相手の間違いを訂正する"だけ"なのに…こんなに難しい【漫画・かくれ繊細さんのかくれたキモチ】
「こんなことを気にしてるの、私だけなのかな…?」外交的なのに実は敏感で傷つきやすい、そんな気質を持つ「かくれ繊細さん(HSS型HSP)」の心の内側を、漫画を通してのぞいてみましょう。
「かくれ繊細さん(HSS型HSP)」のあるある
相手の言い間違いをどう指摘すれば相手を傷つけずに事実を伝えられるのかということに心を砕いて、気がついたら残業…。相手を思う気遣いが結局自分を振り回してしまうかくれ繊細さんのこの行動に、共感する方も多いのではないかと思います。
ここでは、漫画に出てくるかくれ繊細さんの「あるある」を、専門カウンセラーの時田ひさ子先生に解説していただきます。
かくれ繊細さんの原則①共感的羞恥が強い
「共感的羞恥」という言葉が、数年前にマツコデラックスさんによって知られるようになりました。共感的羞恥とは、自分以外の人が恥ずかしい目に遭うのを、自分のことのように感じて見ていられなくなることを指します。マツコさんは共感的羞恥により、映画やドラマの登場人物が失敗したり、つきあげられたりしている痛々しい場面を飛ばして観るそうです。
かくれ繊細さんは、脳内イメージがリアルで強いので、容易に共感的に羞恥心を持ちます。今回、取引先の鳥谷さんは、実は一切恥ずかしがっていないのですが、三島さんの脳内では、鳥谷さんが「うわぁぁすみませんっ」の表情を浮かべている様子が再生されています。その表情に、三島さんは、鳥谷さんの羞恥心をもらい受けてしまいます。
映画やドラマの中のいたたまれない映像だったなら、いくらでもスキップや早送りすることができますが、自分の脳内で起こった他人の羞恥を感じる場面は、飛ばすことができません。だから、共感的羞恥を感じる人たちは、他人の羞恥の場面を見るといてもたってもいられなくなり、「せっかくファンだって言ってくれてるんだから恥かかせちゃいかん」「鳥谷さん新人だし(だから、間違えても仕方ない)」と考えて、自分がもらってしまった羞恥心に、理屈や思考で対応しようとします。
そしてそれだけではなく、一瞬「合わせてオムライ君て書くか…」と現実的に行動まで相手に合わせようとしています。
もともと三島さんの「脳内劇場」で起こった架空の恥ずかしさにすぎないのに、かくれ繊細さんは共感的羞恥を起こしてオタオタしてしまうのですね。
かくれ繊細さんの原則②いじり方にまで気を遣う
次の展開では、「相手に恥をかかせないためにどう返信するか」を三島さんがひたすら試行錯誤し続けます。特に最後、オムライ君から1文字ずつサムライスにスライドさせる案が出てきたところでは、相手のミスなのに気を使っていて、「かくれ繊細さんならではの折衷案!」と膝を叩きながら読ませていただきました。
かくれ繊細さんの原則③想像力は止まらない
かくれ繊細さんが、脳内で他人の感情を想像することを止めることはできません。感受性の高さも相まって、高解像度のイメージ動画が脳内に描き出されるのを、逆に楽しみ、利用するのが得策です。恥ずかしがりやな自分を淡々と受け止められるようになれば、メール返信にも時間がかからなくなりますよ。
◆HSS型HSP(かくれ繊細さん)について詳しく解説した記事も併せてお読みください。
AUTHOR
岩田すず
文具デザイナー→脚本家、映画監督を経て、漫画家になる。HSS型HSP。 「ピーチクアワビ」を漫画アクションにて連載。他、短編作品「おナスにのって」「悪者のすべて」などを執筆 (旧ペンネーム/岩田ユキ) 。【脚本・監督作品】「指輪をはめたい」「8ミリメートル」「檸檬のころ」など。
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