体重だけではわからない。深刻な〈かくれ肥満〉なりやすい人のNG食習慣4選|管理栄養士解説
「かくれ肥満」という言葉をご存じですか。実は、健康診断で肥満と診断されなかった人でも、重大な健康問題を抱えていることがあります。今回は、かくれ肥満にひそむ健康問題、また、かくれ肥満になりやすい人のNG食習慣について解説します。
そもそも「かくれ肥満」って?
かくれ肥満とは、低体重や普通体重であっても、体脂肪の割合が多い状態です。一般的に、身長と体重から計算される体格指数Body Mass Index(BMI)(※)で肥満度が判定されます。ただし、BMIはあくまでも体重だけで計算されるため、体組成が考慮されておらず、筋肉の割合が多いのか、体脂肪の割合が多いのか分かりません。よって、BMIでは肥満と診断されない場合も、体脂肪の割合が多い場合には注意が必要です [1]。
※BMI (kg/m2)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]
BMI(kg/m2) | 判定 |
<18.5 | 低体重 |
18.5≦BMI<25.0 | 普通体重 |
25.0≦ | 肥満 |
要注意!かくれ肥満にひそむ健康問題とは
体脂肪の割合だけでなく、体脂肪がどこについているか注意する必要があります。なぜなら、体脂肪のつきどころで健康への危険性が異なるためです。筋肉の内側の腹腔内に体脂肪が多くたまっていると健康への危険性が高まると言われています。いわゆる、内臓脂肪型肥満です。
内臓脂肪型肥満を判断する方法として、体組成計での測定や腹囲の測定などがあります。腹囲の基準値は、男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪面積男女とも100cm2に相当)です。
一般的に内臓脂肪型肥満の人は、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などを発症する確率が高くなると言われています。かくれ肥満の中でも、内臓脂肪型肥満の人は、同様の健康問題がひそんでいるのです[2]。
かくれ肥満になりやすい人のNG食習慣4選
あらかじめ、かくれ肥満になりやすい人のNG食習慣を知っておくことは大切です。NG食習慣4選を紹介します[1]。
食事量が多い
食事量が多く、消費するエネルギー(カロリー)よりも摂取するカロリーが上回ると、身体の中で使われなかったカロリーが体脂肪として蓄積されます。そのため、通常の肥満予防と同様、食事量を適量とることが大切です。食事量の適量は、性別、年齢、身長、身体活動量などさまざま影響するため、適量を知りたい人は食事アプリの活用、また管理栄養士に相談するとよいでしょう。
偏った食事
食事量を適量とっていても、偏った食事であればかくれ肥満を招くおそれがあります。食事量を適量とることに加えて、身体を動かすエネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物、また円滑な代謝に必要なビタミン、ミネラルをバランスよくとることが大切です。さまざまな食品を組み合わせたバランスのよい食事を心がけましょう。
間食のとりすぎ
間食をとりすぎることで、一日の食事量が多くなったり、偏った食事になることがあります。一日に摂取するカロリーが消費するカロリーをこえないように、間食(飲み物も含む)の量を調整しましょう。一般的には一日に200kcal程度が適量と言われています。とりすぎないように食べる量や食べる回数を調整してみてください[3]。
お酒の飲みすぎ
過剰なアルコール摂取は体脂肪が増える原因となります。日ごろからお酒をたくさん飲む人は、一度お酒との付き合い方を見直してみるとよいでしょう。また、お酒を飲むことで食欲が増すことにも注意が必要です。食事量が多くなったり、偏った食事になることがあるため、お酒の量だけでなく、おつまみの量や内容にも十分注意しましょう。
まずはセルフチェックから始めよう
かくれ肥満の人は筋肉量が少ない傾向にあります。そのため、食事だけでなく、日ごろから運動して、体脂肪量を減らし、筋肉量を増やすことも大切です。まずは最初の第一歩として、体型のセルフチェック、また食習慣や運動習慣を見直すことから始めてみましょう。
【参考文献】(すべて2024年9月11日閲覧)
[2] メタボリックシンドローム診断基準検討委員会, メタボリックシンドロームの定義と診断基準, 日本内科学会雑誌, 2005, 94, 188-203
AUTHOR
なかでかおる
一人でも多くの方の心身の調子を整えるため、食と心の領域で活動中。学術修士では、食行動と動機づけに関する研究を実施。栄養疫学と健康心理学を軸に、食の領域では、特定保健指導やジムでの栄養指導、コラム執筆、研究補助等、心の領域では、コーチングセッションやコラム執筆、研究補助等を行う。
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