春に起きやすいニキビトラブルの原因は?台湾で診療する日本人中医師が対処法を解説!


長い冬が終わりを迎え、新しい春の始まり。新年度がスタートし生活スタイルが変わる時期で、心身にも不調が現れやすい季節です。今回は、台湾の中医学クリニックで日本人中医師として活躍されている小泉文乃さんに、中医学の観点から春に起きやすいニキビトラブルの原因や対処法を教えていただきました。
春はなぜニキビができやすいのか?
ーーー春になるとニキビのトラブルが起きやすいのはなぜでしょうか?
春は陽気が立ち上り、内側から外側へのエネルギーが動く時期。徐々に気温が上がり、汗や皮脂の分泌が増えてくるのに、冬の間に固く閉じてしまった毛穴はなかなか開かずに上手く排出されずニキビになりやすいです。その他、環境の変化によるストレスや自律神経の乱れもニキビの原因に。
中医学ではニキビのできる部位が五臓の不調を反映しているという見方もあります。わたしの臨床経験上、思春期を過ぎてもニキビがなかなか治らない場合、鼻にニキビができやすいなら胃腸系のトラブル、顎にできやすいなら婦人科系のトラブルと相関がある可能性があります。
中医学を基にした、ニキビ改善方法
ーーー中医学の観点から、ニキビ肌の改善方法を教えてください。
ニキビ対策は、中医学でも西洋医学でも基本は同じ。皮膚を清潔に保ち、しっかりと保湿することが重要です。洗顔料に関しては、シンプルな成分でできた固形石鹸が良いでしょう。洗顔フォームよりも添加物が少なく、肌に余分なものを残さないからです。ただ、固形石鹸は脱脂作用が強く洗いあがりの肌がさっぱりしすぎるため化粧水でしっかりと保湿するのも忘れずに。
食生活に関しては、どの食材を取り入れるかよりも避けるべき食べ物に注意。チョコレート、乳製品、ナッツ類、加工食品、砂糖が多く含まれている物などは身体に湿熱をこもりやすくさせ、皮脂分泌を増加させてしまいます。また、中医学において春は「肝気*(かんき)」が上がって熱を持ち、ニキビが出来やすくなると考えます。そのため、清熱作用のある苦い食材で肝気を落ち着かせるのも良いでしょう。例えばタケノコ、菜の花、タラの芽など。
スキンケア方法について、塗り薬は出来てしまったニキビを治すのには使えますが予防はできないので、中医薬で体の中からニキビの出来にくい身体に整えていきます。生活習慣も身体の状態を大きく左右し、特に睡眠不足はあらゆる肌トラブルの原因。中医学では、23:00〜3:00は「肝胆(かんたん)の時間」と呼ばれデトックスタイムにあたるので、この時間帯はしっかり睡眠をとるのがベスト。
*肝気とは:「気」は場所や役割によって種類があり、肝が持っている気を「肝気」という
ニキビができる場所と心身の不調の相関関係▼

ニキビに効く!ツボ押しを3つ紹介
ツボ押しの前に...身体の採寸方法
身体の大きさは人によって違うので、ツボの位置を測る際はその人の親指の幅を基準にします。基本的には親指の幅1本分を1寸と考えます。親御さんがお子さんの身体のツボを押す際も、お子さん自身の親指を基準にして測ってあげてくださいね。
ーーー効果的なツボ押しの方法はありますか?
押すことと深呼吸をセットにすることを意識してみてください。基本的には息を吐きながら押して離す時に吸います。3秒ぐらいかけて息を吐きながら押して、2〜3秒ぐらいホールド、また3秒ぐらいかけて息を吸いながらゆっくり押している力を緩めていく。
ーーー同時に深呼吸をするのはツボ押しの基本なんでしょうか?
そうですね。深呼吸することで気持ちも落ち着きますし。針治療の際も、患者さんに息を吐きながら刺して抜くときは吸いながら抜きます。中医学では息を吐いて空になったところに「気」を注ぎ込んで補うと考えます。
ーーーどのツボも同じ力加減で押すのがいいでしょうか?
場所によって痛みの感じ方は違いますし、人によってはほんの少し押しただけで痛いと感じることもあります。なのでリラックスするためにツボを押すのであれば、痛いと感じる力で押してしまうとむしろ身体が緊張してしまって良くないんです。なので、一番はその人が耐えられて、気持ちいいと感じられる強さを目安にしてみてください。
ニキビに効くツボ① 合谷(ごうこく)
【妊婦さんはNG】
手の甲にあり、親指と人差し指の骨を手首側に辿って交わるところ。手首側に押し込むとツーンと響く。消炎・鎮痛効果があり、首から上のトラブル全般(頭痛、歯痛、目の疲れ、ニキビ、鼻炎など)に効く万能のツボ。ツーンとした刺激で眠気が吹っ飛ぶ。
親指をツボに当て、人差し指側の骨の方に向かって押し上げるように刺激。息を吐きながら押し、息を吸いながら緩める。力を入れ過ぎないように。ただし、妊婦さんはこのツボはNG。

ニキビに効くツボ② 曲池(きょくち)
肘を曲げた際の皺の外端。体にこもった熱を取り、気の流れをスムーズにする作用がある。肩こりや腕の痛みにも効くツボ。親指ツボに当て円を描いてほぐすように刺激。

ニキビに効くツボ③ 太衝(たいしょう)
足の甲にあり、親指と第二指の骨を足首側に辿って交わるところ。肝と関わりの深いツボ(肝経の原穴)で、上に上がった気や熱を下げたり、全身の気血、水分の流れを整える作用がある。デトックス効果もあるので、二日酔や乗り物酔いの際にも押すとすっきりする。ストレスが溜まっている人はここを押すとすごく痛い。親指をツボに当て円を描いてほぐすように刺激。

プロフィール:小泉文乃(こいずみあやの)さん
台湾在住。薬学博士、中医師。大学教員時代に共同研究のために初来台、中医師という職業に興味を持つ。台湾の大学の中医学部に入学し、現在は台湾で中医師として台北と基隆の2か所で診療を行っている。台湾に日本人中医師がいることの認知向上と中医学の理解のためにSNSを開設、情報発信をしている。
小泉さんのInstagram
小泉さんが診療しているクリニック
●台北:台北聖璽中醫診所 台北市中山區農安街26號2樓
●基隆:基隆生基中醫診所 基隆市仁愛區劉銘傳路1-3號四樓

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