「しゃっくりが止まらない」注意したい危険な〈しゃっくり〉と隠れた疾患とは|医師が解説

 「しゃっくりが止まらない」注意したい危険な〈しゃっくり〉と隠れた疾患とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-07-21

しゃっくりが長く続く場合は、侮ってはいけない隠れた疾患が潜んでいるかもしれません。 医師が解説します。

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放置してはいけない?しゃっくりで注意したい疾患とは?

しゃっくりは、病気による反射運動により出ている場合があります。

長く続く場合は、きちんとした検査を行うようにしましょう。

2年間しゃっくりが続いていた方が脳の検査をしたところ脳腫瘍が見つかり、摘出したところしゃっくりが止まったという報告もあります。

脳腫瘍は頭蓋骨の内部に形成される腫瘍を総称して呼んだ疾患名になります。

脳の組織から発生する脳腫瘍はおよそ150種類程度も存在すると言われており、いまだに十分な症例数の蓄積も乏しく、明確な原因も判明していません。

脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍のことであり、特に悪性の脳腫瘍には、頭蓋内組織から発生する原発性脳腫瘍転移性脳腫瘍が挙げられます。

例えば、神経膠腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫、髄芽腫、胚細胞腫瘍なども主要な脳腫瘍の範疇であると考えられています。

原発性脳腫瘍は、主に脳や髄膜、中枢脳神経、下垂体、血管などの脳組織から発生する脳腫瘍であり、現在では約150種類以上に分類されることが知られています。

脳腫瘍は、基本的に腫瘍の性質や特徴などによって良性と悪性に分類され、良性の場合には一般的に腫瘍が増殖するスピードは遅く、正常組織との境目が明確です。

その一方で、悪性のケースでは腫瘍が増加するスピードが速く、悪性化した細胞が周囲組織に浸潤して広がっていき境目が明確ではありません。

通常では、良性脳腫瘍は脳の外側の組織に形成されやすく、悪性脳腫瘍は脳内部に認められやすいという傾向を有しています。

悪性の脳腫瘍の場合には、その悪性度によってグレードごとに分類されており、一般的にはグレード1は良性、グレード2からグレード4までが悪性と認識されています。

移性脳腫瘍とは、脳以外の部分に認められる肺がん、乳がん、大腸がんなどの原発巣が血液の循環に乗じて脳組織に転移した脳腫瘍であり、悪性であることが多いと伝えられています。

脳腫瘍を発症する明確な原因はいまだに判明しておらず、これまでの研究から遺伝子の変異が発症に関連していると考えられています。

それ以外にも、脳腫瘍に罹患するリスクが高いと指摘されているケースは、脳以外の部位にがん病巣を認める場合、もしくは脳腫瘍の既往を有する方が家族内に存在する場合です。

また、脳腫瘍の増殖進行には、高たんぱく質の食べ物や高脂肪食の過剰な摂取、あるいは喫煙習慣、日々における過度なストレスなどが関係していると言われています。

脳腫瘍に伴い、脳組織に浮腫性変化が生じて、頭蓋内圧が上昇することで、頭痛や嘔気(吐き気)を始めとする頭蓋内圧亢進症状を引き起こすのみならず、脳腫瘍そのものが脳細胞を障害してけいれん発作やしゃっくり症状を呈するなど多彩な神経症状を認める場合があります。

脳腫瘍が原因のしゃっくり

万が一、しゃっくりの原因が脳腫瘍である場合には、実際の脳腫瘍のサイズ、解剖学的な位置、合併症の症状、年齢、基礎疾患、腫瘍の種類、悪性度などを含めて総合的見地から治療の必要性や方向性を判断することになります。

具体的な治療方法としては、手術、放射線治療、薬物療法が主に挙げられ、それらの治療を実施したあとも、定期的な通院を継続して、症状経過を追う必要があります。

脳腫瘍は、良性と悪性いずれの場合にしても可能な範囲でできるだけ腫瘍を切除する手術を行うように検討されますが、腫瘍の存在部位によっては手足や言語機能に重大な後遺症や障害を残すリスクもあるため、手術を断念せざるを得ないケースもあります。

脳ドックを受けて、頭部CTやMRI検査を撮像すると偶然にも脳腫瘍が指摘される場合もありますので、定期的に検診などを受けて脳腫瘍を早期発見することが重要です。

また、脳腫瘍の進行は食生活など生活習慣が関与していると考えられていますので、健康的な生活習慣を普段から送るように心がけましょう。

しゃっくり
しゃっくりは、病気による反射運動により出ている場合があります。長く続く場合は、きちんとした検査を行うようにしましょう。2年間しゃっくりが続いていた方が脳の検査をしたところ脳腫瘍が見つかり、摘出したところしゃっくりが止まったという報告も。イラスト/Adobe Stock

しゃっくりに対する対処法とは?

しゃっくりに対するおすすめの対処方法としては、深呼吸をする、コップ一杯の水を飲むなどが考えられます。

しゃっくりが続くときは、呼吸が乱れやすくなるため、一定のリズムで身体全体に酸素をいきわたらせるように深呼吸をして緊張感を和らげることで、呼吸のリズムが整いやすくなります。

この方法は、子どもから大人まで、年齢に関係なく有効的と認識されています。

また、しゃっくりは、横隔膜の反射によるものがほとんどであるため、水を飲むときのタイミングで気道に神経が集中し「飲み込む」という動きにより、横隔神経と迷走神経を同時に刺激して症状が緩和するといわれています。

まとめ

これまで、放置してはいけない、危険なしゃっくりと侮ってはいけない隠れた疾患などを中心に解説してきました。

しゃっくりが出ることは、誰にでもあることですが、症状が長引くときや日常生活に支障をきたす場合には、脳腫瘍など重大な病気が隠れていることもあります。

しゃっくりが続くと背中や肩のコリが強くなりつらくなってしまうこともありますので、症状が重症化する前に、医療機関を受診して原因をはっきりさせましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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