知らずに食べ続けると老化が進む?薬剤師が教える「できれば食べないほうがいい〈老化食〉」5選

 知らずに食べ続けると老化が進む?薬剤師が教える「できれば食べないほうがいい〈老化食〉」5選

いつまでも健やかで若々しくありたいと思うのは、年齢や性別に関らず、すべての人に共通する願いだと思います。しかし、年齢が同じでも、老けて見られる人もいれば、若く見られる人もいます。 その印象の違いは、日常の食事で何を食べているか、が大きく関わっています。体の老化を防ぎ、若々しさを保つには、老化の原因となる食べ物をいかに避けるか、が重要なポイントです。 この記事では老化を引き起こす、できれば食べないほうが良い「老化食」について、詳しく解説します。

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できれば食べないほうがいい食べ物①ファストフード

ハンバーガー、フライドチキン、牛丼など、ファストフードで具材として使われる食肉のほとんどは、アメリカやオーストラリアなど海外で飼育された家畜の肉を加工したものが使われています。

これらの食肉は、動物を早く成長させるための「成長ホルモン」という化学物質や、動物の病気を防ぐ「抗生物質」(細菌を殺す薬)、海外で生産された食肉を日本まで輸送する際に、食肉が腐らないようにする「合成保存料」という食品添加物(食品の味や品質を保つための薬品)などが使われています。

こうした化学物質や食品添加物は、毒性が強く、ひとたび食事を通して体に入ると、細胞にダメージを与えたり、新陳代謝(細胞の生まれ変わり)を妨げたりします。

一般的に、人の肌の細胞は、「ターンオーバー」といって、約1カ月で古い細胞が新しい細胞に入れ替わることで、新しく生まれ変わっています。

ファストフードに含まれる化学物質や食品添加物は、肌の細胞にダメージを与えたり、肌のターンオーバー(生まれ変わり)を遅らたりするため、肌荒れやシミ、シワ、肌のキメが失われるなどして、実際の年齢より見た目が老けて見られる「老化肌」の原因となるのです。

さらに、こうした化学物質や添加物は、いったん体の中に入ると、なかなか排出されず、体内にとどまり、新陳代謝に悪影響を与え続けるため、やっかいです。

また、ハンバーガーやフライドチキンなどに、サイドメニューとして、フライドポテトをつけることもよくあるでしょう。

フライドポテトを揚げる時に使われる油は、空気に触れると酸素と結びつき、過酸化脂質というサビのようなものに変化します。

例えて言えば、ピカピカに光る銀色のクギが空気に触れると、時間とともにサビでゆき、いずれは赤茶色のボロボロなクギに劣化します。

極端に言うと、フライドポテトを食べることは、クギのサビを食べているようなもので、体内に入ったサビは、周りの細胞にサビを拡げていきます。

老化というのは、細胞が古くなってサビていくことと同じなので、ハンバーガーとフライドポテトの組み合わせは、老化という観点から見ると、最悪の組み合わせといえます。

ファストフードは、「早い、安い、うまい」といわれ、便利な食事として利用されますが、こうした老化につながる危険が潜んでいるため、注意が必要といえます。

「動物性タンパク質」が肌の老化を進める

ファストフードには、老化の原因となる理由がまだあります。

それは、「動物性タンパク質」というものです。タンパク質は、糖質(炭水化物)、脂質、ビタミン、ミネラルとともに5大栄養素の1つとしてあげられ、骨や筋肉など、体の土台を作るために欠かせない栄養素です。

タンパク質には、動物性タンパク質と植物性タンパク質の2種類があり、老化の原因となるのは、動物性タンパク質のほうです。動物性タンパク質は、牛肉・豚肉・鶏肉などの肉に多く含まれていますが、特に注意したほうが良いのは牛肉です。

牛肉は、胃で消化するだけでも12時間ほどの時間がかかり胃に負担をかけます。また、小腸で必要な栄養素が吸収された後、排泄されるまで3日くらいかかります。これは、牛肉の肉や脂肪は、胃や腸で消化・吸収されにくい性質があるからです。

