「今の季節、何を食べればいい?」に答えます!管理栄養士が教える〈ブロッコリー〉の健康メリット

 「今の季節、何を食べればいい?」に答えます!管理栄養士が教える〈ブロッコリー〉の健康メリット
絵・石松佑梨
石松佑梨
石松佑梨
2025-02-08

薬膳では、ブロッコリーは四季を通じて心身のバランスを整える効果があるとされています。冬には弱まりやすい生命力を補い、春にはストレスからくるイライラや不安を解消します。梅雨から夏にかけては、胃腸を整えて夏バテによる食欲不振を防ぎ、秋の乾燥による便秘には腸内環境を改善します。特に、これから冬から春への変わり目は、寒暖差が大きく免疫力も低下しやすい時期です。ここでしっかりと生命力を補うことが、快適な春に繋がります。本記事では、この時期のコンディションをサポートしてくれるブロッコリーに含まれる栄養素と、その健康効果について、詳しく解説します。

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この時期、低下しがちな生命エネルギーを補うのにおすすめしたい食材がブロッコリー。「ダイエット中でも、お腹いっぱい食べたい」そんな方にもピッタリの野菜です。低糖質&低脂質なのに、高タンパクで食物繊維もたっぷり。しかもカサ増し効果が抜群だから、少しの量でも満足感がアップします。

以下で、ブロッコリーに含まれる栄養素と、その健康効果について詳しく解説します。

タンパク質|植物性で消化に優しく、栄養補給におすすめ

ブロッコリー(ゆで)100gあたりに含まれるタンパク質の量は約3.9g。これは、牛乳100g(約3.3g)よりも多いことが特徴です。植物性タンパク質は肉や魚などの動物性タンパク質に比べて消化の負担が少ないため、胃腸が弱い方でも摂取しやすく、日常的な栄養補給におすすめです。

一般的に、植物性タンパク質は動物性タンパク質に比べてアミノ酸スコア(体内で合成できない9種類の必須アミノ酸のバランスを示す指標)が低めですが、ブロッコリーは野菜の中では比較的バランスが良い方です。ただし一部のアミノ酸は不足しやすいため、肉、魚、卵などの動物性食品と組み合わせることで、タンパク質の利用効率を高めることができます。

葉酸|妊活中だけでなく、すべての世代に必要な健康ビタミン

葉酸はDNAの合成や細胞分裂を助け、健康な細胞の成長に欠かせないビタミンB群の一種です。特に必要量が増える妊娠初期には、サプリメントも用いて葉酸の摂取をサポートすることが推奨されています。近年では、葉酸は妊活ビタミンとしてよく知られていますが、実際は子供から大人まで、どの世代にとっても重要な栄養素です。

葉酸は赤血球の生成に関与し、不足すると貧血の原因になることがあります。さらに、葉酸は動脈硬化のリスクを低減し、心血管疾患の予防に役立つことも報告されています。高血圧や脳卒中のリスクを下げる可能性があるため、中高年の健康維持にも欠かせない栄養素です。また、葉酸は認知機能にも関与しており、不足すると認知症のリスクが高まる可能性があるといわれています。加齢による脳の健康維持のためにも、日頃から意識的に摂取することが推奨されます。

ビタミンC|免疫力アップ&美肌に効果的な抗酸化ビタミン

ビタミンCには、風邪やインフルエンザ対策に役立つ免疫力アップ効果があり、さらにタンパク質とともにコラーゲンの生成を助け、肌のハリを保つ働きがあります。また、β-カロテンやビタミンEとの相乗効果により強力な抗酸化作用を発揮し、老化防止やアンチエイジング、シミやシワの予防にも役立ちます。

ブロッコリーは、レモンよりも多くのビタミンCを含む、優れた抗酸化食品です。100gあたりのビタミンC含有量は、生のブロッコリーが約140mg、レモン果汁は約50mgと、ブロッコリーの方が圧倒的に豊富です。

ただし、ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、調理法に注意が必要です。ゆでると栄養が流出しやすいため、蒸す、電子レンジ加熱、スープにするなどの方法を選ぶと、ビタミンCの損失を抑えて効率よく摂取できます。

カリウム|むくみ解消&高血圧予防に役立つ必須ミネラル

カリウムは、体内の余分な塩分を排出し、むくみを解消するのに役立つミネラルです。寒い季節や運動不足によって水分代謝が滞りやすい冬場には、カリウムを摂取することでスムーズな排出をサポートし、すっきりとした体を保つことができます。また、カリウムは血圧を正常に保ち、高血圧の予防にも重要な働きをします。ナトリウムの過剰摂取は血圧上昇の原因となりますが、カリウムを積極的に摂ることでバランスをとり、血管の健康を守ることができます。

ただしカリウムも水溶性のため、ゆでると流出しやすいのが難点。蒸す、電子レンジ加熱、スープで摂取するのがおすすめです。

食物繊維|腸内環境を整えて便秘改善&代謝アップ

ブロッコリー(生)100gあたりの食物繊維含有量は約5.1gと、野菜の中でも豊富です。特に、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を含んでいるため、腸内環境の総合的なサポートが期待できます。

食物繊維は、腸内環境を整えることで、便秘の予防・改善に役立ち、デトックス効果を発揮する栄養素です。特に、腸のぜん動運動を促進し、体内の老廃物をスムーズに排出する働きがあるため、腸活を意識する方には欠かせません。

また、食物繊維には血糖値の急上昇を防ぎ、脂質や糖の吸収を緩やかにする作用があるため、ダイエットや生活習慣病予防にも効果的です。さらに、食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラのバランスを整えることで、免疫力向上や美肌にも貢献します。

スルフォラファン|抗酸化&デトックス効果が期待できる成分

ブロッコリーやカリフラワー、ケールなどのアブラナ科の野菜に含まれるスルフォラファンは、強い抗酸化作用と解毒作用を持つ成分です。がん予防の効果が期待されるほか、近年の研究では花粉症の症状を和らげる可能性も示されています。

スルフォラファンはブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトに特に多く含まれています。そのため、抗酸化作用やデトックス効果を最大限に活かしたい場合は、スプラウトも積極的に取り入れるのがおすすめです。

まとめ|ブロッコリーは栄養満点のスーパーフード!

ブロッコリーは、ビタミンC、葉酸、カリウム、食物繊維、スルフォラファンなど、多くの健康・美容に役立つ栄養素を含むスーパーフードです。特に、免疫力アップやデトックス、ストレスケア、美肌、腸活など、多方面にメリットがあるため、毎日の食事に積極的に取り入れたい野菜です。

栄養を逃さず効果的に摂取するには、蒸す、電子レンジ加熱、スープにするなどの調理法を選ぶのがポイント。ぜひ、ブロッコリーを賢く活用して、健康的な食生活を送りましょう!


参考文献:

日本食品標準成分表 2020年版(八訂)

National Cancer Institute「Sulforaphane and Cancer Prevention」

American Journal of Clinical Nutrition「Sulforaphane and Allergic Response」

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