不安やイライラ…感情に振り回されてしまう人に伝えたいマインドフルネスの実践法|心理師が解説
不安やイライラ等の感情に巻き込まれてしまうことはありませんか?感情との付き合い方に悩んでいる人はとても多いです。今回は、不安やイライラを抗わずに受け入れるマインドフルネスについて心理師が解説していきます。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、今のこの瞬間に気づき、ありのまま受け入れることです。いまの気持ちや考えていること、身体で感じていること、そのような現在の体験一つ一つに気づき、気づいたことを「イライラしてはダメ」「不安なわけない」「抑えなきゃ」と否定したり抗ったりせずにそのまま受け入れて感じます。
感情に抗わないとどうなるの?
受け入れたくない感情に抗ってしまうのはよくあることです。しかし、感情に抗わないことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
1.自分を受け入れる練習になる
感情等に抗うことはエネルギーが必要ですし、ストレスの原因になります。例えば、怒りや悲しみなどの感情を抑え込もうとすると、その感情がさらに強まることや長く続いてしまうことがあります。マインドフルネスの視点からは、その感情を無理に消そうとするのではなく、「今、自分はこう感じている」と認め、ありのままに受け入れることが重要です。このプロセスを通じて自己理解が深まり、自己受容が進みます。
2. 感情は一時的なものだと実感できる
感情は一時的なものです。どんなに強い感情でも、時間が経つと薄れていきます。マインドフルネスでは、感情に対して抗うことなく、ただ「観察」することで、感情の移ろいやすさに気づくことができます。抗わずに観察を続けることで、感情が自然に消えていくことを体験でき、感情に囚われづらくなります。
3. つらさや苦痛の軽減
感情や感覚に抗わないことでつらさや苦痛が軽減します。観察する視点に立つことで、距離を取ることができるため、感情に巻き込まれなくなります。その結果、増幅されていたつらさや苦痛が軽減します。
感情に抗わないマインドフルネスの実践方法
マインドフルネスは継続することが大切です。少しずつ無理のないペースで続けていきましょう。
1. 今この瞬間に注意を向ける
・座って静かに深呼吸をし、目は閉じるか、半眼にしてどこか一点を見つめていきます。
・意識を自分の内側に向けて、呼吸や身体の感覚に注意を集中させます。
・呼吸が入る瞬間、出ていく瞬間を観察します。
・注意がそれて、雑念が頭に浮かんでも、注意がそれたことにただ気づき、再び呼吸に注意を戻す。
2. 雑念や感情にラべル(名前)をつけてみる
・感情や雑念が浮かんできたら、ラベル(名前)をつけてみましょう。
(例:「怒り」、「未来への不安」など)。
・その感情を無くそうとしたり否定したりせず、「ただあるもの」として受け入れる。
3. 身体感覚に意識を向ける
・感情等に巻き込まれそうな時は、身体の感覚に意識を向けましょう。
(例:足が地面と接している感覚、お尻が椅子と接している感覚)
・両手を身体のどこか落ち着く場所に置き、そのぬくもりや手の感覚を感じてみます。
(例:お腹に、胸元、太ももや膝)
4. 二つの意識を同時に持つ
二つの意識を同時に持つ練習をすることで、より自分の内側でおこった感情や雑念に対して距離をとり、客観的に捉えることができます。
・自分の内側にある感情や雑念に意識を向けます。
・次に、自分の外側に意識を向けます。
(例:聞こえてくる音、目に見える物、部屋全体など)
・二つの意識を同時に感じたり、もしくは交互に行ったり来たりと意識を向けます。
5. 「手放す」ことを練習する
・浮かんでくる雑念や感情が流れていくイメージします。例えば、浮かんできた雑念が雲に乗ってそのまま流れていく感じです。
・他の流れていくイメージの練習をしてみる。例えば、「川に流れていく」「列車に乗せる」など、自分にとってイメージしやすい方法で手放していきましょう。
・流れていくイメージの練習を繰り返す。
不安や怒りなどの感情や雑念などが浮かぶのは自然なことで、悪いことではありません。マインドフルネスを通じてどのような雑念や感情に対しても、そのまま感じて反応せずに流せるように練習を重ねていきましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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