LIFESTYLE
「鎮痛剤を飲みすぎると効かなくなる」…本当?嘘?薬剤師が解説する、鎮痛剤との正しい付き合い方
「痛み止めは飲みすぎたら効かなくなる」「なるべく我慢した方がよい」そんな風に聞いたことがあるという方、けっこう多いのではないでしょうか。 とはいえ、痛みを我慢して過ごすのはつらいものですよね。実際、鎮痛薬の飲みすぎは悪影響なのでしょうか?ここでは、鎮痛薬を使う際の注意点について解説します。
広告
基本的に痛みは我慢NG
じつは、痛みは我慢してはいけません!とくに、慢性的な痛みを我慢することで、かえって痛み閾値(しきいち)が下がり、過敏になってしまうことがわかっています。 我慢をすればするほどすぐに痛みを感じるようになる、ということです。 慢性的に痛みの出る病気としては、リウマチなどの膠原病疾患、ヘルニア、ケガの後遺症などさまざまあります。「いつものことだから」「薬に頼りたくないから」と我慢を重ねていると、痛みが悪化してしまうかもしれません。 鎮痛剤を飲みすぎて効かなくなる、ということはありませんので、痛いときには鎮痛剤を使うようにしてくださいね。鎮痛剤は使用方法を守って
我慢しなくてよいとはいえ、鎮痛剤の使い方は守らなくてはなりません。 1回量や1日量は、安全に服用できる量が設定されています。痛みが強いからと2倍の量を飲んだり、1日3回までの薬を4回飲んだりすると、副作用が出てしまう可能性が高いです。 鎮痛剤の飲みすぎは、腎臓や肝臓に負担がかかります。臓器にダメージが出ると、入院が必要になるなど、想像よりも重大な結果になってしまうことが少なくありません。 ただし、医師の指示を守り、定期的に血液検査などをしながら鎮痛剤を使用する分には、過剰な心配をしなくてもよいでしょう。痛み止めの効果が十分でないときには、自己判断で薬を多く飲んだり市販薬を併用したりせず、医師に伝えてくださいね。頭痛の場合は要注意!
頭痛に鎮痛剤を使っている方は、使用回数をよくチェックしてください。 「薬剤誘発性頭痛」といって、鎮痛剤を飲みすぎることによって、さらに頭痛が生じるという悪循環に陥っているかもしれません。 薬剤誘発性頭痛は、鎮痛剤の種類は無関係です。処方薬でも市販薬でも、どんな種類の鎮痛剤であっても、目安として月に10回以上、頭痛で鎮痛剤を使っている方は、早いうちに病院を受診しましょう。 頭痛の酷い方は、日常生活に支障が出てつらい思いをしていますよね。そのため、痛くなったときに過量に使用するだけでなく、「頭が痛くなったら嫌だ」という不安から予防的に鎮痛剤を使用するようになるなど、エスカレートしがちです。 今、頭痛の治療は選択肢がたくさん増えています。忙しいかもしれませんが、少し時間をとって、頭痛外来などの専門的な医療機関を受診してみましょう。まとめ
今回は、「鎮痛薬を飲みすぎると効かなくなる」という噂について、実際にはそうではないということをお伝えしました。痛みを我慢してもよいことはないので、痛いと思ったら鎮痛剤を使うようにしてください。 ただし、頭痛の場合は、鎮痛剤の使いすぎによって「薬剤誘発性頭痛」が起こることがあります。頭痛で月に10回以上鎮痛剤を使っている方は、医療機関を受診しましょう。広告
AUTHOR
中山アユム
病院に勤務する薬剤師。感染症・緩和ケアを得意とする。大学病院や市立病院などの総合病院で勤務してきた経験を活かし、薬剤師として働くかたわら、医療ライターとしても活動している。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く