紫外線によるシミ・シワ・ソバカス、原因となる「光老化」のしくみとセルフケアの方法|薬剤師が解説

 紫外線によるシミ・シワ・ソバカス、原因となる「光老化」のしくみとセルフケアの方法|薬剤師が解説
Adobe Stock

夏が過ぎて気になるシミ・シワ・ソバカス。できてしまったからといってあきらめるのは早すぎ。メラニン色素を薄くする薬などでセルフケアすることで、肌の状態を改善させることができます。この記事では、シミ・シワ・ソバカスの原因となる光老化のしくみと肌トラブルを回復させるセルフケアの方法を解説します。

広告

肌のダメージを引き起こす「光老化」とは?

シミ・シワ・ソバカスなど肌トラブルの8割は「光老化(ひかりろうか)」が原因といわれています。光老化とは長期間紫外線を浴びることにより、肌の表皮に活性酸素が生じ、シミやソバカスの原因となるメラニンが過剰につくられたり、肌の新陳代謝が衰え、シワができたりする老化現象のことです。

肌トラブルを引き起こす紫外線には、UV-A(紫外線A波)とUV-B(紫外線B波)があり、UV-Aは肌の真皮まで達してシワやたるみの原因となり、UV-Bは表皮のメラノサイトを刺激してメラニンを産生し、シミやソバカスの原因となります。いずれにしても、肌トラブルの原因には紫外線が大きく関わっており、紫外線をブロックすることは肌トラブルの予防や改善に不可欠といえます。 

シミの生成
イラスト/ Adobe Stock

できてしまったシミやシワ、ソバカスを薄くするには? 

夏場の強い紫外線を防ぐために、日焼け止めやUVケア効果のある化粧品、帽子やサングラスなどを使用していても、長期にわたる紫外線の影響は、じわじわと肌の光老化を進行させていきます。

しかし、シミやシワ、ソバカスができてしまっても、治らないと悲観することはありません。シミの下には、まだきれいな皮膚細胞があるのですから、皮膚の再生力を取り戻すためのケアをすればよいのです。そのためには、市販の内服薬や美白化粧品などによるお手入れを根気よく続けることが大切です。

美白をうたった化粧品や医薬品はたくさん出回っていますが、医薬品として代表的な成分として、ビタミンC(ビタミンC誘導体)、L-システイン、トラネキサム酸(トランサミン)などが挙げられます。

ビタミンCは、お肌のビタミンと言われるように、活性酸素の生成を防ぐ抗酸化力が高く、メラニンの生成を促す「チロシナーゼ」という酵素の働きを阻害し、メラニンの生成を防いだり、肌の新陳代謝を加速させ、肌に沈着したメラニン色素を薄くしたりする効果があります。

また、美白化粧品に用いられる「ビタミンC誘導体」は、ビタミンCにリン酸を結合させたもので、ビタミンCに比べて何十倍も皮膚に浸透しやすく、シミやシワの改善を促し、肌のくすみをなくしたり、肌のキメを整えたりする効果が優れています。

トラネキサム酸(トランサミン)は、メラニンを生成するプロスタグランジンや炎症やアレルギーを引き起こすプラスミンを抑える働きがあり、シミや肝斑、ニキビ跡などの色素沈着を改善し、美白・美肌を維持する効果があります。

これらの成分を配合した製品は、薬局やドラッグストアなどで購入できます。ただし、一朝一夕に効果が現われるわけではないので、少なくとも1カ月、できれば3カ月から半年ほど継続して使用すると効果が実感できるでしょう。

肌トラブルを改善する美白化粧品の成分

シミやソバカスを改善するには、外用薬よりも内服の医薬品を利用したほうが効果が高いといわれますが、美白化粧品を併用することで相乗効果が生まれます。次のような成分には、活性酸素を除去し、メラニンを無色に戻す「還元作用」があり、シミを薄くする効果があります。

アルブチン

高山植物のコケモモなどに含まれる成分。メラニンを生成する酵素「チロシナーゼ」の働きに直接作用し、メラニンの生成を抑える。

エラグ酸

ザクロやラズベリーなどに含まれる天然のポリフェノールの一種。強い抗酸化作用を持ち、チロシナーゼの働きを阻害するとともに活性酸素の発生を抑制し、肌の老化を防ぐ。

ルシノール

シベリアのもみの木をもとにした成分。メラニンの生成を阻害する効果が高いといわれる。肌への浸透力もよいので、少ない量で効果を発揮する。

カモミラET

カミツレ(カモミール)から抽出したエキス。メラニン増産の指令を出す物質「エンドセリン」の働きを抑制し、メラニンの生成を抑える。

火棘(かきょく)エキス

バラ科の植物の実から抽出。抗酸化作用や保湿効果がある。シミの予防と改善に効果があると期待される。

油溶性甘草エキス

スペイン甘草の根から抽出。チロシナーゼの働きを抑えるとともに活性酸素を除去する効果がある。

肌トラブルを防ぐスキンケアのアドバイス

紫外線は9月以降、減少し始めますが、ピークを過ぎても油断は禁物です。できてしまったシミはさらに紫外線を浴びることで濃くなるので、晴れた日の外出には紫外線対策を怠らないようにしたいものです。

日差しが強い時間帯(午前10時から午後2時)の外出を避ける、外出する時は帽子や日傘を使う、長袖服を着用する、サングラスをかける、日焼け止めをこまめに塗る、など基本的な紫外線対策をしっかり行いましょう。

また、ホルモン分泌の乱れや、栄養の偏り、ストレス、睡眠不足なども肌トラブルの原因となるため、日頃の体調管理にも気をつけることが大切です。

広告

AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

シミの生成