痛風の痛みは、ある日突然やってくる…【患者数は125万人】あなたの痛風危険度は?薬剤師が解説

 痛風の痛みは、ある日突然やってくる…【患者数は125万人】あなたの痛風危険度は?薬剤師が解説
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かつてはぜいたく病といわれた痛風ですが、現在、日本での患者数は125万人、予備軍を含めると1,200万人以上に上る生活生活習慣病の一つです。痛風はある日突然発症するケースが多く、予防を心がけることが大事です。この記事では痛風の危険度や予防法などについて解説します。

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こんな人は要注意!痛風危険度をチェック

痛風は発作が起こるまでは、ほとんど自覚症状がないため、気づかずに進行していることが多い病気です。以下に当てはまる項目が多い人ほど、痛風危険度が高いといえます。

□太っている
□お酒が大好き
□干物、魚卵、動物の内臓料理(モツやレバーなど)が好き
□水分をあまり摂らない
□果糖(甘味飲料や果物ジュース)の摂り過ぎ
□ストレスを感じている
□激しい運動をすることがある
□家族に痛風患者がいる
□健診で尿酸値が高めと言われた

痛風の症状とは?

足の関節に腫れや熱を伴う激痛が走ります

痛風は体内の尿酸が多くなりすぎて関節で結晶化し、関節炎(痛風発作)を引き起こす病気。その名の通り“風が吹いても痛い”というように、痛風発作はある日突然「骨を砕かれたような痛さ」「これまで体験した中で最高の痛さ」といわれるほど強烈な痛みが起こるのが特徴です。明け方に発症するケースが多く、痛みと同時に患部が腫れ、熱を持ちます。痛みは時間を追って激しくなって赤く腫れ上がり、12時間~24時間でピークに。その後、2~3日で徐々に和らぎ、7~10日で自然に消えていきます。

痛みは尿酸の結晶がたまりやすい下肢(ひざから下)の関節に出ることが多く、初めての発作の5~6割が足の親指のつけ根に起こります。そのほか、アキレス腱の付着部やくるぶし、かかと、足の甲の関節などに起こることもあります。なお、痛みが起こるのは1カ所だけで、複数の場所が同時に痛くなるのはまれです。また、発作が起こるまではほとんど自覚症状がないといわれますが、実際には半日~1日前に予兆が現れることが多いです。寝る前に患部に何か違和感を覚え、早朝、痛みで目が覚めるというケースが典型的です。おもな予兆は次の通り。

●チクチクする痛み。

●ムズムズとした違和感。

●軽い捻挫のような痛み。

発作後、痛みが消えるため、病院に行かずに放置したり、治療を途中で止めたりする人もいますが、通常、半年~1年後に再発します。発作を繰り返すと、関節にダメージを与えたり、腎臓や心臓などに合併症を引き起こす可能性が高まるので、適切な治療を受けることが大切です。

痛風
痛風 イラスト/イラストAC

なぜ痛みが起こるのか?

尿酸の結晶が蓄積し、炎症を起こすため

痛みの元となる尿酸は、新陳代謝などに使われるプリン体が肝臓で処理されてつくられる物質で、おもに尿に溶けて排泄されます。ところが、体内で尿酸が過剰につくられたり、うまく排泄されなくなると関節などで固まって結晶化し、それを白血球が異物とみなし攻撃することで炎症や強い痛みが生じます。尿酸値を高くするおもな危険因子は次の通りです。

●肥満
「皮下脂肪」が多いと尿酸の排泄が妨げられ、「内臓脂肪」が多いと尿酸が過剰につくられる。いずれにしても、肥満は痛風を招きやすい。

●アルコール
酒類は尿酸の合成を促すうえ、尿酸の排出を抑える。中でも、プリン体が多く含まれるビールは、特に尿酸値への影響が大きい。

●肉類中心の食事
動物性タンパク質を多く含む高エネルギーの食事は肥満を招きやすく、尿酸値を上げる。特に、モツやレバー、魚卵など、プリン体の多い食品の摂り過ぎに注意。

●水分をあまりとらない
水分が不足すると尿の量が減少し、プリン体が排出されにくくなる。汗をかくことによる水分不足にも要注意。

●果糖の摂り過ぎ
果物や果糖の多い清涼飲料水を摂り過ぎると尿酸値が上がる。

●激しい運動をしている
息継ぎをせずに行う激しい運動(=無酸素運動)は、疲労物質である乳酸を増やし、尿酸値を急上昇させる。逆にウォーキングなどの有酸素運動は、尿酸値を下げる効果がある。

●家族に痛風患者がいる
腎臓や腸管にあり、尿酸を運ぶ働きをする「尿酸トランスポーター」という機能が変異するなど、遺伝的な体質により尿酸が排出されにくくなる。家族で偏った食生活や生活習慣も関係する。

●尿酸値が高い
尿酸は血液中に溶けにくく、尿酸値が7.0mg/dLを超えると、血液中に溶けきれなかった尿酸が尿酸ナトリウムが結晶となり、痛風を引き起こす。

女性も痛風にかかる?

痛風は男性の病気と思われがちですが、近年では女性の痛風患者も増加しています。男性と同様、肥満や飲酒、運動不足などが原因ですが、尿酸の排出を促す女性ホルモンが減少する更年期以降、閉経後の女性、腎臓に疾患がある女性は発症率が高くなります。

急に痛くなったらどうすればいい?

冷やして安静を保ち、十分な水分補給を

痛風発作が起こったら、炎症を抑えるためにまず、患部を冷やし、できるだけ安静を保ちます。横になるときは座布団の上に足を乗せると楽になります。尿酸を排出しやすくするために、水分を十分に補給してください。アルコールは厳禁です。できるだけ早く病院で治療することで痛みを軽減し、回復を早めることができます。

日常生活で気をつけることは「アルコールを控え、食事に注意、運動で肥満解消を」

痛風の人は暴飲暴食や偏食傾向のある人が多く、そのことが尿酸値を上昇させる大きな要因になっています。ほかの生活習慣病などの合併症を予防・改善するためにも、まず食生活の改善を行いましょう。ポイントは次の通りです。

●肥満の人は現在の食事量を8割に減らし、減量する。

●プリン体を多く含む、肉類の内臓、タラコ、イクラなどの魚卵、イカ、エビ、イワシなどを摂り過ぎない。

●尿をアルカリ性にする、ひじき、わかめ、ほうれん草、ごぼうなどの海藻や野菜を積極的に摂る。(尿がアルカリ性に近いと尿酸が溶けやすくなるため)

●アルコールは種類に関係なく、体内でプリン体の分解を促進し、尿酸の産生を促進するため、控えること。とくにプリン体が多いビールは要注意。飲むならプリン体Off/ゼロのものを。

●尿酸は尿と一緒に排泄されるため、水分を十分に摂り、1日2リットルの尿を出す。現在飲んでいる水分の倍くらいを目安に、食事以外で2リットルの水分をこまめに摂る。

●適度な運動は肥満を解消し、尿酸値を下げる効果があるので習慣に。ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分、最低週3日行う。

●瞬間的に大きなパワーを必要とする無酸素運動(短距離走や筋トレなど)は、プリン体を産生させ尿酸値を上昇させるので避ける。

●趣味の時間をつくるなど、ストレス解消を心がける。

まとめ

痛風はある日突然発症するケースが多く、普段から予防を心がけることが大事です。痛風の危険度に当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。痛風の原因となる尿酸を蓄積しないよう、肥満の解消、アルコールを控える、食生活の改善などに取り組むことが予防につながります。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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