鎮痛剤が効かないときの正しい対処法|別の鎮痛剤を飲んでもいい?薬剤師が解説

 鎮痛剤が効かないときの正しい対処法|別の鎮痛剤を飲んでもいい?薬剤師が解説
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頭痛や生理痛のとき、市販の鎮痛剤を利用する方は多いでしょう。鎮痛剤で痛みが収まれば良いのですが、鎮痛剤を飲んでも効果がなかった場合、別の鎮痛剤を飲んでもいいのか、鎮痛剤を立て続けに飲んでも大丈夫なのか、など気がかりになることもあると思います。この記事では、鎮痛剤が効かない場合の原因や対処法について詳しく解説します。

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鎮痛剤が効かない場合の対処法

市販の鎮痛剤は効果や効果が出るタイミングに多少の差はあるものの、一般的にいう頭痛や生理痛であれば、服用後30分~1時間程度で痛みは和らぐはずです。しかし、鎮痛剤を服用しても痛みが収まらない場合、痛みの原因が別の病気による場合があります。

頭痛の場合

頭痛には慢性的に起こる片頭痛や緊張型頭痛といった一時性頭痛と、脳や神経の異常による二次性頭痛があります。一時性頭痛は痛みの症状はあるものの、日常生活に支障をきたすほどではなく、鎮痛剤を服用すれば痛みは軽減します。

一方、二次性頭痛は、脳梗塞や脳出血、髄膜炎、慢性硬膜下血腫などが原因で、頭全体が強く痛む、数時間のうちに痛みが強くなる、突然金づちで殴られたような激しい痛みが起こるなど、今までに経験したことのない痛みが起こることがあります。

鎮痛剤が効かない場合、頭痛の原因がそれほど心配のない一時性頭痛ではなく、命の危険を伴うこともある二次性頭痛やその前兆の可能性も考えられるため、自己判断で薬の量を増やしたり、回数を多くしたりして飲んではいけません。

そのため、鎮痛薬を飲んでも痛みが収まらない場合は、服用を中止して医師や薬剤師、登録販売者などに必ず相談してください。

また、市販薬には必ず添付文書(説明書)がついていますので、そこに書かれた用法・用量を守って使用することが大事です。そもそも薬の使い方が間違っていれば、効き目が出なかったり、思わぬ副作用が生じたりする恐れもあります。

鎮痛剤を立て続けに飲んではいけない

鎮痛剤
鎮痛剤は長期連用してはいけない。photo by Adobe Stock

鎮痛剤は、長期連用してはいけないことになっています。製品によっても異なりますが、一般的には連続して3~5日以上、服用してはいけません。その理由は、鎮痛剤を連用すると「薬物乱用頭痛」という症状が生じることがあるからです。

薬物乱用頭痛とは、もともと慢性頭痛を持つ人が、鎮痛剤を長期的に使用することで頭痛の頻度や症状が悪化することをいいます。

薬物乱用頭痛の診断基準は、月に15日以上鎮痛薬を服用している場合となっていますが、実際には月に10日以上服用している人は、薬物乱用頭痛によって鎮痛剤が効かなくなることがあります。どんなに優れた鎮痛剤であっても、長期連用すると薬の効き目が悪くなる場合があるので注意が必要です。

生理痛の場合

生理痛は、痛みの強さに差こそあれ、多くの女性が悩まされていると思います。クセになるからといった理由で鎮痛剤の服用を我慢する方もいますが、ひと月のうち2~3日であれば、用法・用量を守って服用する分には心配ありません。

「生理が始まって半日経つと痛みが強くなる」、「生理の2日目に強い痛みが起こる」など自分の生理痛の痛みが起こるパターンに合わせ、月経が始まったら早めに鎮痛剤を服用すると少ない量で痛みを抑えられます。

また、生理痛がひどく日常生活に支障をきたすような場合を月経困難症といいます。月経困難症には、子宮や卵巣に異常がない機能性月経困難症と子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因で起こる器質性月経困難症の2つがあります。

生理痛に鎮痛剤が効かない場合、月経困難症の疑いもあるため、鎮痛剤の使用を中止し、医師や薬剤師などに相談してください。とくに器質性月経困難症が疑われる場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。

頭痛のときと同様に、鎮痛剤が効かないからといって自分勝手に薬の量や回数を増やしたり、ほかの鎮痛剤を併用したりしてはいけません。痛みの原因となる病気の発見が遅れたり、何らかの副作用が生じたりすることがあるからです。

鎮痛剤を変えても良い場合

医師や薬剤師に相談して、頭痛や生理痛の原因が別の病気によるものではなく、正しい使用法を守っている場合は、一定の期間を空けて別の鎮痛剤に変え、服用を始めても問題はないでしょう。

市販の鎮痛剤は、成分の種類や組み合わせによって効き目が異なる場合もあります。また、鎮痛剤の場合、「この鎮痛剤は効く!」と思って服用したほうが、半信半疑で服用するよりも効果が高く発揮される場合があります。これをプラセボ効果といい、一種の自己暗示のようなものです。

自分に合った鎮痛剤を見つけるという意味でも、効き目を実感できる鎮痛剤を選んで服用したほうが、より確かな効果を得られるといえるでしょう。

まとめ

鎮痛剤を服用しても頭痛や生理痛が収まらない場合、別の病気が原因の疑いもあります。自己判断で量や回数を増やしたり、ほかの鎮痛剤を併用したりすると病気の発見が遅れたり、思わぬ副作用が起きたりする恐れもあるため、使用を中止して医師や薬剤師などに相談してください。

また、人と人とに相性があるように、人と薬にも相性のようなものがあります。市販の鎮痛剤を購入するときには、薬剤師などに相談して自分の症状に合う鎮痛剤を選び、副作用や服用時の注意事項などの説明をしっかり受け、正しく使用することが大切です。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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