DVやモラハラを受けたときの相談窓口は?DVやモラハラのよくある誤解とともに解説
「ドメスティック・バイオレンス(DV)」や「モラルハラスメント(モラハラ)」という言葉は多くの人に知られるようになりました。しかし、どんな行為がDVやモラハラに該当するのかは十分に理解されていません。被害を受けていても「この程度はDVにならない」「自分が悪いからモラハラとは言えない」と思ってしまう方もいます。そこで今回は、DVやモラハラの内容と相談窓口をご紹介します。
DV・モラハラとは?
「ドメスティック・バイオレンス(DV)」は、配偶者や恋人など親しい関係にある、あるいはあった人からの暴力全般を指します。恋人関係の場合は「デートDV」とも呼ばれます。
一方、「モラルハラスメント(モラハラ)」は、DVを構成する「精神的暴力」とほぼ同じものといえます。モラハラは配偶者や恋人以外の関係性の人に向けられることもあります。
DV・モラハラとは具体的にどんな行為なのか、さらに詳しく見ていきましょう。
身体的暴力
DVと聞いて、まずイメージされるのが「身体的暴力」ではないでしょうか。身体的暴力とはその名の通り、身体に直接ダメージを与える暴力のこと。
例えば、
・殴る
・蹴る
・物を投げつける
・刃物をつきつける
・髪を引っ張る
・熱湯をかける
などが該当します。
精神的暴力(モラハラ)
身体的暴力以外にもDVに該当する行為があります。そのひとつが「精神的暴力」です。道徳や倫理に反した態度をとることで、相手に精神的なダメージを与えます。「モラハラ」とも呼ばれます。
例えば、
・大声で怒鳴る
・無視をする
・人前でバカにする
・壁を殴ったり、物を蹴ったりして脅す
・大切にしているものを壊す/捨てる
・実家や友人との関係を制限する
・電話やメールを監視する
・生活費を渡さない
・外で働くことを禁じる
などが該当します。
性的暴力
嫌がる相手に性的な行為を強要する「性的暴力」もDVに含まれます。夫婦や恋人であっても、嫌がっている相手に性的な行為を強要することは立派な暴力です。
具体的には、
・嫌がっているのに性的な行為を強要する
・性的な動画や画像を見せる
・避妊に協力しない
・中絶を強要する
などが該当します。
DV・モラハラの相談窓口は?
ここからはDVやモラハラの相談窓口を4つご紹介します。
DV相談ナビ
「どこに相談すればいいの?」と迷ったら、まずは「DV相談ナビ」を利用しましょう。「#8008」に電話すれば、最寄りの相談窓口に自動転送される仕組みになっています。
DV相談プラス
「DV相談プラス」は、24時間対応のDV相談窓口です。電話・メールでいつでも対応してくれます。チャットは12〜22時なら受け付けています。
・電話:0120-279-889
・メールやチャットはDV相談プラスのサイトから
配偶者暴力相談支援センター
「配偶者暴力相談支援センター」は、配偶者からの暴力の防止や被害者の保護を目的に設置された相談窓口です。自治体にもよりますが、電話や面談での相談が可能です。
警察
「警察は民事不介入だからDVやモラハラには対応してくれない」と思われがちですが、DVに関しては「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」が制定されており、警察も対応することが定められています。
警察相談ダイヤル「#9110」に電話すれば、総合窓口につながるため、「DVの相談で連絡しました」と伝えれば、DVの相談窓口につなげてくれます。
また、殴られたり蹴られたりと暴力を受けているときには、ためらわず「#110」に通報しましょう。
DVやモラハラのよくある誤解
DVやモラハラの被害に遭っている方によくある誤解を解説します。
私が悪いから仕方ない
DVやモラハラの被害を受け続けていると、加害者からの「お前が悪い」と責める言葉や態度が真実のように感じます。「自分が悪いから仕方ない」「こんなダメな自分と一緒にいてくれるのはこの人しかいない」と思えて、加害者から離れられなくなることもあります。
しかし、もし本当に自分に悪いところがあっても、暴力以外でアプローチすることは可能です。暴力という手段を選んでいるのは加害者の選択であり責任です。
暴力のあとに反省しているから大丈夫
DVやモラハラの加害者の中には暴力を振るったあと反省し、非常に優しくなる人も少なくありません。その姿を見ると「本当は優しい人なんだ」「私も悪いところがあったから」と感じ、つい許したくなります。
しかし、優しさはあくまで一時的なもの。少しずつストレスが溜まってきた加害者は、ちょっとしたきっかけで爆発して、再び暴力を振るいます。
おわりに
DVやモラハラは受け続けるほど、加害者から離れるために必要な心や身体のエネルギー、経済力、人間関係などを失ってしまいます。
「もしかしてDVを受けているのでは?」「これってモラハラかな?」と気づいたなら、できるだけ早く誰かに相談しましょう。
参考資料
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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