イヤホン着用で耳が蒸れる?耳の蒸れが引き起こすトラブルと気をつけたいNG行動と予防策|医師が解説

 イヤホン着用で耳が蒸れる?耳の蒸れが引き起こすトラブルと気をつけたいNG行動と予防策|医師が解説
耳のイヤホン蒸れ対策
林ゆり
林ゆり
2023-08-09

ヨガやメディテーション、ジョギングなど、お気に入りの音楽を聴きながら体を動かすと、より心地いい気がします。ただ、音楽を聴くときにイヤホンを長時間着用することで、耳に思いがけないトラブルが起こる可能性があるのだとか。「NTTソノリティ」が開催した『耳の“イヤホン蒸れ”対策セミナー』で、どんなトラブルが起きるのか、また、どのような予防方法があるのかをうかがいました。

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イヤホン着用の長時間化でトラブルが増加

大場先生
医療法人社団慶友 慶友銀座クリニック 理事長・院長 医学博士 大場俊彦先生。

音楽を楽しむだけでなく、リモートワークやオンライン授業などの増加で、イヤホンやヘッドホンで耳がふさがれている時間が長くなっています。これにより、なんとコロナ禍以前より約3倍外耳トラブルが増加していると、慶友銀座クリニック理事長・院長で医学博士の大場俊彦先生は話します。外耳に違和感があり来院する患者さんの約7割が外耳炎、残りの3割が難聴だということです。

「症状としては、外耳湿疹から外耳炎になる間くらいで受診する人が多いです」(大場先生)

外耳湿疹とは、外耳にかゆみが起こる湿疹のこと。さらに悪化すると炎症を起こし、外耳炎になり出血することも。そこからさらに悪化すると、外耳道真菌症になり、完治するのに約3週間もかかる場合もあるのだとか。

外耳とは、鼓膜の外側のいわゆる耳かきが触れる部分です。そこに、細菌や真菌が広がることで、炎症だけでなく、音がこもるなどの症状が出るのが外耳炎です。耳かきなどの物理的な刺激でも発症することがあり、自分では目視できないだけに気をつけたい部分です。

「耳の中に菌はもともと存在しますが、悪さはしません。ただ、耳の穴をイヤホンなどでふさぐことで、高温多湿の細菌が好む環境になって発症するケースは多いです」(大場先生)

外耳をふさぐイヤホン
密着型のイヤホンは外耳道をふさいでいることがわかります。

イヤホンをあまり使うことがなかった40~50年前から夏には外耳炎での外来患者が多かったそうなので、猛暑日が続き、湿度も高いこれからの季節、より外耳炎に注意しなければいけませんね。

気をつけたいNG行動と対策方法

大場俊彦先生
耳の構造について説明してくれた大場先生。

イヤホンで長時間、耳穴をふさいでしまうのがNGであることはわかりましたが、他にもうっかりやってしまう、もしくは習慣化している人もいるNG行動を教えていただきました。

「日本人は、耳そうじをしすぎです。耳垢は、ベルトコンベアのように出てくる構造になっていますから、月に1回から2回くらいで十分です」(大場先生)

耳かきをすることが癖になっている場合は、特に気をつけたいですね。また、お風呂上りに綿棒を入れるのもNGです。どうしても気になる場合は、きれいなティッシュで耳介を軽く拭く程度にしましょう。

耳をきれいに保つことが大切なため、イヤホンを着用する場合、イヤホン本体も清潔に保つことが大切です。また、自分専用のものを使用し、貸し借りはNG。人には、それぞれ菌が存在し、借りたイヤホンの菌が混ざることで、より菌が繁殖しやすくなるといいます。イヤホンは、自分専用で、左右も交換せずに使用するのが正解です。また、メイクをしている場合、化粧品が気づかないうちにイヤホンについていることがあるため、使用後は、きれいな布や綿棒で汚れを取り除きましょう。この掃除のときにやってはいけないのが、イヤホンに向かって息を吹きかけることです。イヤホンの中には、スピーカーが入っていて、息を吹きかけると外からの圧力で変形しやすく、一度変形すると元には戻りません。各メーカー推奨の掃除の仕方で清潔に保ちましょう。

オープンイヤータイプのイヤホンを選ぶという選択肢も

オープンイヤー型イヤホン
外耳道をふさがないオープンイヤー型イヤホンを装着。

外耳トラブルを引き起こさないためには、外耳が高温多湿になることを避けることが重要ですが、イヤホンの構造上、どうしても密閉してしまいます。密閉型のイヤホンをなるべく使用しないのがおすすめですが、イヤホンが必要な場合もありますよね。そんなときは、オープンイヤー型など、耳をふさがないタイプのイヤホンを使用し、外耳道を解放しておくことが望ましいとのこと。

ヌーム
nwm (左)ワイヤレスパーソナルスピーカー 24,200円/(右)有線パーソナルイヤースピーカー 8,250円(消費税込)

セミナー後に、オープンイヤー型のイヤホン「nwm(ヌーム)」を体験してきましたが、耳に掛けるだけで耳穴をふさがないにも関わらず、音楽をしっかり聴くことができました。しかも、オープンイヤーのため、周囲の声や音も聞こえるというメリットも。

外耳のトラブルになってしまうと、イヤホン自体を使用することができなくなるため、トラブル前の今、選択肢のひとつとして取り入れるのもいいですね。

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林ゆり

林ゆり

ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。 関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育つ。LOHASを実践しながら、ファッション、コスメ、食べ物など、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてライフスタイルマガジンやブログで発信中。



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