「海外旅行に興味があるのに飛行機が怖い…」心のプロが教える、フライトへの恐怖や不安への対策

 「海外旅行に興味があるのに飛行機が怖い…」心のプロが教える、フライトへの恐怖や不安への対策
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石上友梨
石上友梨
2024-07-31

夏休みの予定を考えた時、「海外に行ってみたい」そう思うのに「飛行機が怖くて無理かも」そんなふうに躊躇してしまう人も多いようです。今回は、心のプロである心理士の筆者が、フライトへの恐怖や不安への対処法をお伝えします。

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飛行機が怖い理由

飛行機が怖い場合、様々な理由が考えられます。なぜ恐怖や不安を感じるのか理由が明確になることで対策を取ることができたり、気持ちの整理がしやすくなったりします。まずは何故怖いと感じるのか考えてみましょう。

1. 高所恐怖症

高い場所が苦手な人は、飛行機に乗ること自体が不安を引き起こします。窓際の席に乗っていると、景色が見えるため、より恐怖を感じやすくなるかもしれません。また、窓際の席でなくとも「自分は今高いところにいるのだ」と想像することで恐怖感が強くなる場合があります。

2. 閉所恐怖症

特にLCCやエコノミーシートの場合、座席にゆとりが少なく、近い間隔で人が座ることになります。閉じられた狭い空間、圧迫感のある空間が苦手な場合、そこに長時間いることで不安を引き起こされる場合があります。

3. 乱気流などの揺れ

飛行機は乱気流などによって機体が揺れたり、浮遊感を味わうことがあります。そのような身体感覚が苦手であったり、揺れることで「飛行機が落ちるのでは?」と悲観的な想像をすることで、恐怖心や不安を引き起こします。

4. テロや事故の心配

ニュースなどで報道される飛行機事故やテロ事件が不安を増大させることがあります。実際、飛行機は「最も安全な乗り物」と言われています。しかし、人はネガティブな情報の方が記憶に残りやすいため、実際の事故に遭う確率よりもはるかに多いかのように感じる可能性があります。

5. 自分でコントロールできない状況

車の運転など、自分でコントロールできる状況とは異なり、飛行機は他者にコントロール権を委ねることになります。降りたいと思っても、目的地に着くまでは降りることはできません。そのようなコントロール出来ないことに不安を感じる場合があります。

6. 未知への恐怖

飛行機に乗ること自体が初めての経験である場合、その未知の体験に対する恐怖が不安を引き起こすことがあります。

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飛行機が怖い場合の対策

飛行機に対する恐怖や不安に対処するための方法を紹介します。

1. 十分な情報を得る

人は未知なことに恐怖や不安を感じやすくなります。飛行機の安全性や仕組み、手続きの手順等、情報を事前に調べることで、不安を軽減することができます。また、気分が悪くなったらどうするか等、事前に対策を十分に検討することで不安が軽減するでしょう。

2. リラックス法を実践する

呼吸法、瞑想、ヨガなどのリラックス法を実践することで、不安を軽減できます。リラックス法は飛行機の上でだけ実施するのではなく、事前から練習しておくことが大切です。

3. 専門家の助けを借りる

心理カウンセラーや医師に相談することで、不安を克服するための具体的な方法を検討することができます。一人で対策することがうまくいかない場合は相談してみましょう。

4. 事前準備をする

快適なフライトのために、好きな音楽や映画、本などを持参し、気を紛らわすことができるように準備しましょう。安心感を持てるようなお気に入りのグッズやお守りを持参することも有効です。

5. 同行者と話す

安心できる人と一緒に飛行機に乗ることで、不安を軽減することができます。また、隣の人と話をすることで気を紛らわすことにつながります。

6. 思い切って飛行機に乗ってみる

「飛行機が落ちるのでは?」等あれこれと悲観的な想像していると、さらにネガティブなことばかり浮かび、より不安や恐怖が強くなります。思い切って行動し、不安を受け入れながら感じ続けることで不安は軽減していきます。このような方法を心理学では「暴露」といい、不安に対する対策として効果が実証されています。不安はしっかり感じていると、必ず軽減していきます。飛行機の乗る直前に不安がピークに達するかと思いますが、実際に乗り、フライトを続けるうちに「案外大丈夫だった」という経験になることでしょう。しかし、飛行機への不安以外に、他の心理的な悩みを抱えている場合、もしくは、不安が圧倒されるほど強い場合は、「暴露」をする前に、必ず医師や心理士に相談をしてください。

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これらの対策を実践することで、飛行機に対する不安を軽減し、より快適なフライトを楽しむことができるでしょう。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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