命を落とす危険もある熱中症は、まだまだ注意が必要!熱中症対策になる食べ物を管理栄養士が紹介
暑さのピークを過ぎたとはいえ、熱中症のリスクが高い日はしばらく続きます。熱中症予防には、こまめな水分や塩分の補給が有効です。さらに、熱中症予防に有効な食べ物を日常の食事へ取り入れれば、夏を元気に乗り切れるでしょう。この記事では、管理栄養士が熱中症の原因を解説しつつ、熱中症対策におすすめの食べ物を紹介します。
熱中症の症状と原因
熱中症は、夏の暑い日に起こりやすいイメージがありませんか?しかし実際は、気温があまり高くなくても、湿度が高い日や風が弱い日には熱中症のリスクが高まります。とくに寝不足や疲労で体調が悪い人、高齢者、子どもは熱中症にかかりやすいため注意が必要です。
私たちの体には、体温を一定に保つように調整する機能が備わっています。体温が上がると、汗をかいたり熱を体の外に逃がしたりして、体温を下げる仕組みがはたらきます。
しかし気温や湿度があまりにも高いと、体温がなかなか下がりません。体調が悪くて体温調整機能がうまくはたらかない、水分不足で十分な汗をかけない、といった場合も体に熱がこもってしまいます。その結果、体温が上昇して熱中症になるのです。
熱中症になるとめまいや痛みをともなうけいれん、吐き気、頭痛といった症状が現れます。さらにひどくなると40度以上の高熱、意識障害、運動障害が起こり、命を落とす危険もあります。
熱中症予防に摂りたい栄養素
熱中症を予防するポイントは、水分・ミネラル・エネルギーを補給することです。
水分が不足すると汗がかけなくなり、体温が上昇します。体温が高くなると、脳や内臓は機能を維持できなくなります。さらに水分不足から血液量が減少して、脳や筋肉、内臓に十分な血液が行き届かなくなるため、水分不足は体の機能障害につながるのです。
汗には、水分以外にもナトリウム・カリウム・カルシウム・鉄などのミネラルが含まれています。ミネラルは筋肉の収縮や弛緩、神経伝達など、体のさまざまな機能に関わる大事な栄養素。大量に汗をかいてミネラルが失われると、体が正常に機能しなくなってしまいます。
エネルギーが不足していると、体調を崩して熱中症にかかりやすくなります。エネルギーの源になる糖質を摂り、同時に糖質をエネルギーに変えるはたらきをサポートするビタミンB1を摂取することが大切です。
和献立を食べて熱中症対策!
熱中症予防におすすめの食事は、ご飯・納豆・ぬか漬け・味噌汁の和献立です。
ぬか漬けと納豆にはビタミンB1が豊富に含まれるため、ご飯の糖質を効率よくエネルギーに変換できます。さらにぬか漬けからはナトリウム、納豆からはカルシウムや鉄などのミネラルも摂取できます。水分は、水やお茶を飲んで補給することも大切ですが、食べ物からの摂取も有効です。味噌汁を飲むと、水分とナトリウムを摂取できます。
上記の和献立に、豚肉を使った料理をプラスするのもおすすめです。豚肉に豊富なビタミンB1は、エネルギー不足の解消に役立つでしょう。さらに豚肉には、筋肉のもとになるたんぱく質が含まれています。筋肉量が減ると体力が低下して疲れやすくなり、熱中症にかかりやすくなります。たんぱく質を摂取して、筋肉量を維持しましょう。
フルーツも熱中症予防に有効な食べ物です。キウイやメロンなどのフルーツには水分だけではなく、カリウムや糖質も豊富に含まれています。夏に旬を迎えるスイカやモモといったフルーツも、水分や糖質が多くておすすめです。冷えた甘いフルーツは夏場でも食べやすいので、熱中症予防に活用してください。
アイスクリームやシャーベットなどの食品も冷たくて食べやすく、エネルギー補給になると思うかもしれません。たしかに糖質や脂質は豊富ですが、ビタミン類がほとんど含まれないため、エネルギーに使われることなく体に蓄えられて肥満の原因になります。やはり、先ほど紹介したような食事やフルーツから栄養を補うことをおすすめします。
普段の食事から熱中症対策になる食べ物を取り入れて体調を整え、夏を乗り越えましょう。
【参考文献】
第一三共ヘルスケア株式会社 くすりと健康の情報局「熱中症の症状・原因」
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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