医師がすすめる【熱中症対策】熱中症の基礎知識と家庭でできる2つの予防法

 医師がすすめる【熱中症対策】熱中症の基礎知識と家庭でできる2つの予防法
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正しい食生活からの水分補給が重要だという熱中症予防。今回は、家庭での予防法を、神奈川県済生会横浜市東部病院の谷口英喜先生に教えていただきました。

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熱中症の基礎知識を知ろう!

熱中症とは、「暑さ(高温)、蒸し暑さ(多湿)が原因で起こる体調不良」。食中毒=食あたりと言いますが、熱中症=暑さ(熱)あたり、なんですよね。まず熱中症になる最初の原因は“暑さ”。そして、その暑さによって汗をたくさんかく。大汗での水分不足からの“脱水症”。これが熱中症の初期症状です。このあとに、体温コントロールができなくなって“高体温症”を引き起こすわけですが、体温が高くなって倒れてしまうのでは、もう遅い。一般的によく報道される軽度の熱中症は、脱水症状のレベルを指しています。

熱中症で影響を受ける臓器は、脳と消化器、筋肉の3つ。これは全て水分が非常に必要な臓器です。脳=めまいや立ちくらみなど、消化器=食欲低下や嘔吐など、筋肉=筋肉痛やこむら返りなど、3つの臓器の異常が同時に出現するのが熱中症ですが、いくら医療技術が進歩していても高体温症になる前に処置をしないともとには戻せません。熱中症の初期症状である脱水症状にならないために、水分を摂る。それが一番の予防につながります。

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暑さ・蒸し暑さ&脱水症にならないように予防する

【予防1:暑い、蒸し暑いから逃げる】

熱中症や熱さ指数、WBGTを見て行動することをおすすめします。熱中症指数は、気温と湿度、輻射熱という3つの要素から成り立っていますが、一番大きく関係するのは湿度。蒸し暑さへの対策がより重要に。

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【予防2:食事からも水分補給する】

水分補給のためにたくさんドリンクを飲む方もいますが、実は体に入る水分の半分は食べものに含まれる水分です。食事からいかに水分を摂るのか。それが熱中症対策のポイントになります。

まずは正しい食生活。朝食1食抜くだけで大体1500ml。ペットボトル1本分の水分を摂らないことになりますから、3食きっちり摂ることが大切です。そして、こまめな水分補給。理想的な水分補給は、コップ1杯の水を1日8回、目安に飲むことですが、水分が多く含まれる野菜や果物など、水分補給の一部として積極的に摂ることをおすすめします。

なかでも、栄養素が豊富キウイは熱中症対策にぴったりのフルーツ。カリウム、マグネシウム、鉄などナトリウム以外のミネラルに加え、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、ビタミンB6、そして食物繊維。これだけ多くの重要な栄養素を含んでいる食品はそう多くありません。例えば15時のおやつタイムや就寝前などは、キウイも水分補給の選択肢の一つにしてみるてはいかがでしょうか。就寝前は、トイレが近くなることが気になる人も多いでしょう。キウイは低GIで水分吸収が緩やかなので、その点でも安心です。

そのほか食事では、夏野菜のトマトやピーマン、果物ならイチゴ、スイカ、バナナなどもおすすめです。熱中症予防には、暑熱環境への順応性を促進するビタミンC、疲労物質の除去や代謝を促進するビタミンB群が効果的です。

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教えてくれたのは…谷口英喜 先生

神奈川県済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長。1991年に福島県立医科大学医学部を卒業。神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授を経て、済生会横浜市東部病院患者支援センター長兼栄養部部長に就任。神奈川県立がんセンター麻酔科にて非常勤医師も勤める。著書に『すぐに役立つ 経口補水療法ハンドブック』『イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本』(ともに日本医療企画)、『いのちを守る水分補給 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』(評言社など)

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取材・文/吉田光枝

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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