梨状筋をストレッチして腰痛を予防する3つのヨガポーズ
梨状筋が硬いと腰痛が起こる理由
梨状筋は、帯状の結合組織もしくは筋膜によって結合されており、尾骨の真上にある仙骨へとのびている。イメージとして理解するために、まず脚の骨を二本の木だと想像してほしい。梨状筋は、その二本の木の間にぶら下がる筋膜ハンモックに、左右から扇形に広がって絡み合うロープの束のようなものだ。仙骨はそのハンモックに揺られながら、二本の木が傾いたり動いたりするたびに位置を調整する。この筋膜ハンモックがあるから、梨状筋は仙腸関節の動きと安定性を調整できるのだ(下のイラストを参照)。
とはいえ、この仙腸関節はひじょうに調整が難しい。仙腸関節は、歩いたり走ったりする際に、骨盤から脚を動かせるように緩んでいなくてはいけないが、それと同時に、仙骨の上に背骨をとどまらせるために安定もしていなくてはならない。梨状筋は仙骨を安定させながらも、必要に応じて自由にさせる必要があるのだ。
足を一歩踏み出すと、力の衝撃波が脚から腰に伝わり、仙腸関節はその衝撃に対して骨盤を引き締める。梨状筋は脚に体重がのっているときは、より強く仙腸関節を引き締めて、仙腸関節の靭帯をサポートする。だが、体重がかかとから離れるやいなや、今度は骨盤を緩めて脚を揺れ動かすようにしなければならない。それは見事に調和した抱擁と解放のダンスのようなものだ。うまく連携のとれた左右の梨状筋は、骨盤に安定感と軽さを与え、活き活きとした歩みをもたらす。
だが、その繊細なバランスが崩れて、梨状筋が硬くなりすぎたり緩みすぎたりすると、仙腸関節の痛みなどの問題が起きる。梨状筋が硬くなると、梨状筋ともう一つの外旋筋の双子筋にはさまれた大きくて長い神経である坐骨神経が圧迫されて、臀部、ハムストリング、ふくらはぎ、かかと、さらにはつま先に至るまで痛みを引き起こす。この類の痛みは、慢性的な緊張によって起こるので、梨状筋をストレッチして緊張をほぐすようなアーサナが一般的な治療となる。また、習慣的に梨状筋のハンモックによりかかって、そのロープが緊張してはりつめたままにならないように、アーサナによって骨盤の位置を再調整する術を学ぶこともできる。
さらに、梨状筋は、仙骨を支えるためにある程度の硬さもないと、その役割を果たすことができない。生まれつき、あるいは長年の極端なストレッチによって仙骨の靭帯が過可動になっている場合、梨状筋が仙腸関節を安定させるのはより困難となる。
自分の仙骨の靭帯が過可動であるかどうかは、ポーズを観察すれば判断できる。骨盤がつねに、そして過度に前傾し、腰に深いくぼみができている場合、仙骨は、仙腸関節を引き締めて安定させる梨状筋のハンモックの支えなしで傾いている状態にある。つまり、ハンモックがいつも片方向に傾いていて、今にもひっくり返りそうにぐらついているようなものだ。それはひじょうに不安定な状態であり、この種の不安定性は腰に刺すような痛みを引き起こすことがある。
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