いくらやたらこを食べすぎるとどうなる?含まれる栄養素と摂りすぎによるリスクとは|管理栄養士が解説

 いくらやたらこを食べすぎるとどうなる?含まれる栄養素と摂りすぎによるリスクとは|管理栄養士が解説
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いくらやたらこなどの魚卵はご飯のお供として相性がよく、独特の食感から好んで食べている方もいらっしゃるでしょう。しかし、食べすぎると体に悪影響を及ぼすかもしれません。今回の記事では、いくらやたらこに含まれる栄養素と食べすぎることによる影響について管理栄養士が解説します。

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いくらやたらこに含まれる栄養素

いくらやたらこは食べすぎに注意といわれることがあるため、栄養価が高い・栄養豊富な食品というイメージはあまりないかもしれませんね。実際にはいくらやたらこにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。それぞれの食品100g当たりに含まれる主な栄養素の含有量は以下のとおりです。

 
  いくら たらこ
エネルギー 252kcal 131kcal
たんぱく質 32.6g 24.0g
脂質 15.6g 4.7g
コレステロール 480mg 350mg
カリウム 210mg 300mg
カルシウム 94mg 24mg
2.0mg 0.6mg
ビタミンD 44.0μg 1.7μg
ビタミンE 9.1mg 7.1mg
ビタミンB1 0.42mg 0.43mg
ビタミンB2 0.55mg 0.43mg
ビタミンB12 47.0μg 18.0μg
葉酸 100μg 52μg
食塩相当量 2.3g 4.6g

※文部科学省 日本食品成分表(八訂)増補2023年を参照 

いくらやたらこにはエネルギーや脂質だけではなく、ビタミンやミネラルなども含まれています。体に悪いといわれることもありますが、実は体に必要な栄養素が多く含まれているのです。そうはいっても、食べすぎは健康に影響を及ぼす可能性があります。では、どのような影響が考えられるのでしょうか[1,2]。

魚卵を食べすぎることによる影響は?

いくらやたらこは食塩やコレステロールが多く含まれているため、食べすぎることによって以下のような健康リスクがあると考えられています。 

(1)塩分摂り過ぎによる血圧上昇

いくらやたらこは塩分を多く含む食品であるため、食べすぎると塩分を摂りすぎてしまいます。塩分の摂りすぎは、高血圧の最大の原因です。1回でいくらやたらこを多く食べたからといって、すぐに高血圧につながるわけではありませんが、普段からいくらやたらこなどの塩分の多い食品をよく食べる場合は高血圧のリスクが高まると考えられます[3]。

(2)コレステロール摂りすぎによる動脈硬化

いくらやたらこはコレステロールを多く含む食品でもあるため、食べすぎると血清脂質に影響を及ぼします。コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料となるため体に必要な脂質ではありますが、摂りすぎると血液中にコレステロールが増えすぎて動脈硬化につながります。動脈硬化は血管が厚く硬くなった状態のことで、心臓病や脳卒中など重篤な病気のリスクが高まります。特に、血液検査でコレステロール値が高いと指摘された場合はいくらやたらこは控えるとよいでしょう[3]。

プリン体が多いっていわれるけど実際はどうなの?

いくらやたらこなどの魚卵はプリン体が多いため、摂取を控えた方がよいといわれることがあります。しかし、それは誤った認識かもしれません。実は、いくらやたらこはプリン体の含有量が多い食品ではないようです。 

一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、100g当たりのプリン体の含有量に応じて以下の4つに分類されています。

・300mg以上:極めて多い

・200〜300mg:多い

・50〜100mg:少ない

・50mg以下:極めて少ない

100g当たりのいくらの含有量は約3.7mg、たらこの含有量は約120.7mgとされています。たらこはプリン体が少なくも多くもないですが、いくらは極めて少ない食品なのです。いずれもプリン体が含まれているので食べすぎるのは望ましくないですが、プリン体の摂取量を減らしたいなら、まずは魚卵よりもプリン体が多い食品であるレバーや干物、かつおなどの摂取を意識すべきでしょう[4,5]。

いくらやたらこは、ビタミンやミネラルなど私たちの体に必要な栄養素が含まれています。しかし、食べすぎると、塩分やコレステロールの摂りすぎとなり高血圧や動脈硬化など健康への影響が考えられます。ちょっとした贅沢として食事に取り入れる程度にし、習慣的に食べ過ぎないように注意しましょう。 

【参考文献】(2024年5月5日閲覧)

[1] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 魚介類/<魚類>/(さけ・ます類)/しろさけ/イクラ

[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 魚介類/<魚類>/(たら類)/すけとうだら/たらこ/生

[3] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)

[4] 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会, 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 追補版

[5] 公益財団法人 痛風・尿酸財団, 食品・飲料中のプリン体含有量

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AUTHOR

一ノ木菜摘

一ノ木菜摘

管理栄養士/ライター。短大卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。ダイエットや食品、メンタルなどのヘルスケアについて論文などの科学的根拠をもとにコラムを執筆している。



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