コレを知れば確実に柔軟性が上がる!?理学療法士が解説「相反神経支配」とは?

 コレを知れば確実に柔軟性が上がる!?理学療法士が解説「相反神経支配」とは?
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堀川ゆき
堀川ゆき
2024-02-15

「身体を柔らかくしたい!」きっと多くの人が望んでいるはず。やはりコツコツとストレッチを続けることが大切ですが、ほかにも理にかなった方法があるのを知っていますか?今回は「相反神経支配」(そうはんしんけいしはい)について、理学療法士の堀川ゆきさんが教えてくれました。

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「相反神経支配」とは

柔軟性を上げるためにストレッチを行う、これは正論で最も王道とされている方法です。筋肉を伸ばす時間や伸ばす強度など順守しながら、毎日コツコツと丁寧にストレッチを行うことで、柔軟性は確実に向上します。

一方で、柔軟性を上げるためにはストレッチ以外にもほかの方法がいくつかあります。そのうちの一つ、今回は「相反神経支配」を利用する方法についてお話します。相反神経支配とは、筋肉が収縮する際にその反対側にある筋肉を弛緩させる命令が出されるといった、互いに拮抗しあう筋肉の活動をサポートするメカニズムのことです。

具体的に例をあげると、

・膝が曲げられるのは、ハムストリングスが縮み、反対側の大腿四頭筋が緩むから。
・肘が曲げられるのは、上腕二頭筋が縮み、反対側の上腕三頭筋が緩むから。

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イラストACより改変

つまり、柔らかくしたい筋肉の反対側にある筋肉に力を入れると、柔らかくしたい筋肉が自動的に緩んで伸びやすくなるという性質が筋肉にはあるので、それを利用してストレッチをすれば良いということになります。

ハムストリングスが硬いなら

ヨガで最も硬さを自覚しやすい筋肉は、何といっても太ももの裏にあるハムストリングスではないでしょうか。膝を伸ばして前屈するのが苦手で、手が床やつま先までまで届かないという人は、原因がハムストリングスの硬さにある場合が多いです。さて、ハムストリングスが硬いとどんなヨガポーズが苦手になるかというと、

パスチモッターナーサナ
ウッタナーサナ
ヴィーラバドラーサナⅢ
アルダハヌマナーサナ

などです。

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photo by Yuki Horikawa

ハムストリングスと裏表の対の関係にある筋肉は「大腿四頭筋」です。つまり、ハムストリングスが硬いなら、ハムストリングスを緩めるために反対側にある大腿四頭筋を鍛えると良いことになります。

大腿四頭筋を鍛えよう

先程あげた4つのヨガポーズの最中に、膝のお皿をキュッっと上に持ち上げるように大腿四頭筋に力を入れるよう意識して行うと、ハムストリングスが緩むのでポーズが一段と深まります。これはすぐに試すことができるので、ぜひ体感してくださいね。

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photo by Yuki Horikawa

それと並行して、普段から大腿四頭筋をしっかり鍛えていくこともハムストリングスを柔軟にするために有効です。そこで大腿四頭筋の筋トレをここで2つ紹介します。

パテラセッティング:

易しめの筋トレ。両脚を前に伸ばして長座位で床に座り、膝下に丸めたタオルを置く。そのタオルを押しつぶすように太ももの正面に力をグッと入れ続ける。10秒×3回行う。

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photo by Yuki Horikawa

Zシッティング:

キツめの筋トレ。両膝は腰幅の膝立ち姿勢で、両腕は床と平行に前に伸ばしたまま、頭から膝は一直線に保った状態で身体を後方に倒していく。全身で「Z」の形をキープする。10秒×3回行う。

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photo by Yuki Horikawa

まとめ

最後に知っておきたいのが、中枢神経からの指令は、収縮させたい筋肉にしか働かないということです。実は筋肉を弛緩させるという伝達や反応のプロセスというものがないのです。つまり、ストレッチ(弛緩)したい場合、ストレッチする筋肉に注目するよりも、その反対側の筋肉を収縮させる意識を持ってストレッチを行う方が、柔軟性の向上につながると考えられます。相反神経支配をうまく利用しながら、柔軟性向上を目指していけるといいですね。

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AUTHOR

堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。



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