人に言えない女性器の悩み…「婦人科形成」手術のメリット・デメリット、需要の変化を医師が解説

 人に言えない女性器の悩み…「婦人科形成」手術のメリット・デメリット、需要の変化を医師が解説
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なかなか人に言いづらい【女性器】にまつわるお悩み。気になる小陰唇の肥大、黒ずみ、痛みの原因とは? また近年、VIO脱毛とともに、需要が高まっているという「婦人科(女性器)形成」について、手術の流れ、メリット・デメリットなどを医学博士・形成外科専門医の鈴木知佳医師に教えてもらいました。

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Q.婦人科形成、の施術にはどんな種類があるの?

小陰唇縮小術・形成術、大陰唇縮小術・形成術、会陰形成術、腟形成術、副皮切除術、処女膜切開術・形成術、腟内や大陰唇へヒアルロン酸注入などが挙げられます。

Q.小陰唇縮小は、小陰唇にどんな不満を感じている人におすすめですか?

女性器の悩みで小陰唇は最も相談の多い部位です。主に以下のような相談が挙げられます。

「形状での悩み」…… 小陰唇の大きさや左右が非対称など
「臭いに関する悩み」…… 皮膚の肥大により垢や汚れがたまりやすくなり、臭いが気になる
「痛みの悩み」……  性行為時にはみ出たアンダーリップが巻き込まれて痛い/自転車に乗ったときにすれて不快感がある、下着とこすれて痛い
「色の悩み」…… 摩擦による黒ずみ
「排尿時の悩み」…… 尿が小陰唇に引っ掛かり飛び散る、排尿のし辛さから日常生活に支障
「パートナーからの指摘」…… 他人からの指摘により気になるようになった

小陰唇
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Q.小陰唇が大きいのかセルフチェックできる方法はありますか?

立位で股を閉じた状態ではみ出ている皮膚があれば小陰唇がある程度大きいといえます。ご自身でも鏡の前、お風呂場などでチェックできると思います。

鏡
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Q.小陰唇が大きいと、どんなデメリットがありますか?

日常生活において大いにデメリットがあるということはありません。しかし上述のように外見上であれば摩擦による黒ずみ、下着など履いた時や自転車に乗った時の不快感や違和感、性交時痛があります。衛生面では小陰唇が大きいと垢がたまりやすい環境になるため、感染など引き起こす可能性もあります。パートナーに指摘を受けて悩まれる場合もありますが、最終的には“自分自身がどうありたいか”が大切です。

Q.肥大にはどのような原因がありますか?

小陰唇肥大の原因は生まれつきによるものがほとんどです。もともと肥大している場合は「先天性」であったり、年齢と共に肥大する場合は「ホルモンバランス」によります。小陰唇の大きさは変わらず大陰唇が年齢と共に縮小することでバランス的に小陰唇が大きく見えてしまう場合もあります。

Q.縮小手術はどのような流れで行われますか?

小陰唇の肥大を治療するとなるとレーザーなどで縮小することはできないので、粘膜側が少し隠れる程度の皮膚を残して余分な部分を切除する外科的な手術が第一選択肢となります。「手術」となると怖いと思われる方が多いですが、大がかりな手術ではなく20分程で終わる治療です。

一連の流れとして、まずは手術の際に邪魔になる部分の剃毛を行います。お悩みの部分が取り除かれるように切除ラインを正確にデザインしていきますが、人間は左右非対称で生まれてくるので、あまりに整いすぎていると逆に違和感が生まれます。ですので、違和感のない自然なデザインにしていきます。デザイン後は、局所麻酔をしてメスで大きさや形を整え、縫合して、終了です。

痛みの感じ方に個人差はありますが、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。

Q.術中、術後の痛みはありますか?ダウンタイムはどれくらい必要ですか?

術中は局所麻酔をする時の痛みが一番つらいかと思います。傷が落ち着くまでは1週間程度要します。術後に痛みが続くということはほぼありませんが、排尿時などにしみる感じや違和感はあります。また、ピリピリするような違和感は1カ月程度続きます。色調がなじむのには3~6ヶ月、激しい運動や性行為は1カ月後から可能となります。

Q.患者さんは、どれくらいの年代の方が多いですか?

幅広い年代の方が相談にいらっしゃいます。出産後に小陰唇の肥大を感じるようになった、年齢を増すごとに皮膚のたるみと共に小陰唇肥大でなやむようになった、という声もあれば、20代で鏡を見てはみ出ている小陰唇に悩まれている方もいます。そのため幅広い世代に適応になる手術です。

近年では美容の価値観の変化もあり、今まで美容に興味がない40~50代でも「介護脱毛」というワードを聞いて脱毛をしたことがきっかけとなり、ご来院されるケースもございます。若年層でも「誰にも相談できない腟のゆるみ」を悩まれている方もいらっしゃいました。このように実際にご来院される方は、周囲の方々やインターネット上から「私は脱毛をしているよ」「○○が手術をしている」など情報共有ができるようになったことが、悩みの相談にいらっしゃるきっかけになっていると思います。