腸の中に肉や脂肪が長く留まれば留まるほど、肉の腐敗が進み、腸内の大腸菌や黄色ブドウ球菌という悪い細菌が、腐敗菌となって強力な毒素が生じます。

この毒素は、しばらくすると血液の中に溶け込み全身に運ばれます。毒素は肌や皮膚から汗などと混ざって排出されますが、このときに肌に毒素をばらまき、肌の細胞にダメージを与えます。

そのため、吹き出物やシミ、シワなど、肌トラブルの原因となり、肌の老化が進んでしまうのです。便秘になると、吹き出物や肌荒れが起こりやすくなるのは、体内に毒素が拡がるためで、牛肉を食べることは、自分で便秘のもとをつくるようなものなのです。

また、最近では、「デトックス」という言葉をよく耳にします。デトックスとは「解毒」という意味で、体内から毒素や老廃物を取り除くことです。

牛肉をはじめとした動物性脂肪は、体内に留まり、毒素を生じさせるため、デトックスという観点から見ても、好ましくない食べ物といえます。できるだけ、摂りすぎないように注意しましょう。

②スナック菓子

ポテトチップスやコーンスナックなどのスナック菓子も老化を早める老化食といえます。

スナック菓子は、原料となるジャガイモやトウモロコシなどの粉を揚げる時に、「パーム油」という油が使われています。

「パーム油」と聞いて、「それ、知っている!」と答えられるのは、外食産業や食品メーカーの関係者くらいで、一般の人にはほとんど知られていないでしょう。

パーム油は、ヤシ科のアブラヤシという植物の実からつくられる食用油で、世界で最も生産量が多い油です。また、日本人が消費する油のうち、キャノーラ油に次いで多いのがパーム油です。パーム油は、消費量が多いわりには、知名度が低いため、「見えない油」とも呼ばれています。

パーム油には、独特の香ばしいかおりと甘みがあり、揚げ物がカラッと揚がるため、スナック菓子の味を引き立てます。また、コスト(原材料費)も安く、保存性も良いことからスナック菓子の製造にはうってつけなのです。

しかし、健康や美容という側面からみると、評価はまったく異なります。パーム油には、飽和脂肪酸という老化を促進する成分が多く含まれていて、牛脂(牛肉の脂身)に近い油です。

飽和脂肪酸は、体に悪い油といわれており、体内に蓄積される内臓脂肪や、悪玉のコレステロールを増やす作用があります。そのため、パーム油は肥満やメタボの原因になったり、血液をドロドロにして、血流(血液の流れ)を悪くしたりするのです。

もし、体に余分な脂肪がつけば、肥満になり、体形が崩れたり、顔にたるみができたりして、たとえ年齢が若くても年齢以上に見えてしまうでしょう。

また、血流が悪くなることで、肌や皮膚へ酸素や栄養が十分に届かなくなり、顔がくすんだり、青白くなったりして、見た目の若々しさが損なわれ、顔が老けて見られることにもなるでしょう。

さらに、パーム油は肌や皮膚だけでなく、髪や爪などの新陳代謝にも影響を与えます。いくらヘアスタイルやネイルアートにこだわっても、そもそも髪や爪が老化した状態であれば、せっかくのヘアケアやネイルケアの効果も半減します。

そして、パーム油にはさらに衝撃的な事実があります。実は、パーム油は石鹸やボディーソープの材料としても使われているのです。極端に言えば、パーム油で揚げたスナック菓子を食べることは、石鹸を食べたり、ボディーソープを飲んだりするようなものなのです。

知らず知らずのうちに、石鹸やボディーソープを口にしていると考えると、背筋がゾッとしますね……。

トランス脂肪酸には要注意!

