ブラック企業をやめられない、体に悪い習慣をやめられない…自ら惨めな人生を選ぶ「心理的逆転」とは
あなたは幸せになりたいですか?おそらくほとんどの人がYESと答えると思います。しかし、人が幸せを願うのは分かるけれど、自分のことになると「自分に幸せは相応しくない」「自分は惨めな人生を送る気がする」と感じていませんか?なぜか損な選択をしてしまう。自ら不幸な方に進んでいる気がする。そんなあなたは心理的逆転しているかもしれません。今回は心理的逆転についてご紹介します。
心理的逆転とは?
心理的逆転とは、TFT(思考場療法)の創始者であるロジャー・キャラハンが提案した概念のことで、本来人間が持つはずの自然治癒力や幸福に生きるという欲求が何らからの理由で正反対の方向に働いてしまっている状態を指します。キャラハンが考案したTFT(思考場療法)とは、鍼のツボをタッピングすることで心理的問題を改善させていく心理療法のことです。キャラハンは、心理的逆転は誰にでも起きる状態であり、身体内のエネルギーの流れが妨害されている、あるいはその極性が逆転していることと関連があるといいます。そして、キャラハンは、心理的逆転があると、否定的な行動を取ったり、自分を非難したり、自己破壊的な行動を取ったりするといいます。また、自分は惨めな人生を歩み、幸せは相応しくないと確信していたり、自ら損な人生の選択をしたり、自分では「病気を治したい」「今のつらい状況から抜け出したい」と思っていても、無意識的に自分が良くなることに抵抗を示し、治療やカウンセリングがうまく進まないことがあります。
心理的逆転が関係しているのかも…
・対等な立場で何かを選ぶ場面。例えば、お土産を選ぶ、お弁当を選ぶ時、「私は残ったのでいいや」と最後に余り物を選んでしまい、なんだか惨めな気持ちになる。
・頭ではこうした方がいいと思っていても、何故か損な方、自分が辛くなる方の選択をしてしまう。
・「幸せになりたい」「楽しく過ごしたい」そんな当たり前の欲求でも自分には相応しくないと感じて諦めてしまう。
・やらない方がいいと分かりつつ、健康に良くない行動がやめられない
・この人と一緒にいたら幸せになれるかも…という相手といるとなんだか落ち着かなくなり、自分にとってマイナスの影響がある相手との対人関係を続けてしまう
・明らかにブラック企業なのに何故か仕事をやめることができない
なぜ心理的逆転が起こるの?
心理的逆転は新しい概念であり、医学的な用語ではありません。そのため、メンタルヘルスの専門家でも心理的逆転について知らない場合もあるでしょう。ホログラフィートークの創始者である嶺輝子先生によると、虐待や養育者との関係がうまく築けなかった場合、否定されながらの成長、トラウマティックな体験、ネガティブな信念の刷り込み、何かの理由により自分を罰している、恥辱感などが心理的逆転の原因になると述べています。ホログラフィートークとは、クライエント本人が感情や身体症状の意味を読み取り、解決し、自らを癒すプロセスをカウンセラーが援助するものとされています。主に、感情や身体症状を手がかりにイメージの中で過去に戻り、未解決の出来事を解決していきます。
心理的逆転を解消する方法
カウンセリングで心理的逆転をチェックし、実際に逆転している場合は解消することができます。そして、心理療法によって心理的逆転を解消する方法は異なります。例えば、TFT(思考場療法)では、タッピングや呼吸法によって心理的逆転を解消します。ホログラフィートークでは、イメージの中で過去に戻り、未解決の問題を解消することで心理的逆転を解消します。逆転しているからといって、そのまま解消できないわけではないのでご安心ください。もし心理的逆転が気になる場合は、TFTやホログラフィトークが受けられるカウンセリング機関を利用してみましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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