「薬を飲んだ後に吐いてしまった…」薬は飲み直すべき?それとも飲み直さない方がいい?薬剤師が解説
薬を飲んだのに、吐いてしまった…そんなことはありませんか?
薬を飲んだのに、吐いてしまった…そんなことはありませんか?
「せっかく薬を飲んだのに効果が出ないかも…」
「もう一度飲んだら飲みすぎになっちゃう?」
など、不安になりますよね。
この記事では薬の吸収について、薬を吐いてしまったときの対処法について解説します。
薬が吸収されるまでには時間がかかる?
まず、薬の吸収について説明します。
一般的に、薬を飲んでから効果を発揮するまでに約15~30分かかるといわれています。
「えっ!そんなにかかるの?」と思う方もいるかもしれませんね。
薬を飲むと胃に入り、腸に移動して腸の粘膜から吸収されます。その後、肝臓を通って血液に乗って効かせたい部位まで移動します。この過程に通常15~30分かかるのです。[i]
口腔内崩壊錠といって水なしで飲める薬もありますが、これは唾液で溶かして飲める薬です。
口の粘膜から吸収されるわけではなく、唾液や水で飲みこんでから腸に移動する必要があるため、吸収には15~30分かかります。
口腔内崩壊錠は吐き気で水分が摂れない方、寝たきりで起き上がって水を飲むのが大変な方、病気で水分摂取量に制限がある方などでも服用しやすいというメリットがあります。
ちなみに、坐薬は腸の粘膜から直接吸収されるため、飲み薬よりも効果が速く出ます。
吐き気が強く、薬を口から飲むのが難しい場合に坐薬が処方されることがありますが、坐薬には飲み薬よりも吸収が速いというメリットもあります。
たとえば、ぎっくり腰になって痛くて動けないときには起き上がって水で薬を飲むことは大変ですし、「一刻も早く痛みを楽にしてあげたい」という観点から即効性を期待して坐薬を処方する医師もいます。
薬を吐いてしまった時はどうしたらいい?
「薬を飲んだけど吐いてしまった…」そんなときはどうしたらよいのでしょうか。
これまで説明してきたことを踏まえると、薬を飲んで吐いてしまうまでに30分経っていたかどうかがひとつの目安です。
30分以内に吐いてしまった場合
薬が体に吸収される前に体の外に出てしまったと考えられるため、1回分の飲み直しを検討します。このとき、すぐに飲むのではなく、吐き気が落ち着くまで待つことも大切です。
30分以上経過している場合
薬が体の中に吸収されていると考えられるため、次のタイミングを待つようにしましょう。
このように指示することが一般的ですが、病状や薬の内容によっても対応が変わることもあるため注意が必要です。
いつ飲んだか分からない場合や、飲み直していいのか不安な場合は、処方元の医師や調剤した薬局の薬剤師に問い合わせてください。
市販薬やどこで調剤された薬か分からない場合、PMDA(医薬品医療機器総合機構)では薬に関する電話相談を受け付けています。
また、薬で困った時に相談できる「かかりつけ薬剤師」を決めておくと、このような相談にも個別に対応してもらえるので安心です。
まとめ
この記事では薬の吸収、吐いてしまった場合に飲み直すかどうかの判断基準について解説しました。
一般的に、薬を飲んでから吐いてしまった場合は30分経過したかどうかがポイントです。
また、いつもと違う症状や、強く激しい症状が出ている場合は医療機関を受診するようにしましょう。
参考:日本製薬工業協会『くすりの情報Q&A55』
AUTHOR
桜井あかね
調剤薬局で働く薬剤師。大手調剤薬局で管理薬剤師として勤務した経験を活かし、スキルアップのために中小調剤薬局に転職。 転職後は処方箋調剤のみならず在宅医療、漢方相談、市販薬を用いたセルフケア支援など、薬剤師として幅広く活躍。 薬剤師ライターとして知識と経験を活かして専門的かつ分かりやすい医療情報を提供している。
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