「脚が熱くて寝られない…」中年女性に多い「むずむず脚症候群」なりやすい人の特徴は|医師が解説
普段の生活の中で「脚が熱くて寝られない…」といった経験がある人は「むずむず脚症候群」の疑いがあるかもしれません。発症原因が不明である場合も多い、この症状について医師が解説します。
むずむず脚症候群とは、どのような病気なのか?
毎晩の就寝時などに、足首より末端の部位が非常に熱くなる症状を総じて「むずむず脚症候群」と呼びます。
別名で、「バーニングフィート症候群」とも言われています。
むずむず脚症候群を罹患した場合には、足にじんじんするほどの熱さ、あるいは燃え上がるような異常熱が足首全体に感じられるようになります。
このむずむず脚症候群は、足先にかけての血行不良状態が関与しています。
例えば、運動をして筋肉疲労をきたしたり、一日中長い時間立ちっぱなしで労働をしていたりすると、夕方になって下肢全体が静脈うっ滞を引き起こしてむくむことがあります。
こうした脚全体のむくみはその部分の血行不良を招き、その結果として、脚の倦怠感や熱さを覚えることに繋がります。
そのほかにも、むずむず脚症候群の原因は色々推定されており、例えばビタミンBの欠乏症、あるいは糖尿病や甲状腺機能低下症などの代謝疾患などが挙げられます。
むずむず脚症候群の原因はいまだに完全には明らかになっていませんが、ドパミンの機能障害や鉄以外にもマグネシウムが病態に関与していると言われています。
マグネシウムは、人体にとって必須のイオンとされており、日々の健康と生活を支えて維持するのにとても有益な役割を有していますが、近年においては、必須ミネラルの栄養素「マグネシウム」が慢性的にかなり不足している人が増えています。
マグネシウムは体内のさまざまな生化学反応を調節するという重要な役割を果たしており、不足欠乏すると神経伝導のスピードや筋肉収縮、そして筋肉痙攣などの色々な問題を引き起こす可能性があります。
むずむず脚症候群のいくつかの症状はマグネシウム欠乏によって引き起こされる可能性があり、マグネシウム摂取を増やすことによって症状が改善できる研究結果も過去に出ています。
むずむず脚症候群になりやすい人の特徴
むずむず脚症候群の原因のひとつとして、脳内にあるドパミンと呼ばれる神経伝達物質の一つが異常を示すことから発症すると考えられています。
場合によっては、原因となる基礎疾患が特定できないこともありますが、その一方で原因を特定できる場合もあります。
具体的な原因疾患として、鉄欠乏症が挙げられ、生体で鉄欠乏が生じる状況としては、胃切除後症候群、慢性的な消化管出血、生理に伴う月経出血などがあります。
それ以外にも、パーキンソン病・脊髄小脳変性症・ハンチントン病・多発性硬化症などの神経疾患、リウマチ性疾患、内分泌疾患、腎不全、妊娠、うつ病、慢性閉塞性肺疾患などを有する人がむずむず脚症候群を発症することもあります。
また、夏の季節など気温が高いシーズンに体に熱がこもるのに対応して生理的に体温を調整するために、一時的に手足の部分が熱く感じられると考えられています。
熱中症などを患った場合には、体は自然反応として体温を下げようとして、四肢の手足部分から熱を放出して逃がそうとする際に、手足領域の末梢血管を拡張させて皮膚からの熱放散量を相対的に多くする反応がみられる結果として、手足が自覚的に熱く感じます。
まとめ
普段の生活の中で、異常に脚が熱くて寝られないなどの症状に心当たりのある方は、むずむず脚症候群を疑った方がいいでしょう。
むずむず脚症候群は、近年になってはじめて注目されている症状を有しており、その主たる原因として想定される病状は多岐にわたり、なおかつ原因不明であることもしばしば見受けられます。
心配であれば、近くの脳神経内科や整形外科などを受診して、むずむず脚症候群に関連する症状を相談することも出来ます。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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