いつもの鼻水と色が違う…透明や緑、黄色など〈鼻水の色や特徴〉でわかる病気とは?医師が解説

 いつもの鼻水と色が違う…透明や緑、黄色など〈鼻水の色や特徴〉でわかる病気とは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-01-11

鼻水の色によってわかることがある?医師が解説します。

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通常、鼻水は透明ですが、緑色っぽい、オレンジっぽい鼻水、黄色っぽい鼻水といった場合には何らかの病気が隠れていることもあります。鼻水の色や特徴から見当をつけられる病気としては、風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などが挙げられます。特に、透明でサラサラとした鼻水の場合には、アレルギー性鼻炎の可能性が高いと言えます。

また、身体に侵入した細菌やウイルスと戦った白血球の大量の死骸は、緑色っぽい鼻水となって外へと排出されるため、風邪など治りかけの時期に緑色の鼻水が見られることが多くなります。緑色、あるいはオレンジ色や黄色っぽい鼻水が見られる場合には副鼻腔炎が考えられ、特にオレンジ色や黄色っぽい色をしながら粘り気のある鼻水が認められる際には、好酸球性副鼻腔炎と考えられます。

また、鼻を触ったりぶつけたりしても鼻血は出ますが、頻繁に鼻血が出るという場合には、副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎などの鼻の病気、あるいは動脈硬化、高血圧、糖尿病、白血病、肝硬変などの全身疾患が隠れていることもありますので注意しましょう。

水のようにサラサラした鼻水なら「アレルギー性鼻炎」の可能性

アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニなどの特定の物質(アレルゲン)を異物とみなして、体内から異物を排除しようと主にくしゃみ、鼻汁、鼻閉の3つの症状が生じてしまう病気のことを指しています。

くしゃみは、鼻の中の異物を外へ出すための体の反応であり、たて続けに出るくしゃみに、鼻水や鼻づまりを伴い、発熱症状や倦怠感がなければ、アレルギー性鼻炎を疑います。また、アレルギー性鼻炎が原因の鼻水は、水のようにさらさらした、水様性の鼻水がほとんどであると言われています。鼻づまりとは、鼻の粘膜が腫れて空気の通り道を狭めている状態であり、かぜ症候群や上気道炎でもないのに鼻がつまってのどが痛くなる場合は、アレルギー性鼻炎を疑いましょう。

それ以外にも、アレルギー性鼻炎になると、目、のど、皮膚などでも炎症の症状がみられることがありますし、特に目に症状が出た場合は、涙が出てきてかゆみを感じる、あるいは白目とまぶたが赤くなって腫れてくる症状が認められます。

アレルギー性鼻炎は、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分類されています。前者がダニやホコリなどが原因で1年を通して鼻炎症状が認められ、後者はスギやヒノキの花粉などが原因で、花粉の飛散時期だけに鼻炎症状が認められます。

アレルギー性鼻炎を予防するためには、原因物質の回避が重要であり、病院で行う治療には、薬物投与・手術・免疫療法があって、症状や希望にあわせて治療方法が選択されます。一般的に、アレルギー性鼻炎は、原因物質(アレルゲン)によって体内に生成されたヒスタミンという物質によりアレルギー症状が起きますので、このヒスタミンが起こす症状を抑えることが、アレルギー性鼻炎の治療として有効になります。

一般的に使われる内服薬は、アレルギー反応を起こす刺激物質を抑える抗アレルギー薬と抗ロイコトリエン薬であり、抗アレルギー薬は、ヒスタミンの発生と放出を抑えることにより主にくしゃみ、鼻汁の軽減が期待できる、比較的即効性のある薬になります。

色のついた汚い鼻水の場合は「好酸球性副鼻腔炎」の可能性

好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができて、手術治療を実施しても再発しやすい難治性の慢性副鼻腔炎として認識されています。一般的な慢性副鼻腔炎は、抗菌薬と内視鏡手術によって治ることがあります。

ところが、好酸球性副鼻腔炎の場合は、手術をしても再発しやすく、ステロイドを内服すると軽快する特徴があって、好酸球性副鼻腔炎は厚生労働省の指定難病の診断基準から診断されることになります。

ステロイドが最も有効な治療法であり、ステロイド内服を中止すると風邪などの感染を契機に鼻茸が再度大きくなり、症状が再燃する状態に悪化します。

常日頃から規則正しい生活を送り、帰宅後には必ず手洗いなど衛生対策を実施する事が重要です。

血液検査では、好酸球がたくさん血液中に現れて、鼻のCT画像検査を撮影すると目と目の間の所(篩骨洞)に陰影像が認められます。

本疾患における明確な発症原因はわかっていませんが、主に気管支喘息の場合、あるいはアスピリンなどの解熱剤などで喘息発作を起こすアスピリン不耐症の方や薬物アレルギーの人に起こりやすいと考えられています。

好酸球性副鼻腔炎で汚い鼻水が出ている場合には、まず抗菌薬を内服して、透明な鼻になっても嗅覚障害が続いて、鼻づまりが継続する場合には、ステロイド内服が実践されることが多いので、心配であれば耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診しましょう。

まとめ

これまで、鼻水の色や特徴で考えられる病気、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎はどのような病気かなどを中心に解説してきました。

そもそも鼻という器官は、呼吸という生命維持に重要な機能を担っており、異物の侵入を防ぐ、体内に入る空気の温度や湿度の調整、においの感知といった様々な重要な役割を持っています。

通常の鼻水は白色ですが、感染を起こすと細菌やウイルスを排除するために白血球が戦って死滅すると緑色の鼻汁になるなどのように、細菌やウイルスへの感染・炎症の有無、出血の有無、タンパク質の量などにより、鼻水の色や粘度には違いが生じます。

鼻水の色や特徴によって原因となっている疾患がわかることがありますので、鼻水が出るときは、その色や特徴にも着目して、医療機関の受診目安にして、特に黄色や緑色、赤や褐色の鼻水が続く場合は、早期的に耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診して相談しましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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