皮膚がんによるほくろと、そうではないほくろ。何がどう違う?注意したいほくろの特徴とは|医師が解説
皮膚がんはほくろに似たものが多く、見分け方が難しいものです。注意したい症状について、医師が解説します。
皮膚がんとは何か
皮膚がんとは皮膚で発生したがんのことであり、最初から皮膚で発生した場合、原発皮膚がんと呼ばれ、他の臓器で発生して皮膚に転移した皮膚がんは転移皮膚がんと呼ばれます。
皮膚がんの種類は基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、悪性黒色腫などに分けることができます。
皮膚がんの病変はほとんど目によく見えるため、早期診断が可能です。
過度の紫外線を浴びた場合は皮膚癌の発生のリスクを高め、主に中年以降に頻発し、皮膚が白く、白人に頻繁に発生します。
他にX線のような放射線、火傷・創傷・瘢痕・潰瘍・慢性刺激や熱などを含む外傷を受ける、あるいは化学物質を持続的に接触した場合に皮膚がんの発症リスクが高まります。
基底細胞がん
表面は蜜蝋のように滑らかで半透明で、潰瘍に変わり、茶色または黒色に見えることがあります。
扁平細胞がん
顔、手の甲、腕の甲、下唇、耳たぶに発生することがあり、硬くて境界がはっきりしません。
黒色腫
指やつま先、顔など、すねに発症し、境界が不規則で色が多様で直径が0.6cm以上の場合が多いです。
皮膚がんはさまざまな方法で治療が可能なため、病変の位置と大きさ、病変の数、病理学的検査上の腫瘍の特徴、過去の病歴など、さまざまな要因を考慮して方法を決定することになります。
主に、病変や周囲の正常な境界部を含む、外科的切除手術方法が最も一般的に行われます。
その他に放射線療法、電気療法、凍結療法、化学療法、レーザー光線療法および免疫療法などがあります。
皮膚がんの種類
皮膚がんは、皮膚にできる悪性腫瘍の総称であり、その中でも、基底細胞がん、有棘(ゆうきょく)細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)などが頻度的に多くみられます。
それ以外にも、乳房外パジェット病、メルケル細胞がん、皮膚付属器がん(汗腺がん、脂腺がん) 、皮膚血管肉腫、隆起性皮膚線維肉腫などがあります。
なお、皮膚に発生するがんとして、皮膚のリンパ腫があり、皮膚のリンパ腫は悪性リンパ腫のひとつで、通常の皮膚がんとは区別されています。
皮膚がんのサイン
皮膚がんに関連して注意したい症状は以下のような場合が挙げられます。
- 数ヵ月の間にほくろが大きくなった
- 病変部が盛り上がって出血した
- 左右非対称でフチがギザギザとしたほくろができた
- 陰部や肛門周辺などに、赤い斑点や皮膚の一部が白くなったような湿疹ができた
皮膚がんを見分けて、皮膚がんの種類を確定するためには精密検査が必要です。
悪性黒色腫や基底細胞がんの疑いがある場合、一般的には「ダーモスコピー検査」が行われる以外にも、皮膚の一部を切除する皮膚生検、リンパ節への転移を調べるためのセンチネルリンパ節生検を行うこともあります。
皮膚がんによるほくろと、そうではないほくろの違い
皮膚がんはほくろに似たものが多く、見分け方が難しいものです。
皮膚がんの5年生存率は比較的高く、早期発見できれば予後が良好とされている一方で、病状が進行すると転移することもあります。
皮膚がんは、ほくろに比べて成長が早いといわれていて、数年のあいだに6mmを超えるような成長をした場合は注意が必要ですし、急に病変の数が増える場合も、皮膚がんの疑いがあります。
また、一般的にほくろは円形や楕円形ですが、皮膚がんは、左右非対称の形であることが多く、縁がギザギザになっていたり、境界がぼやけていたりする場合にも、皮膚がんが疑われることになります。
まとめ
皮膚がんとは、皮膚にできる悪性腫瘍の総称のことであり、皮膚がんの多くは、人口10万人あたりの罹患が6例未満の「希少がん」に該当します。
皮膚がんは「悪性黒色腫(メラノーマ)」「基底細胞がん」「有棘(ゆうきょく)細胞がん」「乳房外パジェット病」「メルケル細胞がん」などがあります。
その中でも、特に悪性度が高いものが「悪性黒色腫(メラノーマ)」といわれています。
皮膚の中でがん化した部位により治療法が異なりますので、まずは皮膚がんの種類を確定することが大切です。
皮膚がんを予防するためには、日光への過剰露出を避けることが最も重要であり、特に肌の色が薄い人は、幼い頃から日焼け止め、長袖や長袖着用、帽子などを着用することをおすすめします。
皮膚がんの病変を早期に発見して治療を受けることが重要なので、疑わしい症状がある場合は、発見後直ちに皮膚科など専門医療機関を受診して治療する必要があります。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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