「子供が不登校に…どこに相談すればいいの?」臨床心理士が教える、不登校のための相談窓口&サービス

 「子供が不登校に…どこに相談すればいいの?」臨床心理士が教える、不登校のための相談窓口&サービス
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佐藤セイ
佐藤セイ
2023-10-29

子どもが不登校になると、「どう関わればいいの?」「病院に連れていくべき?」「勉強が遅れたらどうしよう…」など様々な不安が保護者に押し寄せます。そこで今回は不登校について相談できる窓口や不登校であっても学べる場についてご紹介します。

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不登校の相談窓口

まずは、不登校の相談窓口を4つ見てみましょう。

スクールカウンセラー

不登校で悩んだときに相談先として思いつくのは「スクールカウンセラー」ではないでしょうか。学校から相談を勧められることもあるかもしれません。

スクールカウンセラーの利用について「子どもが相談に行かなければ意味がない」と考える保護者の方も少なくありません。

でも実は、不登校相談は保護者だけでもOK。子どもの状態を医学的・心理学的に理解できると、困惑していた保護者の気持ちも少し落ち着きます。「さらに傷つけてしまったら…」と声のかけ方や接し方に悩んでいる場合でも、今の子どもに適した関わり方が見えてきます。学校の事情も理解しており、必要に応じて教員と連携をとれるのもメリットです。

一方で、公立の学校では常駐しているスクールカウンセラーは少なく、週1回や月1回しか来校していないケースも。予約がとれず、数か月待ちになることもあります。

教育相談センター

「教育相談センター」は、教育委員会が設置している相談窓口です。「教育相談所」や「教育相談室」などとも呼ばれています。不登校はもちろん、友人関係やいじめ・子どもの発達・就学や進学など、学校や教育に関する悩み全般に対応しています。

多くの場合、来所での相談だけでなく、電話やメールでの相談を受け付けており、なかにはSNSやチャットで気軽に相談できる環境を整えているところもあります。「子どもだけを家に置いていけない」と相談をためらっている方にも利用しやすい相談先です。

不登校の親の会

「不登校の親の会」は、不登校の子どもを育てている保護者の集まりです。これまでご紹介してきた「スクールカウンセラー」や「教育相談センター」は、専門家に相談する機関でしたが、「不登校の親の会」には専門家はいません。その代わりに、同じ悩みを持つ仲間としての保護者たちがいます。

・子どもの不登校を他者には話しにくい

・他者に話したら「私なら無理やり行かせるのに」と理解を得られなかった

・子どもの前では元気にふるまうけれどストレスが溜まる

・この子の将来、このままで本当に大丈夫?

など不安でいっぱいの保護者にとって、気持ちを吐き出し、分かり合い、ほかの家庭の工夫や進路を知れる場は貴重なものとなっています。

不登校の学びの場

ここからは、不登校の子どもが学びを続けられる場をご紹介します。

ただし、不登校の子どもが最優先にすべきは「心身の回復」です。十分に回復していないうちから「勉強が遅れちゃうから○○行こう!」など急かすと回復が遅れてしまう可能性があります。子どもの様子を見つつ、意思を確認しながら利用してみてくださいね。

適応指導教室

「適応指導教室」あるいは「教育支援センター」は、不登校の子どもたちの学校復帰や社会的自立をサポートするため、自治体によって設置されています。

・個別のカウンセリング

・集団での活動

・学習のサポート

などに取り組めます。

在籍している学校に行けなくても、適応指導教室に通うことで「出席」とすることが可能です。

フリースクール

「フリースクール」は適応指導教室と同じく学校代わりに通える居場所。ただし、適応指導教室が自治体に運営されているのに対し、フリースクールは民間団体が運営している点が異なります。

もちろん、団体によってスクールの運営方針はさまざま。学習に力を入れているところもあれば、心のケアにじっくり取り組んだり、生活スキル習得を大切にしたり…と多様なフリースクールが見つかるため、子どもに適した場所を選べます。

学びの多様化学校

「学びの多様化学校」は、不登校の子どもたちが自分に合った形で学べるように環境が整えられた学校です。少し前までは不登校特例校と呼ばれていました。

その名の通り、一般的な学校教育の形にとらわれない点が特徴で、

・少人数クラスで手厚くサポート

・個々の学習進度に合わせた授業

・オンラインでの授業参加も可能

・いま必要なスキルを習得できるプログラム

など、それぞれの学校が工夫したカリキュラムを用意しています。令和5年時点では全国に24校(公立14校、私立10校)あります。

自宅で学べる動画教材

「外に出るのは難しいけれど、勉強はしたい」という場合には、動画教材を利用しても良いでしょう。

NHK for school:主に小学生向け。NHKだからこそ動画のクオリティが高い
スクールTV
:小学生・中学生向け。学校の教科書に対応して学べる
Try it
:中学生・高校生向け。1動画15分で集中して学べる

コロナ禍を経て、自宅学習に使える動画やツールのクオリティもどんどん高まっています。ぜひ活用してみてくださいね。

 

参考資料

文部科学省「不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援について~長期に不登校となっている児童生徒への支援の充実~」
文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」
いばらき不登校・多様な育ち学び応援サイト「まず「知ろう」」

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佐藤セイ

佐藤セイ

公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。



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