スナック菓子だけでなく、ビスケットやクッキー、マカロンなどのお菓子にも老化につながる危険が潜んでいます。

ビスケットやクッキーなどを作るときには、「ショートニング」という人工的に作られたクリーム状の食用油を使います。ショートニングを使うことで、サクサクとした食感を出すことができるためです。

しかし、ショートニングには、「トランス脂肪酸」という油の成分が含まれていて、体に悪いコレステロールや中性脂肪を増やし、脂肪を蓄積させたり、血液中に溶け込んで血液をドロドロにしたりして、心臓病や糖尿病などの病気を引き起こす原因となります。

そのため、トランス脂肪酸は、「狂った油」とも呼ばれ、アメリカでは2018年から原則として食品にトランス脂肪酸を使うことを禁止しています。

また、トランス脂肪酸には、体を冷やす作用があるといわれています。ビスケットやクッキーなど、トランス脂肪酸を使ったお菓子は体を冷やすため、毛細血管という細い血管が収縮して、体が冷えたり、血流が悪化したりして、体のすみずみまで十分な栄養が届かなくなるため、体の老化が進んでしまうのです。

さらに、これらのお菓子に含まれる砂糖にも、体を冷やす作用があるため、トランス脂肪酸と砂糖が一緒に含まれるクッキーやビスケット、マカロンなどのお菓子は、肌の老化という観点から見ると、あまり多く食べるのは控えたほうが良いでしょう。

③炭酸飲料水

コーラやサイダーなどの炭酸飲料にも注意が必要です。炭酸飲料の中には、「安息香酸ナトリウム」(以下、安息香酸Na)という合成保存料が使われている場合があります。安息香酸Naは、水に溶けやすい性質があり、腐敗やカビ、細菌の増殖などを防ぐ目的で使われます。

安息香酸Naは、世界で最も危険な食品添加物(食品や飲料の味や品質を保つための薬品)として知られており、がんのもとになる発がん性物質をつくり出したり、微量であっても胃や腸の粘膜を傷つけたりするため、食品の安全を管理する厚生労働省は、使用に制限を設けています。

また、安息香酸Naは、体内に入ると危険な毒物とみなされ、体を守る「免疫」という機能が働きます。安息香酸Naの毒をなくすために、ビタミンCやビタミンEなどの毒を排除するビタミンが大量に使われます。

特に、「お肌のビタミン」といわれるビタミンCは、肌の弾力性を保つコラーゲンの生成に欠かせないビタミンのひとつで、肌荒れやシミ、シワなどを予防する美容にとって重要な働きをしています。

本来、ビタミンCはこうした肌を若々しく保つために使われるはずなのですが、化学物質の毒をなくすことに使われると、シミ、シワ、肌のたるみ、ほうれい線などが増え、肌を若々しく保てなくなるため、老化が早まるといえるのです。

清涼飲料水にも注意!

炭酸飲料だけでなく、炭酸が入っていない、「清涼飲料水」にも注意が必要です。

ほとんどの清涼飲料水には、「果糖ブドウ糖液糖」という人工的に作られた甘味料が使われています。果糖ブドウ糖液糖は、正確には「糖化コーンシロップ」(トウモロコシのでんぷんを加工してシロップ状にしたもの)といい、砂糖の何倍も強い甘みを感じるようにつくられています。そのため、かねてから依存性があるのではないか、と指摘されています。

果糖ブドウ糖液糖が含まれる清涼飲料水は、製品によって多少異なりますが、100mlあたり約50~60kcal(キロカロリー)と非常に高カロリーです。500mlのペットボトル飲料を1本飲むと、250~300kcalとなり、これは角砂糖15個分に相当します。

これだけのカロリーを消費するためには、普通に歩いて約1時間半~2時間、ランニングなら約1時間、エクササイズや筋力トレーニングなどの運動では、約45分は必要です。清涼飲料水たった1本でこれだけのカロリーを摂ることになるため、清涼飲料水を口にすればするほど、肥満の原因になることは間違いないでしょう。

