事実婚、同性カップル…結婚に“正解”はない。「誰かと生きていく」選択を応援するゼクシィの決断

 事実婚、同性カップル…結婚に“正解”はない。「誰かと生きていく」選択を応援するゼクシィの決断
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以前は結婚=法律婚でしたが、事実婚やパートナーシップ制度を利用する同性カップル、国際結婚、妻の姓を選択するカップルなど「誰かと一緒にいる選択」は多様化しています。一方で、まだ少数派である選択をしたカップルには、それぞれ悩みが聞こえてくることもあるとのことです。2023年に30周年を迎えた、結婚情報誌『ゼクシィ』統括編集長の森奈織子さんに、前編では結婚式のあり方や最近の結婚式の傾向等について伺いました。後編では多様なカップルの姿を誌面に反映するようになった経緯や、ゼクシィ読者の同性カップルの声、記事作成において偏りを生まないために行っていること等をお話しいただきました。

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「誰かと生きていく」という選択を応援したい

——2023年5月発売号に「ふうふの基本宣誓書」が付録になっていました。どのような思いから作成されたのでしょうか?

事実婚を選択される方、妻の姓を選択をされるカップル、同性カップルで結婚式を挙げる方など、結婚や結婚式にバリエーションが出てきたことを感じていました。一方で、そういったまだ社会の中でマイノリティとも捉えられる選択について、親に反対されたり、周囲から白い目で見られたりと、胸を張ってその選択をしたことが言えないというお話も伺っています。

「誰かと生きていく」という選択をすること自体は尊いことだと考えていて、私たちはすべての人に必要な情報を提供し、少しでも前向きに祝いの場や誓いの場を持っていただけたらという思いで作成しました。

「ふうふ」という開いた表現を用いた理由は、男女のカップルに限らず、誰かと生きていくと決めた2人の宣誓書として作らせていただいたからです。2人が宣誓するものとして記念に残していただくという使い方や、結婚式場で飾っていただいたり、家に飾っていただいたりもできます。

なお、2023年4月発売号では、事実婚や妻の姓を選択するカップルの事例を紹介しながら、結婚の手続きに関する別冊の冊子を作成しました。

——ゼクシィでは男女の結婚を中心に取り上げることが多かった、とのことですが、いつ頃から同性カップルについても誌面に掲載するようになったのでしょうか?

姉妹誌である『ゼクシィPremier(現在は休刊)』で、2012年頃から同性で結婚式を挙げている方をご紹介しています。

『ゼクシィ』では、時代の変化や、同性カップルの方にもゼクシィを手に取っていただいていることをふまえて、2023年4月から多様なカップルのうちの一つとして掲載しています。2023年12月発売号の特集でも、多様なカップルをご紹介していて、その中に同性カップルもいらっしゃいます。

——森さんのインタビューにて「同性カップルの方が、ゼクシィを楽しく読んだものの、2人のスタイルにあった結婚式の情報が載っていなかった」とおっしゃっていたことをお話されていましたが、具体的にどのようなことだったのでしょうか?

結婚式場を探そうとしても、自分たちが受け入れられるかどうか不安だったとお話されていました。本当にこの挙式会場で挙げられるのか、自分たちはウェルカムなのか。LGBTQの方が式を挙げた実績があるかもわからなかったので、不安で選べないですし、そもそも問い合わせ自体が怖いと聞かせていただいて。その方々は、会場探しや結婚準備の相談ができるゼクシィ相談カウンターにお繋ぎし、そこで会場を決められたと伺っています。

結婚式の選択肢を広げていきたい

——カップルの性別にかかわらず、バイアス(偏りや先入観)を生まないために誌面にどのような工夫をされていますか?

月に4~5回花嫁さんをお呼びして、インタビューを行い、その中から今の結婚や結婚式の価値観、誌面に対する要望等を伺っています。

また読者アンケートは、1号あたり2000件から、多いときは5000件ほどお送りいただいているんです。一つ一つの記事に対する感想や、ゼクシィに対する要望を書いていただいて、編集者もデスクも編集長も必ず目を通しています。花嫁や読者の声をふまえて、記事のラインナップを決めています。

ほか花嫁1000人委員会という2年任期で更新のモニター団体さんがいて、現役花嫁さんと卒花(結婚式を終えた花嫁)さんにアンケートやインタビューの協力をいただくことも。常に結婚式を挙げてまもない方々から写真のご提供をいただき、お話を伺うことで結婚式準備を捉えて記事にも反映しています。過去15年ほどはこの形で誌面作りを行っているんです。

——30周年を迎えたゼクシィは、今後どんなことを目指しているのでしょうか。

30周年を迎えてのブランドメッセージの一新は、思い付きで行ったわけではなく、世の中や業界の不満や不便などの「不」を、式場と一緒にアップデートしながら解決してきた30年間を踏まえてのものです。

事実婚やパートナーシップ制度を含め、結婚や結婚式を挙げることは、大切な誰かと生きていく覚悟を決めることだと考えています。長い人生の中で、かつ正解のない時代を生きていくにあたって、自分にとってセーフティーネットとなる場所があると、自分の勇気になったり、よりどころになったり、気持ちを前向きにしていける。誰かと一緒に生きていくことは、大変なこともありつつも、日々の生活を豊かにできるものだと思います。そういう瞬間と、そういう人に出会えてからの人生を応援していきたいです。

結婚式を挙げた方々からは「今まで体験したことのない、貴重な時間だった」というお声を聞きます。「自分の人生が肯定できた」「大切な人たちに囲まれて幸せだった」というお話からも、ポジティブになっている場という確信がある。多様な結婚式の形を紹介し、無理のない形で式を挙げることを提案していきたいです。

一方で、伝統的な結婚式を望む方の思いも尊重したく、昔ながらの様式や作法を残してきた一面もあります。レトロな結婚式場も「エモい」と、若い方が選択していることもありますし、イミテーションケーキも逆に新鮮に感じるという声もあって、巡り巡って、伝統的・クラシカルな結婚式を選択する方がいらっしゃることも感じます。神社の和婚を選択する方もいますし、最近ですと、神社にてドレスとタキシードで式を挙げる方もいらっしゃいます。こうして、それぞれが望む形の結婚式の選択肢を広げていければと思っています。

どんどんバリエーションは増えていて、自分たちのしたい形にアレンジも可能ですし、結婚式に“正解”はない。これからますます100人100通りの結婚式の形が出てくるのだろうと感じています。

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雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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