「牛乳は太る?」1日に何杯まで飲んで良い?管理栄養士が教える〈健康的な牛乳の飲み方〉
牛乳は小さい子どもから大人まで飲まれており、かつ、料理などで日頃から使用する頻度も多い飲み物です。日常的な食品である牛乳、その適正な摂取量は実際にはどのくらいなのか知っていますか?牛乳を日常的に使っていて小学校から当たり前に飲んでいたけれど、実際必要な量はどのくらいなのか知っている人は少ないかもしれません。もし、飲みすぎてしまったら、どのような影響が体にあるのか?1日の適正な量について管理栄養士が詳しく解説していきます。
牛乳は栄養価が豊富
牛乳で一番有名な栄養素はカルシウムです。含まれているカルシウムは、人間の体の中で一番多いミネラルでもあります。
カルシウムは骨の主な成分だけではなく、筋肉収縮・神経興奮の抑制・血液凝固作用の促進などに関与しています。私たちの体になくてはならない栄養素です。
そのほか牛乳には、体の筋肉の材料となるタンパク質や脂質が多く含まれます。牛乳のタンパク質の中には、吸収率のよいホエイタンパク質と、ゆっくり吸収するガゼインタンパク質の2種類が含まれています。ホエイとガゼインはプロテインの材料としても知られていますね。
また、牛乳の中に含まれる脂質は、お肉などと同様に、飽和脂肪酸という成分が多く含まれています。牛乳のコクはこの脂質の働きによりまろやかな味をしています。
でも飲みすぎてしまったらどうなるの?
栄養素の豊富な牛乳ですが、多く飲めば体によい効果があるというわけではありません。牛乳には脂質やタンパク質も多くしっかりエネルギーも含まれるため、飲みすぎると体重が増加する可能性もあります。冷えた牛乳は水のように飲みやすいですが、喉の渇きを解消するために大量に飲むようなことは控えましょう。
また、牛乳に含まれる飽和脂肪酸は、コレステロールの材料になります。コレステロールというと体によくないというイメージもありますが、実は髪の毛や皮膚のコシやステロイドホルモンの原料になっています。しかし、牛乳を多く飲みすぎると飽和脂肪酸の量が多くなります。飽和脂肪酸が多くなることで、血液中のコレステロールのバランスが崩れてしまい脂質異常症のリスクが高まります。
1日に最適な牛乳の量は?
牛乳には体に必要な栄養価も豊富に含まれています。それらの栄養素を取り入れるのに必要な、1日の摂取量として最適な牛乳の量についてお話しします。厚生労働省「食事バランスガイド」では1日コップ1杯200ml程度が目安とされています。牛乳200mlでカルシウムも220mg含まれており、食事から不足しているカルシウムを補えます。
大切な事は、牛乳だけでカルシウムを補おうとしないことです。牛乳だけでカルシウムを補おうとするとカロリーや脂質が多くなりすぎてしまうため、野菜やお肉などバランスのよい食事を摂ったうえで、不足しているカルシウムを牛乳で補うという意識が大切です。
管理栄養士からのコメント
牛乳の種類は無脂肪・低脂肪などもありますから、コレステロールやエネルギーが気になる方はご自身の体に合わせて牛乳を選んでみましょう。
脂肪分が少なくなると牛乳独特のコクも薄れてしまうため、日常でカルシウム補給に飲むのか、それとも料理で使用するための牛乳かなど、活用方法に合わせてギュニュウを選ぶと、より賢く牛乳の栄養素を健康的に摂取できます。栄養価が高く価格も安定している牛乳は、日頃の栄養バランスを整える食品としても非常に素晴らしいため、1日1杯程度を目安に取り入れていきましょう。
〈参考文献〉
・厚生労働省eヘルスネット カルシウム
・厚生労働省eヘルスネット 脂質異常症
・厚生労働省 食事バランスガイド
・食品成分データベース 牛乳
AUTHOR
竹内寿美恵
保育園栄養士、スポーツ栄養士、国立病院にて臨床栄養を経験。さまざまな経験を積む中で、ストレスの軽減をし、心身共に幸せな生き方をしたいと心に決める。 そのために『食×栄養×ヨガ』を組み合わせたホリスティックな知識をより深く学ぼうとインドネシア、バリ島にてベジタリアン、ヴィーガン、ローフード、ヨガ栄養学の留学をする。 現在は栄養カウンセリング、ヨガインストラクターなどフリーランスの管理栄養士として活動。
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