さらに問題なのは、清涼飲料水が、「エンプティーカロリー」だという点です。「エンプティー」(Empty)とは「空っぽ」という意味で、エンプティーカロリーとは、「体に良い栄養素がほとんど含まれず、ただカロリーだけが高いだけ」の飲食物を指します。

清涼飲料水は甘みが強く、高カロリーなので、少量でも飲めば、すぐに血糖値(血液の中の糖分)が上がり、空腹感を感じなくなります。そのため、1日3食、栄養バランスのとれた食事をしっかりと摂る食習慣が乱れ、健康や美容を維持するための栄養素が不足しがちになるといえます。

例えば、タンパク質(アミノ酸)は肌や髪、爪をつくるもとになる重要な栄養素ですし、β-カロテン(ビタミンA)は細胞の成長を促し、肌の衰えを防ぐ働きがあります。

また、ビタミンCには肌のうるおいを保つ効果があり、ビタミンEには細胞の老化を防ぎ、女性ホルモンを活性化させる働きなどがあります。

そのほかにも、鉄分、亜鉛、葉酸なども、美肌づくりに欠かせない栄養素です。食事をしっかりととらず、こうした栄養素が不足すれば、やがては体全体の老化にも影響を与えます。

若々しさとは、見た目の印象だけでなく、体の内側からあふれる気力や活力といった内面的な要素も大きいはずです。根本的に、体の健康を保てなければ、老化も早まり、見た目にも老けた印象で見られることになるでしょう。

いつも元気がなく、暗い表情で、目の下にクマができているような人が、若々しく見られるはずがありません。

ちなみに、緑茶なども含めて清涼飲料水の多くには、ビタミンCが含まれていることが多いのですが、これはビタミンCを補う効果を狙ったものではなく、ビタミンCを配合することで飲料の腐敗や細菌の繁殖を防ぐために使われているだけなのです。

また、なぜ角砂糖15個分にもなる、こんな甘ったるい飲み物をゴクゴクと飲めるのか? というと、「酸味料」というレモンのような酸っぱさを出す添加物を加え、スッキリとした味に整えているからです。

テレビコマーシャルの影響や、ボトルデザインの印象によって清涼飲料水には爽やかなイメージがあり、スッキリとしたのどごしの良さを売りものにしていますが、これにうっかりだまされてはダメ! といえるかもしれません。

※ なお、エンプティーカロリーを、「カロリーが空っぽ」ととらえ、「カロリーがない」と勘違いしている人が見受けられますが、これは間違いです。

「カロリーゼロ」にも要注意!

最近では、「カロリーゼロ」と表示された炭酸飲料や清涼飲料水を見かけることが多くなりましたが、これも注意が必要です。

カロリーがゼロと表示されていても、実際には一定のカロリーが含まれています。日本では、食品表示法という法律があり、100mlあたり5kcal未満であれば、「カロリーゼロ」と表示して良いことになっています。

カロリーゼロだからといって、油断して飲んでいると、思いもよらないカロリーを摂取することになり、肥満や体のたるみを招くことにつながります。

また、それよりもっと問題なのは、カロリーゼロの飲料には、「アスパルテーム」、「スクラロース」、「アセスルファムK」といった人工的に合成された、「人工甘味料」という物質が使用されていることです。

人工甘味料は、胃や小腸で分解・吸収されにくく、そのまま排泄されるため、カロリーにはなりにくいのですが、砂糖の数百倍の甘みとして脳を刺激するため、依存性が高く、体にさまざまな悪影響を及ぼすことが分かっています。

例えば、アスパルテームの場合、脳腫瘍、白血病、知能低下、認知症、心疾患、アトピー性皮膚炎、不眠症などの原因となる危険性が指摘されています。体に良くないものは、美容にとっても良くありません。

また、果糖ブドウ糖液糖や人工甘味料には、体内で「活性酸素」を増やす作用があるといわれています。活性酸素とは、呼吸によって取り入れた酸素が変化したもので、増えすぎると細胞にダメージを与えたり、細胞をサビつかせ、老化の原因となる物質です。

