できないことはいけないこと?心理学的に考えるヨガとの付き合い方

 できないことはいけないこと?心理学的に考えるヨガとの付き合い方
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南 舞
南 舞
2018-11-28

ヨガを始めてはみたものの、「できない自分」にイライラしたりまわりと比べて落ち込んだり…そんな「壁」にぶち当たっているあなたに知ってほしい、ヨガとの付き合い方とは。臨床心理士としても活動するヨガインストラクターが、考えてみました。

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巷では、モデルや女優など芸能人がヨガをライフワークに取り入れている様子がメディアで取り上げられたり、SNSなどでも「インスタ映え」などと呼ばれるほど、とてもきれいなポーズを取った写真や動画もたくさん挙げられていますね。そういう姿を目にして「わたしもヨガをしてみたい!」と思った方も少なくないはず。しかし、いざヨガをやってみたものの、「体が硬くて思い通りポーズが取れなかった」「やっても身体が変わらないから続かなかった」「○○さんはあんなに難しいポーズができているのに私はできない…。」など、自信を失ったり、ヨガのクラスに行くのをやめてしまおうと思った経験ありませんか?

でもよく考えてみて。それって「人と比べない」というヨガの根本から少しずれてしまっていませんか?

他人基準の価値観に苦しんでいる?

分かってはいるけどなかなか「人と比べない」ということを実行するのは難しいことですよね。人と比べないはずのヨガなのに、なぜ人と比べるということが起きてしまうのでしょうか。

それは知らず知らずの間に、わたしたちの思考の中で「ポーズはうまくできないといけない」「身体がやわらかくないとヨガはできない」といった価値観が出来上がっているからかもしれません。これらの価値観は心理学的には「べき思考」とか「0か100か思考」などと呼ばれています。

本来は、『出来事・事実』に良い・悪いの基準はないはずなのですが、ここに『価値観』という判断基準が入ってくると、わたしたちの『反応』は大きく変わってきます。

例えば、

『身体が硬くできないポーズがある(事実)』
 ⇓
『まずは今の自分の状態に合ったヨガをしよう、身体が硬い人に教えるのが上手な先生のところにレッスンを受けに行ってみよう(反応)』

となると思うのですが、ここに【価値観】が入ってくると、

『難易度の高いポーズができない(事実)』
 ⇓
『何年もヨガしているなら、このポーズはできているべき(価値観)』
 ⇓
『できない自分がダメだ(反応)』

と、自分の状態を他人と比べて良いか悪いか、できているかできていないかという価値基準でしか見れなくなります。結果それが自分を苦しめることになってしまうのです。

見方を変えてみよう!

もしあなたが今その状態にあるとしたら、世の中が生み出したヨガのイメージ、価値観に支配されている状態かもしれません。そんな時は、ヨガに対する見方やクラスに対する印象を変えることをお勧めします。

①苦しい状況をリフレーミングしよう!

リフレーミングとは、簡単に言うと意味づけを変えることです。例えば、「他の人たちが上手なので、ヨガのクラスに行くのがしんどい。」と思っているとしたら、一番最初にヨガを始めようと思った時のことを思い出してみましょう。なぜヨガを始めたのでしょうか?「身体が楽になる感覚があった」とか「心も身体も健康になるため」とか自分の中で思いがあったはずです。それがいつの間にか「人よりも上手にポーズが取れるようになりたい」という気持ちに変わってしまっているのかもしれません。

集団の中に入るとどうしてもその場での価値観が作られてしまい、目先のことにとらわれがち。少し冷静に本来の自分の目的を取り戻してみましょう。

②クラスへの印象を変えよう!

リフレーミングが意味づけを変えることに対して、「印象」を変えることで変化を起こそうすることです。心理学的にはサブモダリティーチェンジ(五感の質の変更)と呼ばれ、印象を作っている五感(見える、聞こえる、感じるなど)を変えることで、物事に対する印象を変えていくという考え方です。

例えば、「行くのつらいな…」と思っているクラスの先生や生徒さんたちの表情、雰囲気、姿勢、話し方などに緊張感や苦手意識を感じていたりしませんか?人は自身の昔の経験から他人の印象を作るので、似たような雰囲気の人に出会うと、「この人はこういう人だ」と決めてしまいがち。自分が苦手だと思う環境では、どうしても自分の本来の力は発揮しづらいものです。

思い切って自分の苦手なことを先生や生徒さんと話してみると、意外とていねいに教えてくれたり、親身に話を聞いてくれた!なんてこともあるかもしれませんよ。

もし話してみても「違うな…」と感じる時は、そこがあなたにとって合わない場所なのかも。自分が安全にヨガを受けられる場所を探してみるのも大切なことかもしれません。

終わりに

ヨガが広まって多くの人たちがやるようになり、SNSなどの普及で気軽に発信できるようになったからこそ、世の中の価値観が優先なってしまったり、それによって自信を失うこともあるのかもしれませんね。でも本来のヨガは「人と比べない」「自分の内面と向き合う」もの。いま一度、「ヨガとの向き合い方」を考えたいものですね。

 

 

 

 

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