野菜や果物の皮や芯、捨ててない?〈芯や皮が健康食材に〉管理栄養士が教えるエコで体にやさしい暮らし

 野菜や果物の皮や芯、捨ててない?〈芯や皮が健康食材に〉管理栄養士が教えるエコで体にやさしい暮らし
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野菜や果物の皮や芯、捨ててしまっていませんか?実は、その捨てている部分を活用することで、環境と体にやさしい生活が実現できます。この記事では、近年注目されている「アップサイクル」の考え方と管理栄養士の視点を交えながら、環境への負荷を抑えつつ健康にも役立つ食材の活用方法を紹介します。

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付加価値を与えて再利用する「アップサイクル」

エコで体にやさしい暮らし。皮や芯が「健康食材」に変わるアップサイクル術【管理栄養士が解説】
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環境に配慮した取り組みとして注目されている「アップサイクル」をご存じでしょうか?アップサイクルとは、本来捨てられるはずのものに手を加え、より価値の高い製品にすることです。

たとえばファッション業界では、シーズンを過ぎた衣類をバッグに作り替えて販売している企業があります。カラフルな化粧品からクレヨンを作る取り組みも存在します。

アップサイクルと似た考え方として知られているのが、リサイクルです。

リサイクルは、ものを素材に戻してから製品の材料として再利用することを指します。ペットボトルを繊維に加工し、衣類の原料にするのはリサイクルの一例です。一方で、アップサイクルはものを素材に戻すことなく、特徴を活かして再利用する点が異なります。

アップサイクルが注目されているのは、廃棄物が削減され、持続可能な社会の実現につながると考えられているためです。廃棄物が減ると、焼却などにともなう二酸化炭素の排出が抑えられ、環境への負荷が軽減されます。

また、リサイクルのように素材へ戻す工程がないため、エネルギーやコストを抑えられることも利点のひとつです。

アップサイクルは企業が行うものと思われがちですが、実は私たちも生活のなかで取り組めます。さらに、食材のアップサイクルにより、環境だけでなく、健康へのうれしい効果も期待できます。

アップサイクルで栄養成分を無駄なく摂取

エコで体にやさしい暮らし。皮や芯が「健康食材」に変わるアップサイクル術【管理栄養士が解説】
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家庭で料理を作る際に、野菜の皮や芯を捨てている方は多いでしょう。しかし、皮や芯も食材の一部です。もちろん、そのままでは食べにくいものもありますが、少し手を加えると食べられることも多く、料理にも活用できます。

食材をアップサイクルするメリットは、廃棄物を減らせるだけではありません。皮や芯にも食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養成分が含まれるため、食材を余すところなく使うことで、その成分を無駄なく摂取できます。

なかでも注目したいのが、ファイトケミカルです。

ファイトケミカルとは、植物が外界から自分を守るために作り出す、色素や香りなどの成分です。ポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質も含まれます。

抗酸化物質には、活性酸素の働きを抑え、体の老化や生活習慣病などを防ぐ効果が期待できます。食材の皮や芯まで無駄なく食べることで、抗酸化物質もしっかりと摂取できるでしょう。

やってみよう!簡単アップサイクルレシピ

エコで体にやさしい暮らし。皮や芯が「健康食材」に変わるアップサイクル術【管理栄養士が解説】
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家庭でもできる、食材をアップサイクルする方法を紹介します。いよかんやはっさく、甘夏など、季節の柑橘類で作ってみてください。

柑橘のピール

1. 柑橘類の皮を細く切り、たっぷりの湯で5分ほどゆで、ざるに上げる。

2. 1の作業を2〜3回繰り返したら、皮の水気を切って計量し、皮の重さの50〜70%のグラニュー糖を用意する。

3. 鍋に皮とグラニュー糖を入れ、ひたひたになるまで水を加えて火にかける。沸騰したら弱火にし、混ぜながら水気がなくなるまで煮詰め、ざるに上げる。

4. オーブンシートを敷いた天板に皮を並べ、100℃で予熱したオーブンで20〜30分加熱する。粗熱が取れたら完成。

そのままでもおいしく食べられますが、グラニュー糖をまぶしたり、チョコレートでコーティングしたりするのもおすすめです。

柑橘類の皮の白い部分に豊富なヘスペリジンは、血中の中性脂肪を減らしたり、血圧を下げたりする作用が報告されている成分です。また、食物繊維の一種であるペクチンも皮の白い部分に多く、整腸作用や血糖値の上昇を抑える作用が期待できます。

ほかにも、細く切った野菜の皮を炒める「きんぴら」、野菜の皮やへたを煮込んで出汁をとる「ベジブロス」などの方法があります。捨てずに活かすひと工夫で、環境と健康を守っていきましょう。

【参考文献】
東京都立産業技術大学院大学「第135回コラム『アップサイクルって何?』」
中村督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部. 2022.

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