経口補水液は水分補給に使ってもよい?スポーツドリンクとの違いは?管理栄養士が教える熱中症対策
全国的に暑さが増し、ニュースでも熱中症の危険性について報じられるようになりました。経口補水液は熱中症対策に適した飲み物とされますが、実際にどのタイミングで使うのがよいのでしょうか。本記事では、経口補水液の特徴やスポーツドリンクとの違い、塩分タブレットを用いた熱中症対策について解説します。
経口補水液とは
経口補水液は、脱水症の食事療法に用いるために世界保健機関(WHO)が提唱する飲み物です。本来は感染性胃腸炎などによって下痢・嘔吐の症状があらわれた際、スムーズに電解質と水分を補給するために使用します。ドラッグストアなどで販売されている経口補水液は、特別用途食品のうち病者用食品に分類されます。「医師から脱水症の食事療法として指示された場合にお飲みください」という記載はあるものの、どなたでも購入することができます。
経口補水液とスポーツドリンク
経口補水液とスポーツドリンクの特徴をみてみましょう。
スポーツドリンク
スポーツなどで大量に汗をかく場合、水分だけでなく塩分も失われます。このような場面では、スポーツドリンクを水分補給に活用しましょう。一方でスポーツドリンクは砂糖が多く含まれる清涼飲料水ですので、日常的な飲み過ぎには注意しましょう。
経口補水液
経口補水液は自力で飲めるものの立ちくらみを感じるなど、熱中症Ⅰ度の症状が出た際に水分と電解質を補給するために使用してください。その際、涼しいところで休み、一人で過ごさず周りの方に付き添いを依頼します。頭痛・自力で飲めないといった症状があらわれた際は、速やかに医療機関を受診しましょう。そのため、経口補水液は高温環境下で過ごす際の熱中症対策として事前に準備し、健康なときの水分補給には用いないようにしましょう。また、ナトリウムとカリウムが多く含まれるため、それらが制限されている方はかかりつけの医師に相談してください。
塩分タブレットの正しい使い方
近年、熱中症対策として塩分タブレットが菓子メーカーから販売されています。お店で手に取られたことがある方も多いのではないでしょうか。塩分タブレットは暑い中スポーツをおこなったり作業をしたりする際、役立つアイテムです。多くの塩分タブレットは、1粒あたりの食塩相当量が0.1gとして設計されています。厚生労働省は、熱中症対策に用いる食塩濃度の目安を0.1~0.2%とし、20~30分ごとにカップ1~2杯程度を摂取することを推奨しています。よって、塩分タブレット1~2粒を食べる際は水分100mlを補給することを心がけましょう。お子さんに持たせる際は、お菓子感覚でパクパク食べないよう、注意が必要です。
まとめ
本記事では、経口補水液の特徴や熱中症対策を解説しました。熱中症は真夏のみならず、5月頃からの対策が必要です。熱中症から体を守るため、外出時はもちろん、室内にいるときもこまめな水分補給を心がけましょう。
〈参考文献〉
AUTHOR
栗城智子
大学卒業後、食品メーカーにて商品開発や品質保証の業務に従事し、管理栄養士を取得。特定保健指導やドラッグストア勤務において、人々の食事や健康、サプリメントに関する悩みに寄り添う。上記資格のほかフードスペシャリスト、離乳食・妊産婦食アドバイザー、日本化粧品検定1級、アロマテラピーアドバイザーなどの資格を保有。食と健康について学びを続けている。現在は子育てをしながら管理栄養士ライターとして執筆や商品監修に携わる。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く