知っているようで意外と知らない〈魚の健康効果〉管理栄養士が勧める、食事への取り入れ方

 知っているようで意外と知らない〈魚の健康効果〉管理栄養士が勧める、食事への取り入れ方
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あなたは週何日、魚を食べていますか?魚は健康に良いとわかっていても、魚を食べる習慣がない人もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、魚がもたらす健康効果を解説するとともに、管理栄養士おすすめの魚の簡単な取り入れ方を紹介します。料理が面倒な方、小骨が苦手な方でもおいしく食べられる方法をお伝えするので、ぜひ試してみてください。

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魚はヘルシーで栄養豊富!

あらためて知りたい魚の健康効果|管理栄養士おすすめの食事への取り入れ方も紹介
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魚を食べるメリットのひとつに、飽和脂肪酸が少ないことが挙げられます。飽和脂肪酸は、体を動かすエネルギー源になる脂質の一種です。体に必要な栄養素ではありますが、摂り過ぎると血中コレステロールが増加し、動脈硬化を進行させて心筋梗塞などの循環器疾患につながるおそれがあります。

飽和脂肪酸は肉類や乳製品、パーム油などの植物油脂に多く含まれる一方で、魚類にはあまり含まれていません。肉や魚はたんぱく質源となる食材なので、魚を食べると飽和脂肪酸の摂取を抑えながらたんぱく質を補えます。

魚類は飽和脂肪酸が少ない代わりに、不飽和脂肪酸という脂質を豊富に含んでいます。「魚にはEPAとDHAが含まれる」と聞いたことはありませんか?EPADHAは不飽和脂肪酸の一種であり、健康効果が期待できる成分です。

EPAには血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる、血栓ができるのを防ぐといった作用があります。そのため、EPAは動脈硬化や生活習慣病の予防に効果的です。

DHAにも同様の作用がみられますが、EPAほど効果は強くありません。しかし、DHAは脳細胞を活性化させて、記憶力や言語能力などの認知機能を高めることがわかっています。脳の発達過程にある子どもや、認知機能を高めたい大人に摂取してほしい栄養素といえるでしょう。

魚には、ほかにもさまざまな栄養成分が含まれています。マグロやカツオ、サバなどの魚に見られる血合いは、ビタミン類や鉄が豊富な部位です。ししゃもやちりめんじゃこなどの魚は頭から尻尾まで丸ごと食べられるため、骨に含まれるカルシウムを摂取できます。

さらに、肉と魚を比較すると、概して魚の方がエネルギーが低くなります。焼く、煮るなどエネルギーが高くなりにくい方法で調理されることも多いため、肥満予防に効果が見込めるでしょう。

食事への簡単な取り入れ方は?

あらためて知りたい魚の健康効果|管理栄養士おすすめの食事への取り入れ方も紹介
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魚を普段あまり食べない人に向けて、簡単に食事へ取り入れる方法を紹介します。

調理が苦手という人には、塩サバや塩鮭、アジの干物など、味付きの切り身や干物がおすすめです。生臭い魚を切ったり味付けしたりする手間がなく、焼くだけで食べられます。専用のアルミホイルやシートを使用すると、グリルの網やフライパンに魚がくっつくこともありません。近年は、電子レンジで焼き魚が作れる調理器具も登場しています。

スーパーで販売されている、焼き魚やフライなどの惣菜を利用してもよいでしょう。また、電子レンジで温めるだけで食べられるパック入りの焼き魚や煮魚は、コンビニでも販売されています。

魚の小骨を取り除くのが面倒な人は、缶詰を利用してみましょう。缶詰は加工の際に圧力をかける必要があるため骨までやわらかく調理されており、魚を丸ごと食べられます。すでに味が付いているのでそのままでも食べられて、料理に使うと時短にもなります。また、長期保存できることも缶詰のメリットです。

刺身なら、骨を気にすることなく食べられて、さらに調理で失われやすい栄養素も無駄なく摂取できます。漬け丼や和え物、カルパッチョなどにアレンジすると、味に飽きることなく食べられます。

魚は、動脈硬化や生活習慣病の予防、認知機能の向上効果が期待できる食材です。さらにビタミンや鉄、カルシウムも摂取できます。魚を食べる習慣がない人は、まずは週1日でもよいので、魚を食べる日を増やしてみましょう。

【参考文献】
農林水産省「脂質による健康影響」
ニッスイ サラサラ生活向上委員会「EPAとDHAの違いは?」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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