【ほうれん草】ピンク色の根元部分、捨てていない?管理栄養士が教える ほうれん草のおすすめの調理法

 【ほうれん草】ピンク色の根元部分、捨てていない?管理栄養士が教える ほうれん草のおすすめの調理法
山﨑礼絵
山﨑礼絵
2023-02-28

ほうれん草は、青菜の中でも味にクセがなく食べやすく、おひたしなどの和食にはもちろん、グラタン、シチューなど洋食にも幅広く使えます。さらに、ビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養素もしっかりと摂ることができる優秀な緑黄色野菜です。今回は、「ほうれん草の根元のピンク色は食べることができる?」「ほうれん草のアクの処理方法はどうしたらいい?」といった疑問にお答えしていきます。

広告

ピンク色の根元には、体にいい成分が含まれている?!

ほうれん草の根元がピンク色になっているのをよく見かけませんか?「ピンク色の部分は食べていいのかわからない」「根元は砂や汚れもついているから」と、根元をごっそりと切り捨てている方も多いのではないでしょうか。実は、ほうれん草のピンク色の根元は、体にとってうれしい働きである抗酸化作用をもつ成分が含まれ、さらに甘くておいしい部分です。

根元のピンク色の正体は?!

ほうれん草の根元のピンク色をしている部分は、植物色素の1つである「ベタレイン」による着色です。「ベタレイン」は、鮮やかな赤色をしたビーツという野菜にも含まれ、他にもオシロイバナなどの花の色素成分でもあります。「ベタレイン」はビタミンCやEなどが持つ抗酸化作用があることも明らかになっています。

ほうれん草
根元のピンク色の正体は「ベタレイン」による着色

ほうれん草は、根元が一番甘い?

ほうれん草は、植物の中でヒユ科に分類されます。他にも、砂糖大根とも呼ばれ甜菜糖(てんさいとう)の原料である「てんさい」も同じヒユ科です。「てんさい」は根に糖分をためる性質があり、ほうれん草も「てんさい」と同じように寒い時期になると根元に糖をたくわえます。そのため、冬に収穫される、ほうれん草の根元はとても甘みがあります。

栄養素を残しておいしく食べるコツ

次に、ほうれん草の根元まで風味と栄養素を残しておいしく食べる調理法(ゆで方)をご紹介します。

1)束がバラけないように根に十字の切れ目を入れ、根元や茎の間を少し開くようにしながら、泥や汚れを洗い流す。

・ポイント:根元に十字の切れ目を入れると、土が落ちやすく、火の通りもよくなります。

2) 沸騰したお湯に1%の塩を入れ(1Lのお湯であれば、10gの塩)、1分ほどゆでる。

・ポイント:塩を入れることは、ほうれん草の色の変色を防ぐ、ビタミンCの残存率を高くする、そして、アクであるシュウ酸を取り除く役割があります。

3) ゆで終わったら、冷水で洗い流す。

・ポイント:シュウ酸は水溶性であるため、ゆでて、冷水で洗うことで除去できます。しかし、他の水溶性の栄養素も一緒に流れ出てしまうため、さっと短時間で洗い流すようにしましょう。

まとめ

今までほうれん草の根元を捨てていた方は、根元の甘味を味わってみてはいかがでしょうか。ほうれん草の風味と栄養素を残して食べるコツは「塩を入れたお湯で手早くゆでる」ことです。今回、お伝えした「ゆで方のコツ」を試して、おいしくほうれん草を召し上がってみてくださいね。

【参考文献】
1. 社団法人 農山漁村文化協会 . 地域食材大百科 第2巻 野菜 . 2010
2.農林水産省 「ほうれんそうについて」
3.JAグループ、ホウレンソウ|とれたて大百科|食や農を学ぶ
4.農研機構 「ベタレイン」
5. 崎浜 靖子. 植物色素ベタレイン—分布,生合成および生理機能 . 化学と生物. 2017, vol.55, no.9, p.582-584
6. 和泉 眞喜子. 青菜のゆで調理における世代別実態調査 . 日本食生活学会誌. 2004, vol.15, no.1, p.35-40
(すべて2023年2月26日 閲覧)

広告

AUTHOR

山﨑礼絵

山﨑礼絵

管理栄養士。島根県出身、3児の母。大学・大学院で、生活習慣病について研究。卒業後、製薬会社勤務を経て、「食」の大切さを人に伝えていきたいという想いから、管理栄養士を取得。オンライン栄養指導、行政栄養士を経験。現在、特定保健指導、健康・栄養分野の執筆などで活動中。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

ほうれん草