更年期で一番つらかったメンタル不調。食事や運動、物の整理…いろいろ試してわかった対処法【体験談】
更年期には、ほてり・発汗・疲れやすさ・イライラ・落ち込みなど、人それぞれ様々な不調を感じることがあります。漫画家の安彦麻理絵さんは、特にメンタルの不調に悩まされていましたが、色々な対処法を試してみたとのことです。『生理終了!と思ったら。 更年期メンタル、私なりの付き合い方 』(竹書房)にはその経験談が描かれています。閉経や更年期の症状、メンタル不調の対処法について、詳しく伺いました。
PMSがつらかった
——生理について悩むことはありましたか?
生理自体は痛いこともあったものの、量がすごく多くて困っていたとかではなく、PMS(月経前症候群)の方がしんどかったです。
でも20代や30代半ばまではそこまででもなくて。38歳で2人目を産んだのですが、出産後に生理が復活した頃からPMSが悪化しました。というのも、2人目の妊娠中にちょっと人間関係で悩むことがあり、その頃から情緒不安定になることが多かったんです。夫にあたってしまうことが多くて、生理前になると「離婚だ!」とブチギレてしまっていました。
友人にも産後にPMSが悪化したと話している人がいて、低用量ピルを飲み始めてから、PMSが改善されたという話を聞き、私も飲み始めたんです。
低用量ピルを飲み始めても、生理前のイライラを感じることはあったのですが、生理がくる日がわかるようになるので、「もうすぐだからイライラするのは仕方ない」と受け入れやすくなったので、だいぶ楽になりました。
——閉経前はいかがでしたか。
周りにいる年上の女性からは、閉経前にドカン!と打ち上げ花火のような生理がくるという話を聞いていたんです。たとえば、48歳の知人は、もう生理がこないから終わるのかなと思っていたところ、いきなり来た上、はらわたがひっくり返るくらい痛かったそうで。
私は50歳で閉経(※)したのですが、閉経前は来たり来なくなったりを繰り返しました。1か月に2、3回来ることもあったのですが、来ても3日程度で終わって、色もワビサビの効いた水墨画のようで、最後は穏やかにしれっと終わりました。
閉経すると、人によっては「もう女性でなくなった」と感じる人もいると聞きますが、私はPMSから解放されることが嬉しかったです。
※最後の生理から1年経過したときに閉経したと判断します。
メンタル不調で悩んだ更年期
——更年期の症状はどんなことで悩みましたか?
私はメンタル不調がつらかったです。更年期の症状がひどかった時期がコロナ禍と重なっていたこともあって、朝からずっと布団から出ないで、スマホで怪談ばかりを読んで過ごすなど、引きこもってネットばかり見る生活を送っていました。
とはいえ、子どもが手のかかる年頃だったら、そうしていられなかったとは思うのですが、4人いる子どものうち、一番下の子も小学生で、頑張らなくてもなんとかなったので、引きこもっていられたという面もあります。
憂鬱感が強く、お風呂に入るのもイヤで、今考えると自虐行為だったと思います。少し前にネット上で「風呂キャンセル界隈」という言葉が流行っていましたが、まさに同じでした。メンタル不調から日常生活のことができなくなって、何日もお風呂に入らなかったり、同じ格好で過ごしたりしていました。それはどんどん自分を貶める行為だと頭ではわかっていたのですが、やめられないことも苦しかったです。
更年期は自分の体調のことだけでなく、親の介護など、他の悩みもある時期だと思うんです。私の場合は、2022年に母が急死して、今は山形の実家に父親が一人で住んでいるのですが、「施設には絶対に入らない」と言っていて。
でも急速に認知症が進んでいるので、親戚中で大騒ぎをしていたんです。それで私自身もまいってしまって、片頭痛や高血圧などの不調も起きていて。今回の本の最初の打ち合わせをするときにも、お腹を壊して何度かトイレに行かせてもらったこともあったくらいでした。
自分なりに更年期と付き合ってみた
——本書では、更年期不調への対策として、色々なことを試されています。特に自分に合っていたことはどんなことでしょうか?
筋トレ、物の整理、食事、チアダンス……と色々と試して、それぞれ効果を感じましたが、特に着物はずっと着ていきたいと思っています。
美容系YouTuberごっこについても描いたのですが、詐欺メイクで有名な「足の裏から人間になるには」のチャンネルが好きでよく見ているんです。技術もすごいですが、見ていて人柄に癒されるんですよね。化粧品も好きで、ドラックストアでも、百貨店に入っているような高級なお店でも、見るのが好きでつい立ち寄ってしまいます。
私はこの年になって、男性にときめくことがなくなってきているのですが、着物や化粧品などへのトキメキは残りました。生きる中でのエネルギーにもなるので、トキメキの心はなくしちゃいけないと思います。
ランニングも細々と続けています。夏場は熱中症が怖くて休んだ時期もあったのですが、涼しくなってからは走っています。単純に走っていると「どうにでもなる!自己肯定感も高まる!」という気持ちになれるんです。
チアダンスも楽しかったのですが、始めてみたら、人と何かを一緒にやるのが苦手なことに気づいたのと、振り付けを覚えることに必死で仏頂面になってしまって。笑顔で踊ることが難しかったんです。
思い立ったら即実行したい派で、かつせっかちなので、ウォーキングよりもランニングが合っていました。
——食事についてはどんなことを意識していましたか?
夫が糖尿病の家系であることから、8年ほど玄米を食べていて、かつシンプルな和食が多かったです。土井善晴先生の「一汁一菜」の考え方も好きで、玄米+具が多い味噌汁というメニューも続けてきました。
ネットで調べたところ、私が摂っていた食事は、更年期症状の緩和との相性が良さそうだったので、更年期の身体的症状が比較的少なかったのは食事が理由だったのかもしれないと振り返っています。
玄米は独特のニオイがあって苦手という声を聞くこともあります。私も最初は圧力鍋で玄米を炊いていて、ニオイが気になっていたのですが、玄米がおいしく炊けることを謳っている炊飯器を買ったところ、全然気にならなくなって。値段はそこそこするのですが、8年近く使っています。
※後編に続きます。
【プロフィール】
安彦麻理絵(あびこ・まりえ)
1969年生まれ・B型・山形県出身。
著書は『再婚一直線!』(祥伝社)、『ババア★レッスン』(光文社)、『酒とナミダとマリエと赤子』(竹書房)など多数。
42歳で第4子を出産した2男2女の母。趣味は着物とランニングと酒と怪談。
X(旧Twitter):@abikomarie
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