが当然高まります。そのため柔軟性だけでヨガにチャレンジするのは危険だということを知っておくべきです。
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