〈老化対策〉運動不足の40〜50代は積極的に食べて!筋肉の老化を止める食べ物|管理栄養士解説
40代、50代に差し掛かると、階段の上り下りで息切れがする、疲れやすくなったなど、体力の衰えを感じることはありませんか?これは、加齢に伴う筋肉の老化が原因かもしれません。 「筋肉の老化」とは、筋肉量が減少し筋力が低下した状態を指します。放っておくと日常生活に支障をきたす「サルコペニア」を引き起こすことも。
本来高齢者で起こりやすいサルコペニアですが、体を動かす習慣のない方や体に必要な栄養素が不足している方では、40〜50代でもリスクが高まることがわかっています。
この記事では、40〜50代の筋肉の老化を防ぐために効果的な「食べ物」に焦点を当てて解説します。運動と合わせて意識して、健康維持に必要な筋肉量・筋力の維持に役立ててくださいね。
たんぱく質で筋肉を維持
たんぱく質は、エネルギー源となるほか筋肉の材料となる体に欠かせない栄養素です。しかし、食事の偏りや食事量の低下によりたんぱく質の摂取量が少なくなると、たんぱく質の不足を招き、筋肉量の低下につながる可能性があります。
筋肉づくりに役立つ、おすすめの高たんぱく質食品をご紹介します。
鶏むね肉
低脂肪で高たんぱく質の食品といえば鶏むね肉。たんぱく質を体内で効率よく利用することに欠かせないビタミンB6やナイアシンなどの栄養素も豊富に含まれています。
青魚
魚類もたんぱく質が豊富な食材です。とくにまぐろやさば、いわしなどの青魚は、たんぱく質に加え、健康によい脂質といわれる「オメガ3(n-3)系脂肪酸」が含まれています。
卵
手に入りやすいうえ、手軽に食べられる点もうれしい卵にもたんぱく質が豊富。卵は、ビタミンCと食物繊維を除く栄養素が含まれており「完全栄養食」とも呼ばれています。
大豆製品(豆腐、納豆など)
肉や魚にも匹敵する、質の良い植物性たんぱく質が大豆のたんぱく質です。大豆や大豆製品には、イソフラボンやサポニンといった健康に役立つ成分も含まれています
牛乳・乳製品
カルシウムの摂取源となることで知られる牛乳や乳製品も、たんぱく質の摂取源となります。カルシウムとたんぱく質を同時に摂取できるため、骨の健康維持に効果的である点も40〜50代にとってうれしいポイントです。
たんぱく質摂取のポイント
たんぱく質を摂取する際のポイントは、以下の通りです。
●食事ごとに摂取する
●さまざまな食品からたんぱく質を摂取する
●運動と組み合わせる
たんぱく質は一度にたくさん摂取しても、すべてが有効に利用されるわけではありません。そのため、3食の食事で摂取しましょう。
また、できるだけ多くの食品からたんぱく質を摂取することで、たんぱく質以外に摂取する栄養素のバランスを整えるのに効果的です。
さらに運動も併用して行うことで、より筋肉量の維持や増加に役立つでしょう。
たんぱく質以外にも積極的に摂取したい栄養素や成分
筋肉の老化防止のためには、たんぱく質以外にも重要な栄養素があります。
ビタミンD
カルシウムの吸収をサポートし、骨の健康を維持する作用のあるビタミンDには、筋肉の合成を助ける働きがあるといわれている栄養素です。
ビタミンDは魚類やきのこ類に豊富に含まれるほか、日光浴によって体内で生成されます。
ビタミンB6
おもにたんぱく質の代謝に関与するビタミンであるため、不足すると体内でたんぱく質が効率よく利用されない可能性があります。
ビタミンB6は、赤身の肉や鶏むね肉、まぐろなどに多く含まれています。
抗酸化物質
筋肉をはじめ、体の細胞を若々しく保つためには、抗酸化作用のある成分を摂取することもおすすめ。主な抗酸化物質と含まれる食品は以下の通りです。
●アントシアニン(ブルーベリー)
●イソフラボン(大豆・大豆製品)
●セサミノール(ごま)
●ルチン(そば)
●カテキン(緑茶)
●β-カロテン・リコピン(緑黄色野菜、果物)
●アスタキサンチン(エビ、カニ、鮭など)
毎日の食事で筋肉の老化を防ごう
筋肉の老化を防ぐためには、特定の食品に偏ることなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが重要です。本記事で紹介した食品を、毎日の食事に取り入れてみてくださいね。
筋肉量は20代頃をピークに減少しやすくなるといわれているとはいえ、40代や50代からでもしっかりと対策すれば大丈夫。バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、健康でアクティブな毎日を送りましょう。
参考文献:
40代から女性が陥りやすい筋力低下。「サルコペニア(筋肉減少症)」は、ふくらはぎの太さで測れます|公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会
AUTHOR
鈴木亜子
管理栄養士/ライター。大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病などさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で、療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、ウェルネス関連の記事執筆および監修に携わる。
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