【ほうれん草の生食は危険!?】茹でないリスク、電子レンジ調理の安全性を管理栄養士が解説
ほうれん草の「下茹で」を面倒に思う方も多いのではないでしょうか。しかし、面倒でも健康への影響を考えたときには、ほうれん草は必ず下茹でをしたほうがよい理由があります。茹でない場合にどのような影響があるのか、また電子レンジで調理するのは大丈夫なのかなどについて、管理栄養士が解説します。
ほうれん草は「シュウ酸」の過剰摂取のリスクがある
ほうれん草を下茹でするのは、アクの成分である「シュウ酸」を減らすためです。シュウ酸は水溶性であり、茹でることで減らせます。シュウ酸はえぐみなどの味わいに影響を与えるほかに、健康に影響を与える可能性があります。
注意したいのは尿路結石症のリスク
ほうれん草などの食べ物からシュウ酸を過剰摂取すると、尿路結石症のリスクとなることが知られています。結石はシュウ酸とカルシウム、リンなどから作られるため、シュウ酸をたくさん摂ると結石が作られやすくなる可能性があります。
尿路結石症とは、腎臓から尿道までの尿が通る道(尿道)に結石が生じた状態です。結石が腎臓にある状態では痛みを感じませんが、尿管に流れ出た際に詰まってしまうと(尿管結石)、非常に激しい痛みを伴うことが知られています。尿管結石の痛みは、胆石や膵炎とあわせて「3大激痛」ともいわれており「のたうちまわるような痛み」と表現されることもあるほどです。
男性に多い病気であることが知られていますが、女性にも起こりうるため注意しましょう。
ほうれん草のシュウ酸の量は多い
ほうれん草に含まれるシュウ酸の量は、ほかの食べ物に比べると多くなっています。
▼野菜類100gあたりのシュウ酸含有量
・ほうれん草:0.7g
・さつまいも:0.1g
・里芋:0.1g
・オクラ:0.1g
ほうれん草のシュウ酸の量は、ほかの野菜の7倍ほど。3分間茹でると4~5割前後減らせるというデータがあるため、たっぷりの湯で茹でて、水にさらしてから調理することが大切です。ほうれん草を生で食べたり、茹でずに炒め物やスープに使ったりするのは、できるかぎり避けたほうがよいでしょう。
電子レンジで加熱してもシュウ酸は減る?
電子レンジでほうれん草を加熱した場合、シュウ酸が残ってしまうことがあります。その後、水にさらすことでシュウ酸を減らせますが、茹でたときと同じようには減らないことが知られています。
電子レンジで加熱する場合は、必ず水でさらすようにし、シュウ酸によるリスクを避けたい場合は、お湯で茹でるほうがよいといえるでしょう。
栄養豊富なほうれん草ですが、シュウ酸を減らすために、面倒でも「茹でる」のひと手間を加えることが大切です。茹でることでえぐみが抜け、おいしくなるというメリットもあります。ほうれん草は下茹でを行い、安全においしく食べるようにしましょう。
【参考文献】
・文部科学省,日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
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