「レタス〇個分の食物繊維」一体どれぐらい?管理栄養士が指摘するレタスの"実際の"食物繊維量
食物繊維の量をあらわす表示で「レタス〇個分の食物繊維!」といった表示を見たことはありませんか?「レタス3個分の食物繊維」といわれると、たっぷりと食物繊維が含まれているように感じますよね。しかし、レタスには実際のところどのくらいの食物繊維が含まれているのでしょうか?今回はレタスの食物繊維についてお伝えします。今後「レタス〇個分の食物繊維」の表示を見かけたら、少しだけ注意が必要ですよ。
レタスの食物繊維って多いの?
「レタス〇個分の食物繊維」といわれると「たっぷり食物繊維が含まれている」と感じてしまいますが、実際のところレタスの食物繊維は多いのでしょうか?
「食物繊維が多く含まれている野菜」を考えたときに、ぱっと思いつくのが「ごぼう」という方が多いかもしれません。まっさきに「食物繊維が多い野菜といえばレタス!」と思わないのは正解です。実はレタスの食物繊維量は決して多くありません。
レタスの食物繊維量は100gあたり1.1gです。1玉が300gだとすると、まるまる食べても摂取できる食物繊維の量は3.3g。「あれ?少ないな…」と感じますよね。
一方で食物繊維が多い野菜として思い浮かぶごぼうは、100gあたりの食物繊維が5.1g。レタスの5倍ほどありますね。
そして意外なことに、ごぼうよりもきくらげや切干大根の方が100gあたりの食物繊維量が多いのです。「イメージ」でとらえていると、実際の栄養量とは異なるという落とし穴がありますね。
また「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の1日あたりの「目標量」は、18〜64歳で男性21g以上、女性18g以上となっています。
「目標量」とは生活習慣病の発症予防を目的とした量なので「必須の量」ではありませんが、目標として摂取したい量のことです。
女性で1日18g以上の食物繊維を摂るとなると、レタス(1玉3.3gの食物繊維)なら5玉以上の摂取が必要で、現実的な数字ではないですね。
「レタス〇個分の食物繊維という表示があるから、食物繊維がたっぷりで十分な量を摂取できる」と思ってしまうのは、少し誤解があるということです。
なぜ「食物繊維量」のたとえにレタスが使われているの?
レタスよりも豊富に食物繊維が含まれている野菜があるのに、なぜレタスがたとえに使われているのでしょうか?
メーカーによってさまざまな考え方があるとは思われますが、やはり「この商品には食物繊維が多い」といったイメージを与えたいという点が大きいといえます。
単純に「レタス〇個分!」と表示することで「食物繊維がたっぷり」と消費者にイメージしてもらえます。実際にレタスにどのくらいの食物繊維が含まれているか知らなくても「〇個分」というたとえを見ることで「たっぷり」と思えてしまいますよね。
もちろん、レタスにも食物繊維が含まれているので「レタス〇個分の食物繊維」というフレーズは決して間違いではありません。
しかし「たっぷり含まれている」と単純に考えてしまうのは注意が必要です。「たとえ」をすることによりイメージしやすくなることもあれば、逆に思い描いたイメージと異なってしまう場合もあります。
レタスに限らす、食品の「〇個分含有」という表現には注意して、パッケージに記載されている「栄養成分量」などをチェックしてみてくださいね。
参照
大修館書店|食品解説つき 八訂準拠 ビジュアル食品成分表
厚生労働省|e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
AUTHOR
なつめももこ
管理栄養士/Webライター/イラストレーター。管理栄養士として病院に7年間勤務。出産を機に「子どもとの時間を大切にしながら働くこと」を目標にフリーランスのWebライター&イラストレーターとして活動開始。現在は栄養に関する記事を執筆するほか、未経験からイラストレーターになる方法について発信している。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く