「退屈な人生だ」と悲観する前に見直すべきこと

 「退屈な人生だ」と悲観する前に見直すべきこと
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人生を変えたいなら、習慣を見直そう!

とはいえ、ヨガでは、個人の選択が最も重要だと考えられている。というのも私たちは、自らの選択をするときに、変化と成長を求めてカルマの法則を用いることができるからだ。ここから、私たちはカルマの第2の原則へと導かれる。つまり、過去の思考や行為は現在の人生を形づくり、現在の思考や行為はこの先の人生に対して計り知れない力を持つ、ということだ。こんな言葉を知らないだろうか。「過去に自分が何をしたかを知りたければ、今の人生を見ればいい。将来、自分がどんな人間になるのかを知りたければ、今自分が何を考え、何をしているのかを見ればいい」
ここからカルマというテーマが興味深くなり、いくらか神秘的なものになってくるだろう。ヨガや仏教、そして正統派ユダヤ教などでは、個人の意識は多くの異なった生涯を転々とするものだと説く。自身が著した重要な教典、『ヨーガ・スートラ』において賢者パタンジャリは、過去の思考や行為は私たちの無意識の部分に印象を残す、と言っている。サムスカーラとして知られるこういった印象は、無意識の記憶の中に留められる。それは無意識のマインドに刻み込まれた溝やわだちのようなもので、私たちの心理的傾向や習慣として表れ出るものだ。

性格は習慣が作り出す

つまり、自分の性格は、こういった心理的傾向や習慣によって決まり、私たちは、それらがつくり出したレンズを通して世界を見るのだ。過去のカルマはこういったサムスカーラの集まりとして表れ、それはカルマの傾向、カルマの痕跡、カルマのパターンなどと呼ばれる。サムスカーラは過去のカルマが表出したもので、将来の行動を決める手助けもするものだ。
物事を行う方法を変えると新しいサムスカーラが生まれ、その結果、新しいカルマの影響がもたらされる。その逆もある。考え方を変えることでサムスカーラに変化が起きると、行動の仕方にも影響するのだ。現代風の格言には、「思考の種を蒔き、習慣を刈れ。習慣の種を蒔き、性格を刈れ。性格の 種を蒔き、運命を刈れ」とある。
要するに、私たちのなかに刻まれた印象である、潜在意識下に記憶された過去の思考や行動は、未来の経験の根源ともなるのだ。人生に変化をもたらしたいとき、まず自分の習慣的な思考パターンに目を向けるのが賢明だという理由がここにある。

 

ライター
サリー・ケンプトンは、世界各国で知られる瞑想やヨガ哲学の指導者であり、『Meditation for the Love of It 』の著者。

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Translated by Yuko Altwasser
yoga Journal日本版Vol.24掲載



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