【健康診断】「eGFRの数値が異常に低い」と言われたけど…eGFRって何?医師が解説

 【健康診断】「eGFRの数値が異常に低い」と言われたけど…eGFRって何?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-03-20

健康診断や人間ドックを受けて、検査結果が届いた!けど…「γ-GTPって結局何?」「アルブミンってなんのこと?」など、わからない用語がたくさん。知っているようで実はよく知らない用語について、医師が解説します。

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eGFRとは

健康診断項目には「eGFR(日本語表記名:推算糸球体濾過量)」が記載されていますが、この数値は一般的に腎臓の働きや機能を示しています。

腎臓という臓器においては、一日に約150Lもの血液を濾過し、血液中の老廃物を尿として排出しており、生命維持のために必要不可欠な役割を担っている腎臓がどれくらい機能しているのかを示すのが「eGFR」の数値に反映されています。

糸球体濾過量とは腎臓の機能を表す指標であり、「GFR(Glomerular Filtration Rate)」とも呼ばれており、主に腎臓内部にある糸球体(毛細血管の集合体)が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかという能力値を示しています。

腎機能は、クレアチニンとeGFRの値によって正常であるかを判断することが可能であり、前者のクレアチニン値も健康診断などで行われる血液検査で知ることができますし、eGFRはクレアチニンの値から簡単な計算を実施することによって数値化することができます。

eGFRが異常になると何を意味するのか

一般的に、健康診断などでeGFR(推算糸球体濾過量)が異常と指摘された場合には、急性腎不全などの病気を疑うことになります。

正常な腎臓は、余計な水分や毒素などの老廃物を尿として排泄することで、血圧の上昇を抑える、あるいは体に溜まった水分によるむくみを防ぐ役割を果たしています。

急性腎不全とは、腎機能が急激に低下する病気であり、体に様々な悪影響が現れるようになります。

急性腎不全を来す原因は複数あり、その原因によって腎前性、腎性、腎後性と分類されています。

腎前性は、外傷や下痢などを契機として脱水や出血が起こることに伴って認められ、多くの急性腎不全はこの腎前性が原因であると考えられています。

腎性は、主に腎臓そのものの炎症や薬剤の影響によるものであり、腎後性の場合には尿管閉塞などによって発症するものが多いことが知られています。

腎不全
健康診断などでeGFR(推算糸球体濾過量)が異常と指摘された場合には、急性腎不全などの病気を疑うことになる。
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急性腎不全の症状には個人差がありますが、最も多い症状は尿量が少なくなって乏尿、あるいは無尿になることが挙げられます。

万が一、乏尿や無尿になると水分や老廃物が体内にたまり、高血圧や浮腫を引き起こして、さらに病状が進展すると尿毒症という状態になって、食欲低下、嘔気、倦怠感、意識障害、貧血などに陥る危険性があります。

それ以外にも、胸腔に水が溜まって呼吸困難になる、あるいは味覚に異常をきたすなど全身に症状が出ますので、eGFRが異常であり少しでも体に異常を感じたら腎臓内科など専門医療機関で診察を受けられることをお勧めします。

まとめ

これまで、血液検査の結果のところにある「eGFR」の概要やeGFRが異常になると何を意味するのかなどを中心に解説してきました。

eGFR(日本語表記:推算糸球体濾過量)とは、血清クレアチニン値や年齢、性別から簡便に算出されて腎臓の機能が今どれくらい保たれているかを示す数値であり、一般的な健康診断検査などで使用される指標です。

万が一、eGFRが異常に低下している際には、急性腎不全などが疑われます。

急性腎不全の場合は、早期での発見と治療で回復が見込まれる病気ですので、健康診断などにおいて血液検査や尿検査などを実施して自分の腎機能や体調を把握しておくように努めましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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