こうした理由から、果糖ブドウ糖液糖や人工甘味料が使われた炭酸飲料や清涼飲料水は体に害を及ぼしたり、老化を早める原因となるため、できるだけ口にしないほうが良いといえます。

④加工食品

体の老化を防ぐことを、「アンチエイジング」といいます。健康や美容に関心のある方であれば、聞きなれた言葉だと思います。加工食品に含まれる食品添加物は、体に害を与えるだけでなく、アンチエイジングの妨げになります。

食品添加物は、食品を加工したり、保存したり、味をつけたりするときに使う調味料、保存料、着色料などのことです。(食品添加物は単に「添加物」とも呼ばれます)

現在、日本では、約400品目の食品添加物の使用が認められています。これは、アメリカの3倍、フランスの12倍、イギリスの18倍にものぼります。

欧米では使用が禁止されている食品添加物でも、日本ではいまだに使用が認められている食品添加物が、とても多いのです。そのため、日本は添加物大国だと、欧米諸国から揶揄(やゆ)されている(バカにされている)のも事実です。

なぜ、欧米では、食品添加物の使用が日本より厳しく制限されているかといえば、それは食品添加物が人体に悪い影響を与えるとみなされているからです。

特に、食品添加物が多く含まれるのは、ハム、ベーコン、ソーセージ、ウインナーなど、食肉を加工した加工食品です。これらの食品には、必ずと言っていいほど、「発色剤」という添加物が使用されています。

加工食品は、時間が経つとともに酸化して、だんだんと黒ずんだ色に変わってしまいます。そこで、「亜硫酸ナトリウム(亜硝酸Na)」という発色剤を加えます。そうすると、化学反応によって、きれいな赤色やピンク色をしたおいしそうな肉の色を長時間、保つことができるようになります。

しかし、亜硝酸ナトリウムは、毒性が非常に強く、食肉に含まれるアミンという物質と結びつくと、ニトロソアミンという発がん性物質に変化するため、がんを引き起こす可能性が高まる危険性が指摘されています。

また、吐き気や嘔吐、下痢、胃腸や肝臓の病気、免疫力(病気から体を守る力)の低下、成長不良、精神の病気……など、あげたらキリがないくらい多くの病気や障害を引き起こすリスクもあるといわれています。

体に良くないものは、美容にも良くないに決まっています。健康な体があってこそ、若々しさや美しさといったものが光り輝くといえるでしょう。その点では、加工食品には、がんや病気を引き起こす危険があるため、あまり利用しないほうが良さそうです。

食品添加物は代謝にも影響

加工食品に使用される保存料、着色料などの食品添加物は、体の代謝にも悪影響を及ぼします。代謝とは体に必要なエネルギーや栄養素を合成したり分解したりして、体の機能を正常に働かせる作用のことです。

代謝が低下すると、体や脳を働かせるために必要なエネルギーが不足するため、体がだるくなったり、疲れやすくなったり、集中力が低下したりします。いつも元気がなく、疲れた表情をしていれば、若々しく見られることはなく、周囲の人に老けた印象を与えてしまいます。

また、代謝の低下は、肌や皮膚の新陳代謝にも影響を及ぼすため、顔や腕、手など見える部分に老化が現れやすくなります。こうしたことから、ハムやソーセージ、ウインナー、ベーコンなどの加工食品は、アンチエイジングの観点からも、好ましい食べ物とはいえません。

さらに、加工食品には大量の塩分が含まれています。塩分を多く摂取すると、体のむくみや老化につながるといわれてます。ハムやソーセージだけでなく、同じように塩分と添加物を多く含む、「かまぼこ」や「ちくわ」などの練り物製品にも注意したほうが良いといえます。

⑤遺伝子組み換え食品

「遺伝子組み換え食品」といわれても、いまひとつピンとこない方も多いかと思います。

遺伝子組み換え食品は、植物の遺伝子を組み換える、「バイオテクノロジー」という先端技術を使って、本来、自然界には存在しない遺伝子を持った作物からつくられる食品です。

