「説得力ある人」に共通する話し方とは?【臨床心理士が解説】

 「説得力ある人」に共通する話し方とは?【臨床心理士が解説】
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佐藤セイ
佐藤セイ
2024-02-18

「将来どうしてもやりたいことのために家族を説得したい!」「取引先に自社のサービスの魅力を何とかわかってもらいたい!」など、他者を説得すべき場面は意外と多いものです。しかし、説得の方法を学ぶ機会はあまりありません。「どうやって説得すればいいんだろう?」と悩む方のために、説得力ある人に共通する話し方をご紹介します。

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そもそも「説得力」とは?

説得力とは、「自分の意見を他者に理解・納得してもらう力」を指します。さらっとした説明ですが、この文章からは説得力が、

・理解させる【頭】へのアプローチ

・納得させる【心】へのアプローチ

という2つの異なるアプローチから構成されていることがわかります。

説得力のある人は、これら2つを押さえた話し方をしているのです。

説得力ある人に共通する「頭に理解させる」話し方

「聴き手にいかに理解させるか」という【頭】へのアプローチは、「PREP法」や「SDS法」といった表現方法が基本になります。

「結論」から話す

「PERP法」や「SDS法」とは、スピーチや文章をわかりやすく伝えるための枠組みのこと。

PERP法という名前は、言葉を伝える順番である「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の頭文字がもとになっています。

ちなみにSDS法「要約(Summary)→詳細(Details)→要約(Summary)の順に伝えます。

ここで大事なのは、どちらも話の全容を示す「結論」や「要約」から話し始めていることです。最初に話のゴールや全体像を共有しておくことで、聴き手はこれから始まる話についての前提知識を持つことができます。その結果、「理由」「具体例」「詳細」といった細かな内容も理解しやすくなるのです。

根拠を示す

理解してもらうための話し方としては、「根拠を示す」ことも挙げられます。

たとえば、「今回のテストは65点です!すごいでしょう!」と言葉だけでアピールしたとしましょう。でも、聴き手としては、その情報だけではすごいのかすごくないのかわかりません。65点を「すごい」と理解するためには、「平均点」や「偏差値」や「過去の点数との比較」など、「すごい」を裏付ける情報が必要だからです。

自分の意見や主張の裏付けとなる根拠を用意した上で話すと、聴き手の理解はぐんと高まります。。

聴き手にとって関連性の高い話題を出す

聴き手の理解を促すには、聴き手にとって「関連性の高い話題」を選んで話すことも大事です。

たとえば、熱帯気候の土地に暮らす人たちに「大雪が降ったときに…」などの雪の話題をたとえ話として出しても、ぼんやりとしたイメージに留まってしまい、きちんと理解してもらうのは難しいでしょう。一方で、「蒸し暑さ」や「雨季」などのたとえ話はピンと来てもらえるはずです。

聴き手に「あるある」と思ってもらえるテーマを選んで話すことで、説得力を高めることができます。(*1)

説得力のある人に共通する「心を納得させる」話し方

ここからは聴き手に納得してもらう【心】へのアプローチについて、音声や視線といった「非言語的な情報」を中心にご紹介します。

【音声のコントロール】抑揚と沈黙をうまく使う

2016年に発表された論文(*2)によると、声の抑揚がはっきりしているほど、説得力が高まることが明らかになりました。

また、同じ論文から「沈黙」も説得力に影響することも示されています。ただ、沈黙を扱う際は、聴き手が自分に対し「ポジティブな印象を形成しているか」をよく観察しなければいけません。

聴き手が自分に対して「専門家である」や「信頼できる」などのポジティブな印象を抱いている場合、沈黙を使うと、聴き手は「これは私たちへの配慮だ」と感じやすく、説得力を高められる傾向があります。しかし、十分にポジティブな印象を形成できていないと、「話すのが下手」などネガティブな印象につながり、かえって説得力が低下するというのです。(*3)

不安な場合は、抑揚をはっきりつけることだけ意識してみても良いでしょう。

【視線のコントロール】「私とあなたの世界」をつくる

説得力を高めるためには、視線をコントロールして、聴き手に「私に語りかけている」と感じさせるような工夫も必要です。

先ほどご紹介した2016年の論文(*2)では、話していないときはその場にいる全員をぐるっと見回し話すときには1点をじっと見ることで、「あなたに話している」という空気を作り出し、1人1人への説得力を高められる可能性が示されています。

まとめ

ここまでの話をまとめると、

・聴き手の【頭】に「なるほど!」「わかりやすい!」と思える形で伝えること

・聴き手の【心】に「この人は信じられる」「私に語りかけている」と感じさせること

の両方に成功したとき、「説得力」が生まれます。ぜひできそうなところから取り組んでみてください。

参考文献

*1  新井恭子(2007)説得力とは何かー広告表現におけることばの効果ー 経営論集 69 pp171-183.

*2 平林由紀子・藤田雄介・吉永智明・北原義典(2016)説得力の強さを感じさせる話し方における非言語情報の特徴のモデル化 ヒューマンインタフェース学会論文誌 18(4) pp425-434.

*3 木村昌紀・横山ひとみ・小林知輝(2014)無言の時間は説得力を高めるのか? 日本心理臨床学会第78回大会発表論文集

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佐藤セイ

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。



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