しかし、デリケートゾーンの悩みは繊細な問題であるうえ、日本には恥の文化が強いこともあり、こうした悩みについて、ほとんどの女性は他人に打ち明けられず一人で抱え込んでいる事が多いです。見た目の問題もありますが「かゆみ」「痛い」などの症状がある場合もあり、「自分だけ?」「周りはどうなの?」という他人との比較が容易にできない部位なので悩みに繋がりやすくなっていると思います。また、“見栄え的要素”は悩みに直結しやすく、銭湯や温泉などで人の裸を見る機会があると、つい他人の体と比較して気になってしまう方もいらっしゃいます。

生理が軽い人には重い人のつらさを実感できないように、同性でも理解することが難しい上、シリアスな内容で理解されないと考える女性は多く、とりわけ男性には打ち明けづらいものです。悩みを解決できる手段があることを知っている女性がまだまだ少ないのが現状です。

Q.出産や閉経を経ると悩みの種類が変わってくる?具体的にはどんな悩みが増えると感じる?

出産を通して尿漏れや腟のゆるみを感じたり、年齢と共に腟の乾燥や感染なども気になってきたり、ホルモンバランスによっても変化します。また、若くても出産や年齢を重ねることで「ゆるみ」を感じる方も多いですし、若くても骨盤底筋群の低下などにより起こることもあります。

骨盤底筋
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Q.VIO脱毛をしてから女性器の形や色が気になるようになった、という声も聞きますが、デリケートゾーンにまつわる悩みや需要で、最近多い、増えていると感じる内容を教えてください。

近年では、VIO脱毛(アンダーヘア脱毛)が一般化したことで、これまで毛で隠れていた女性器が見えるようになりました。同時に、それまで気にしなかった小陰唇の黒ずみや大きさ、左右差に気が付いて、来院するなど、デリケートゾーンの悩みも顕在化しました。実際に、当院が行った調査(※)によると、女性7割以上がデリゾの悩みを抱えており、そのお悩みワースト5は、➀黒ずみ ➁かゆみ ③臭い ④毛量 ⑤大きさ・長さの順になりました。トップ回答の「黒ずみ」ですが、自己処理による皮膚のダメージで色素沈着が起こり、それが継続すると黒ずみにつながります。

アンケート
※(調査:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000026711.html

女性器の悩みは人に話しづらく、また他人と比較しづらいことから、一人で悩みを抱えてしまう方が多くいらっしゃいますが、何かしらの症状で悩まれているのであれば、いちど医師へ相談され、コンプレックスを解消できる治療を選ばれるのも良いのではと思います。最近では、将来を見据えて、介護をしてくれる人に迷惑がかからないようにしたい、見た目を綺麗にしておきたい、という方もいます。

ヴァギナ
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Q.アンダーヘアの処理をする人は増えていますが、なぜここまで一般的になったと思われますか。

「アンダーヘア」に関しては、2006年ごろに日本でも海外ドラマ人気(セックスアンドザシティー、ほか)や女性誌などで欧米諸国の情報が入ってくるようになったころから、アンダーヘア脱毛に興味を持つ女性が増えたと思います。「脱毛」でいうと、エステサロンでの脱毛(エステ脱毛)が多く認知される中、ここ数年はクリニックでの脱毛(医療脱毛)の数が各段に増え、またインターネットやSNSの普及により脱毛に関する情報を得る機会が多くなった事が、老若男女問わず脱毛が一般的になった要因と考えられます。

特に医療脱毛が一般的になった理由は以下のようなことが考えられます。

●医療脱毛のクリニックが増えた事での価格競争もあり、昔と比べ脱毛が低価格で受けられるようになった
●痛いイメージが強く懸念する方が多かったが、脱毛機器の進化によりスピーディーで痛みの少ない施術が可能となった
●多くの芸能人や著名人が脱毛をしていることを、メディアやSNSで発言
●TVやネット記事・YouTubeなどで「ハイジ男子」、「妊活脱毛」、「介護脱毛」や「アスリート脱毛」ほか、 脱毛に関する造語を目にする事が増えたことと併せ、脱毛をするメリットに触れる機会が多くなった
●パートナー(恋人や伴侶)からのススメ

一昔前は自己処理が主流だった「毛」ですが、情報化社会の中で脱毛に対する垣根が低くなり、費用面で迷っていた方も手軽に始められるようになるなどの変化が脱毛を希望する方増えた理由だと思います。

教えてくれたのは…医学博士・日本形成外学会認定専門医:鈴木知佳医師

医師写真
平成26年に東京医科大学卒業・東京医科大学初期研修。平成26年東京医科大学形成外科入局。東京医科大学、大学関連病院にて形成外科助教などを経て令和1年に東京イセアクリニック入職。医学博士 日本形成外科学会認定専門医 日本美容外科学会(JSAPS) 会員。昨今、多くの情報が飛び交う中で、「患者様が納得いくまでとことん向き合うこと。」「患者様に最高の治療を届けること。」で「正しい美容整形」の知識や情報を伝えることを大切にしている。また、プライベートでは一児の母でもある。

 

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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