遺伝子組み換え食品は、今のところ、日本での生産が認められていないため、アメリカなど海外で作られたものが、日本に輸入されています。具体的には、大豆、小麦、とうもろこし、じゃがいも、パパイヤなどがあげられます。

なぜ、遺伝子を組み換える必要があるのか? といえば、作物を効率的に作るためです。

例えば、小麦やトウモロコシなどの作物を作る時には、除草剤という雑草を枯らす農薬を使います。

収穫したい作物の周りには、雑草が生えてきます。雑草が生えると土の養分が、雑草に取られてしまうため、作物が十分に育たなくなります。そこで、雑草を枯らす必要性が生じます。

アメリカやカナダなどの農地は、日本とは比べ物にならないくらい広大なため、雑草だけを選んで除草剤をまくことが難しいため、ヘリコプターや小型飛行機に除草剤を積んで、空中から大規模に農薬を散布します。

本来、除草剤を吹きかけた植物は全部枯れてしまうのですが、遺伝子を組み換えることで、除草剤をかけても枯れないように収穫したい作物の性質を変えるのです。こうすることによって、農地全体に除草剤をまいても、収穫したい作物は枯れず、雑草だけが枯れるようにできるのです。

つまり、遺伝子を組み換えることで、雑草を枯らすための面倒な手作業をはぶくことができ、作物を効率的につくることができるようになるのです。

しかし、ここで問題になるのは、遺伝子を組み換えた作物は、安全なのか? という点です。

遺伝子を組み換えた作物は、本来、自然界には存在しない遺伝子をもっているため、人体に対してどのような危険があるのか、いまだにはっきりとは分かっておらず、安全性が疑問視されています。

また、遺伝子組み換え作物は、小麦やトウモロコシなど、食品の原料として使われることが多いため、どの食品にどのくらい使われているのか、分かりにくいのも難点です。

先ほど、清涼飲料水のところで説明した、果糖ブドウ糖液糖も、実は、遺伝子を組み換えたトウモロコシを原料にしたコーンシロップからつくられています。

そのほかにも、コーン油、大豆油、しょうゆ、なども遺伝子を組み換えた作物が原料として使われています。

遺伝子組み換え食品は、どこに紛れ込んでいるか、分かりにくいため、やっかいなのです。食品を買うときに、成分表示などを確認して、遺伝子組み換え食品を使用しているかどうか、チェックすることが大事です。

まとめ:老化を防ぐために大切なこと

これまで述べてきたように、私たちがよく口にする身近な食べ物も、実は、体の老化につながる老化食であることが多いのです。老化食に注意するポイントは、次のようにまとめられます。

・ファストフードはできるだけ避ける。

・スナック菓子やクッキーなどは控えめに。(ましてや、食事の代わりにしない)

・炭酸飲料やジュースではなく、お茶などの糖分の入っていない飲み物にする。

・ハムやソーセージ、ベーコンなど加工食品はできるだけ使わない。

・遺伝子組み換え食品でないことを確認する。

こうした点に注意することで、ある程度は、老化を予防することができるでしょう。

しかし、あれもダメ、これもダメというけれども、では何を食べればいいの? という疑問が沸くのも当然でしょう。

日本が国として取り組んでいる「健康日本21」という健康増進の活動では、1日に30種類の食品を食べることを提案しています。多くの食材から様々な栄養をバランスよく摂り、健康を保とうということです。

私たちの体は、1食1食の積み重ねでできています。体の老化を防ぐには、老化食を避けるだけではなく、1日3食、できるだけ30品目を目標として、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大事なのです。

人は誰でも、時間とともに体が老化していくものです。しかし、間違いなく言えることは、「今日の自分が一番若い」ということです。

過ぎた時間を巻き戻すことはできませんが、老化を遅らせたり、若さをとり戻すことは可能です。自分が一番若い今日、この日から、普段の食生活を見直し、まずは老化食を避けることから、始めてみてはいかがでしょうか。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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